添乗ツアー名 ● 象乗りミニキャラバンとメコン河クルーズ7日間
2016年4月29日(金)~2016年5月5日(木)
文・写真 ● 平山未来(東京本社)
ラオスを訪れた人が口々に言う言葉。
「すごいものはないけど、すごくいいところ」
そう、特に秀でたものは無いけれど、なぜかとっても癒される…
不思議な魅力を持つラオス。
(どこか懐かしい風景)
ラオスを旅していると
どこか昔の日本のような心地よさを感じます。
人も優しい
物売りもいない
なにより自然がいっぱい。
空気感が落ち着いてて、癒されます。
「アジアの中でも最貧国」といわれる一方で、
「最後の桃源郷」とも称されるラオス。
東南アジア、唯一の海が無い内陸国。
これといった産業に恵まれず、
経済的には豊かではない。
しかし、他の国には見られないほど、
どの地域もキレイ。
人も集落も、穏やかで控えめ、
たいへん美しい国です。
(ルアンプラバーンの托鉢風景)
しかし、日本人にはまだまだ知られていないラオスの魅力。
7日間の旅で印象に残った、ステキなラオスをお伝えします。
1.いつでもどこでも「ボーペンニャン」
ラオスでは「ボーペンニャン」という言葉をよく耳にします。
ラオス人の気質、ラオスのお国柄をよく表している言葉で、人に何か頼み事をしたり、世話になってお礼を言ったりすると必ず笑顔で「ボーペンニャン」と返ってきます。
『だいじょうぶ。』
『問題ない。』
『小さい事は気にするな!』
『どうにかなるよ。』
そんな意味で使われます。
失敗しても、ボーペンニャン。
落ち込んでいても、ボーペンニャン。
忘れ物しても、ボーペンニャン。
これで大丈夫?と聞いても、ボーペンニャン。
お金がなくてもボーペンニャン。
多くを求めず、『それくらいでOK。』
『まぁまぁ、そんなに肩に力入れないでゆる~く生きていきましょ』
そのような、“のんびりでおおらか”なラオス人の性格がよくわかる言葉です。
この一言が、ストレスを解消し、人々にとっての精神的な安定をもたらしているようです。ボーペンニャンと言う言葉があるお陰で、ラオスは自殺者がほぼいない(年に一人いるかいないか?)という話は、なんとも納得です。
(人だけでなく動物ものんびりしてしまう空気が流れています)
ついつい、完璧を求めて、失敗を恐れたり、あせってしまう生真面目な日本人。そんなときには、ラオス人のおおらかさを見習って、「ほどほどでいいんだ。なんとかなるよ」と自分にいい聞かせたいとおもいます。
2.「無い」から落ち着く
普通だったら在るもの、目にするものが、ラオスにはありません。
信号がない。
橋がない。
護岸がない。
ビルがない。
喧騒がない。
スーパーがない。
クラクションが鳴らない。
隣国のタイ・ベトナム・カンボジアにあるものがラオスにはありません。
(首都ビエンチャンですら、ほとんど信号機を目にしませんでした)
人に関しても、
怒らない。
あせらない。
欲しがらない。
ラオスで感じる居心地の良さは、この、「無」なところにあるような気がします。
(ラオスの道路ものんびり。動物たちが最優先。
クラクションや野次を一度も聞きませんでした)
3.昔も今も「象の王国」
ラオスはかつてランサーン(百万の象)王国と呼ばれていました。いまでも、首都ビエンチャンは、中国語名を「万象」と書きます。
山深き国土のかつてのラオスでは、地勢的要因から多くのゾウが生息し、ヒトはゾウを家畜化することで林業を定着させてきました。ヒトをその背中に乗せて森へ入り、切り出した樹々を運び出す力仕事はウシや馬ではなく、象でなければ成り立たないパートナーシップだったのです。
そう、ラオス奥地に暮らす人々は象を養い「象使い(マホート)」となることで生計をたて、象は家族と同等に大切にされてきました。
しかし近年は、農業の機械化にともない、象の失業、そして頭数の減少が問題になっています。そこで、象や象使いと共生し、観光客を楽しませ(=観光客は象に乗ることで外貨を落とす)、様々な雇用を創出する宿泊施設も増えてきました。あくまで象に負担の掛からないスケジュールを組み、良き関係のビジネスパートナーとして成立しています。
(お世話になったマホートさん/象使いと相棒の象さん)
『象に乗って小さな村々とジャングルを歩く』
象たちと一緒に、旅する楽しさは本当にすごいものがあります。そして、どの村に行っても自然とわらわら集まってくる人、人、人!
進路を塞ぐうっそうとした森を、象が鼻を使って木をなぎ倒し、踏み越え、道を開拓していく。間近で大型動物の象が従順に、人間の指示に従って動く姿に感動を覚えます。
ちょっと投げ出されそうになっても、ちゃ~んと耳でぴたっと足をガードしてくれる優しい象さんたち。人の声を理解する象の賢さによるところも大きいのですが、人と動物が信頼し合い、理解し合うことができるということを教えてくれます。
象たちとのふれあいと、素朴な暮らしをする村での滞在は、いままでの人生観や価値観を変えてしまうほどの刺激的な体験となったに違いありません。
(見送りに来てくれた象さんに、“コープチャイ/ありがとう”!
