【特集】世界最高度を走る!! 青蔵鉄道で行くチベット

青蔵(青海チベット)鉄道とは、中国青海省の省都・西寧とチベット自治区の区都・ラサ間の全長約2,000kmを結び、貴重な動植物の宝庫「ココシリ自然保護区」、崑崙山脈、タングラ山脈、ニェンチェンタンラ山脈という3大山脈、平均標高4,000m以上の青蔵高原を駆け抜ける、世界でも最も高い地点を走る高原鉄道です。


青は「青海省」、蔵は「西蔵=チベット自治区」の略。すでに開通していた西寧~ゴルムド間に加えて、2006年7月にゴルムド~ラサ間の1,142kmが開通し、全体の運転がスタートしました。さらに2014年8月にはラサから西のシガツェまで延長部分が開通。さらにネパールとの国境まで延長されるといわれています。


青蔵鉄道 5つの世界一

青蔵鉄道は5つの世界一を誇っています。

  1.  世界一標高の高いところを走る鉄道。最高地点タングラ峠は標高5,072m。
  2.  世界一標高の高い鉄道駅。タングラ(唐古垃)駅の標高は5,068m。
  3.  世界一標高の高い凍土トンネル。風火山トンネル(隧道)の標高は4,905m。
  4.  世界一長い凍土トンネル。崑崙山トンネル(隧道)の全長は1,686m。
  5.  世界一長い凍土上に作られた鉄道橋。清水河特大橋の全長11.7km。


青蔵鉄道 車窓の風景

所要時間は北京、成都、重慶からは2泊3日(北京から約41時間)、西寧、蘭州からは1泊2日(西寧から約21時間)かかります。青蔵線の区間では平均時速120kmで走行するそうです。かなりのスピードです。



列車は、チベット・ガゼルなど貴重な野生動物の宝庫・ココシリ国立公園や、長江の源流である沱沱河を走り抜け、白く輝く崑崙山脈、唐古拉「タングラ」山脈、念青唐古拉「ニェンチェンタンラ」山脈という三大山脈の雪山を越え、遊牧民が暮らすアムドやナクチュの大草原地帯など青蔵高原のダイナミックな大自然を満喫しながら、チベットの都ラサへ快適に到着します。


※車窓からの風景は季節や列車の運行時間によって大きく変わります。特に夏季以外は西寧をお昼頃出発し、ラサに午前中に到着する運行スケジュールとなることが多くなっています。予めご了承ください。


車内設備・お食事

一等寝台(軟臥)は4人コンパートメント 一等寝台(軟臥)は4人コンパートメント ポットやゴミ箱も完備

車両は、中国とカナダの合弁会社が設計、製作。各車両には酸素供給口があり、車内の酸素濃度を平地の約80%(標高3,000mと同程度)に保っていますが、気圧調整は行っていません。このため高山病のリスクは軽減されますが、それでも完全にリスクが排除されるわけではなく、息苦しさは感じますし、高山病の症状を発症する場合もあります。

そのため車内には緊急用に酸素マスクも装備され、医師も同乗、トイレにも緊急呼び出し用のボタンが設置されています。


パルスオキシメーターで体調管理 酸素供給口
体調管理に威力を発揮するパルスオキシメーター(左)と酸素供給口(右)

風の旅行社のツアーではガイドが西寧(またはゴルムド)からラサまでの車中も同乗します。道中の解説やお世話だけでなく、血中酸素濃度測定器(パルスオキシメーター)を携行して健康管理もお助けいたします。

座席は硬座、硬臥(2等寝台)、軟臥(1等寝台)の3種類。列車内で宿泊するツアーでは原則、軟臥をお使いいただきます。4人用コンパートメントで2段ベッドです。

食堂車での食事(一例) 食堂車での食事(一例)

車内には食堂車が連結され、車内で調理された温かい料理が提供されます。また、食堂車に座りきれない人のために車内で調理されたお弁当も提供されています。

お弁当の朝ごはん(一例) お弁当の朝ごはん(一例)

また洗面台、水洗式のトイレ、24時間対応の給湯器などが備え付けられています。またミネラルウォーター、ジュース、ビール、スナック、カップラーメンなどの車内販売があります。

バリアフリーの水洗トイレ バリアフリーの水洗トイレ

車内は禁煙です。空調が効いているので、冬季や5,000mの峠でも寒くありません。


洗面台 洗面台
一等寝台(軟臥)は4人コンパートメント バリアフリーの水洗トイレ 洗面台 一等寝台(軟臥)(左)/バリアフリーの水洗トイレ(中)/洗面台(右)

食堂車での食事(一例) お弁当の朝ごはん(一例) 置き切れない荷物は連結部に置くことも
食堂車での食事(左)/お弁当の朝ごはん(中)/置き切れない荷物は連結部に(右)


青蔵鉄道を もっと知る

この鉄道の開通により、それまで時間に余裕がある人たちだけに開かれていた広大なチベット高原を縦断するゴルムド~ラサ間の陸路移動が短期間でも旅行できるようになりました。

置き切れない荷物は連結部に置くことも 置き切れない荷物は連結部に置くことも

中国から大量の物資が入り込み、人々の生活は豊かになるかもしれませんが、多くの漢族出稼ぎ労働者もチベットへ流入しチベットの中国化がますます進むとも言われています。逆に、青海省や四川省、甘粛省(アムド地方やカム地方)からこの列車でラサを目指すチベット人巡礼者も大勢やってきます。

2等椅子席(硬座)では現地の人との交流も 2等椅子席(硬座)では現地の人との交流も

さらに、この列車は国境を越えてネパールまで延びることが計画されています。この列車の開通でチベットがどのように変わるのか? 是非、ご自身の目でお確かめ下さい。

天空列車書影

このページを含め弊社でも多くの写真をお借りしている写真家の長岡洋幸さんと、チベット・ライターの長田幸康さんが、開通直後にいち早く青蔵鉄道に乗車し、詳細に紹介したガイドブックが『天空列車 青海チベット鉄道の旅 (地球の歩き方GEM STONE)』
巻末の『旅のベテランに訊く「天空列車」の魅力と乗り方』という特集に弊社のチベット担当中村のインタビュー記事も収録されています。

購入はこちら『天空列車 青海チベット鉄道の旅 (地球の歩き方GEM STONE)』
Kindle版もあります。


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