最近、ビーチあり、おいしい食事あり、気軽なショッピングありの観光地として女性を中心に人気の旅先のひとつとなっているベトナムですが、ひとあじ違ったベトナムの魅力が北部の田舎にはあります。今回は少数民族の村や人々が集うマーケット、そして棚田の風景など、魅力あふれるこの地域に焦点をしぼってご紹介いたします。
■よくなったアクセス
中国の河口(ヘーホー)に接する町ラオカイまでは、ハノイから鉄道が走っています。フランスがベトナム統治時代、ハノイから中国雲南へ食指を伸ばしていたとき、鉄道を敷設しようと計画されたものです。夜ハノイを出ると、早朝ラオカイ駅に到着します。帰りも同じくラオカイを夜出て、ハノイに早朝着。列車は寝台列車です。狭軌鉄道なので、日本の寝台車に比べるとよく揺れます。鉄道の旅を楽しみたい方、1泊分のコストを浮かせたい方にはお勧めです。アレンジ希望の方はご相談下さい。参考に「ベトナム北部山岳地帯への鉄道の旅」もご覧下さい。
今までは列車の旅なら時刻表通りで約9時間(遅延もあります)かかっていましたが、数年前に高速道路も開通し、ぐんと交通の便がよくなりました。今は車でなら、ハノイ空港から約4時間で国境付近のラオカイまで到着できます。
■ベトナム北部を堪能するなら
● 1.棚田の風景を楽しむ
国境地域は山また山の連続。そのわずかな平地を求めて人々は田や畑を耕してきたのでしょう。ここにはたくさんの棚田が見られます。中にはベトナムの国家遺産に指定された棚田もあります。そのひとつがホアンスーフィーです。イティはあと少し行けば中国との国境という奥地にある、まだあまり知られていない美しい棚田です。ともに、田植えの時期になれば、村の人たちは機械を持ち込めないほど狭い区割りの棚田を水牛の力を借りて耕し、人力で苗を植えている姿を見かけます。秋になれば、黄金色に染め抜かれた棚田を一望することができます。最近、その美しい光景を写真に収めようとカメラを携えて訪れる人が増えています。ただ、まだまだ田舎の場所柄、大きな車が入りきれないところも多いので、小回りの効く移動手段が必要です。
● 2.少数民族の暮らしにふれる
ベトナムは北で中国とラオスと国境を接しています。3カ国とも国境付近には少数民族が多く暮らしていて、気軽に行き来している姿を見かけることもあります。(注:ツーリストはイミグレーションのある国境以外通行できません)
ここではサパ周辺で出会える少数民族を紹介します。
◆黒モン族
黒モン族は名前の通り、藍染めの黒っぽい民族衣装が特色。サパ近郊に村が点在しており、市内に毎日のように出稼ぎにきています。銀細工のアクセサリーや口琴や絵葉書などいろんな商品を手に観光客と見れば声を掛けてきます。まだ小学生くらいの子も働いてること、そして、その語学の習得力に驚かされます。
◆赤ザオ族
女性の民増衣装の袖や裾には見事な刺繍があります。手先の器用な民族です。その技術を生かして織物や布製品をサパの市場などでも売っています。村を訪ねると、時にしつこいくらい付いてきます。サパ周辺では一番商売熱心な民族かも知れません。※ホームステイができる村もありますので、興味のある方はご相談下さい。
◆花モン族
その華やかな民族衣装から花モン族と呼ばれていています。サパからはラオカイを挟んで反対側(東側)に多く村があり、バックハの日曜市、カンカウの土曜市、シンチェンの水曜市、コックリーの火曜市など、週に一度のマーケットには、花モン族の人たちが集います。
◆ハニ族
チベット系の民族で、かつては寒さや外敵から守る分厚い土壁と藁葺きの家に住んでいました。とても勤勉な民族といわれています。中国雲南省の有名な棚田「紅河ハニ棚田群」も同じハニ族が先祖代々山の斜面を切り開いて作りあげたものです。
※モン族は中国南部からベトナム、ラオス、ミャンマーの国境付近に多く暮らしています。民族衣装の特徴などから、黒モン族、白モン族、赤モン族、花モン族など呼称が違っています。中国ではミャオ族と呼ばれています。
● 3.マーケットで散策&お買い物
少数民族が多く暮らすこの地域では、お互いの作物や情報を交換するため定期的に市(マーケット)を開いています。1つの町にいろんな村から集まってきます。買い物や出会いも目的のひとつですから、女性たちはきれいな民族衣装を着てくる人たちも見かけます。
野菜や肉類、衣類や農業関係の品、生活物資なんでもこい。買い物に夢中になってるとおなかが減るので、たいてい簡易食堂が出ています。もちろん酒も売ってますから、久しぶりの再会か、毎週のお決まりかわかりませんが、気持ちよく酔っているおじさんもいます。
親子で食事
お酒はいらんかね?”
買い物に向けてしっかり腹ごしらえ?
うーん。今日もいい日だ
母娘で品定め
おいしくできてるわよ
● 4.トレッキングで暮らしの道を歩いてみる
山間部の棚田を眺めたり村を抜けたりしながらのトレッキングが人気です。場所によっては、少数民族の売り子さんが何か買ってもらおうと、ついてくることもあります。そっとしておいてほしいときはきっぱり断りましょう。
道路は現在、バイクは走れるが大きなバスなどは通れないほどの道幅でセメントで整備され、雨の後でもぬかるむことなく歩きやすくなっている2つのコースをご紹介します。
◆マーチャ村(黒モン族の村)とターフィン村(黒モン族、赤ザオ族が暮らす)とを結ぶ道。地形に合わせてちょっとでも耕地を確保しようと作られた棚田や畑が続きます。マーチャ村からならなだらかな下りのルートです。
田んぼ帰りの少年
畑仕事に精を出す
◆ラオチャイ(黒モン族の村)からタヴァン村(ザイ族)の道は、もっともポピュラーなコースの1つです。田園地帯を見下ろす場所からスタートし、谷まで下った後は田んぼの中を縫うように歩きます。
詳しくは「サパでのんびりハイキング体験記(ラオチャイ村~タヴァン村)」をご覧下さい。
● 5. エコロッジステイでリラックスタイム満喫
サパ郊外のホアンリエンソン山脈を展望する見晴らしのいい丘に「環境にやさしい」をテーマにしたロッジができました。部屋はたったの25部屋。簡素な設備ではありますが、シャワー、トイレは完備。少数民族が暮らす村々も周囲にあって、町からも大きな道路からも離れているのでとても静かです。