自然と出てくる御礼の言葉とともに、手を振って別れを惜しむみなさん)
4.ラオスの国民食は、幸せのおすそわけ
ラオスはかつてはフランス領だった国です。味覚を刺激するタイ料理や優しい味わいのベトナム料理、世界三大美食に数えられる中華やフレンチの影響も受けているのですから、美味しくないはずがありません。
ヘルシーで日本人好みのラオス料理。食堂や屋台で食べるラオス料理は、さほど辛くはなく、どれも日本人の舌に合います。野菜をふんだんに使った料理が多く、魚、鶏、麺、何を食べてもさっぱりして美味しい◎
主食はいわゆる白米ではなくもち米(カオニャオ)。竹で編んだティップ・カオというおひつに入れて出てきます。ラオス人はごはんをとにかく良く食べます。そしてそのカオニャオにベストマッチなのがラープ。ラオス風ミートサラダで、パクチーの効いたさっぱりとした味わいは一度食べたらやみつきになるほどおいしい!
(ある日の昼食。カオニャオ、ラープ、スープ、蒸し野菜)
ラープは、お祝いごとに必ず出される料理で、ラオス語で「幸福」「幸せを運ぶ」という意味もある料理なのだとか。文字通り、口にすると幸せな気持ちになれるラオス人の国民食。
ラオスでは、挨拶代わりに「ごはん食べましたか?」と相手に尋ね、振舞う風習が今もあるそうです。まさに幸せのおすそわけ、助け合いの精神がラオスの人々にはあるのです。
今回は全員が全員口を揃えて、「ラオス料理はどれも本当に美味しい!」と豪語し、朝から晩まで、おなかいっぱい=幸せいっぱいになった旅でした。
5.“足るを知る” 暮らし
ラオスの国土面積24万平方メートルに対し、人口はわずか660万人。(例えると、日本の本州の面積に、埼玉県の人口が住んでいるということ)
実際に行ってみてびっくりしましたが、本当にどこにいっても山林、森、焼畑・・・。そしてラオスは大部分が農業をして暮らしています。(なんと労働人口の8~9割が農業!)GDPは低くても、ほぼ自給自足なので、食料は豊富。そのおかげで、飢餓や物乞いが増えないのだとか。
とある統計によると、
1日2ドル未満で暮らす人
||
国民の60%以上
この、給料格差が少ない=他人と比較しないことによって得られる幸せがラオス人にはあるのかもしれません。
(両親が焼畑で出かけている間は、上のおねぇちゃんが下の子達の面倒を見る)
日々の生活に焦りがなく、お金にも執着が少なく、物が溢れていない。人々は大自然のなかで、そっと肩を寄せ合うように生きている。余計なものを求めず、シンプルに生活をして、今目の前にあるものでそこそこの幸せを感じ、「足るを知る」。
まさにラオスの人々は、仏教の目指す「今を生きる」を実践した生き方なのかもしれません。
6.暮らしそのものに無駄がない
キャラバン中のピクニックランチのときに、「コーヒーを飲みますか?」といわれ、「はい」と答えた我々。そしてコックさんが向かったのは、なんと竹やぶ?!
・・・数分後、出されたのは「竹コップに注がれたコーヒー」。
あまりの手際のよさにビックリするとともに、その場に捨ててもいけるエコなカップに一同感動しきり!
(即席竹コップ!)
そして、ラオスの村の暮らしには、つねに動物たちがそこらじゅうにイッパイ。足元や視線の先には、ニワトリ、豚、水牛、イヌ、チャボ、ねずみ、鳥、モグラect・・・
ほぼ放し飼い状態で、日本のような畜産形態と違って自由に動き回り、ストレスフリー。家の中、家の軒下に、自由に居座る彼らの姿は実にほのぼのさせられます。
聞くところによると、餌は、カオニャオ(もち米)かとうもろこしか、生ゴミ。人が食べ残したカオニャオをイヌが食べ、おかずを作るときに余った野菜の皮を豚が食べる。
(家の中でくつろぐ、吠えない番犬たち。しかし、彼らもいつかは・・・)
そして、時期が来たら、彼らの命(肉)をいただく。そこには、必要なものを必要なだけいただく、「飽食」の言葉など一つもない、シンプルな暮らしがここにはあります。
大量生産、大量消費、大量廃棄の私たちに警笛を鳴らしてくれる、そんな、村めぐりでの印象的な1シーンでした。
7.喜捨の心
托鉢は敬虔な仏教国ラオスを象徴する朝の儀式。毎日毎朝、雨の日も風の日も変わらずに行われています。
修行僧が鉢を持って町を練り歩いて信者から食糧などを乞う修行で、信者は喜捨(=施し/惜しむ心なく,喜んで財物を施捨すること)をすることで、功徳を積みます。
(早朝5:30から托鉢をするラオス人女性)
「他界したご両親やご先祖様が貧しい思いをしないように」と、托鉢するお坊さんへのお布施を早朝から毎日続ける人々の姿。
そして、托鉢をしているお坊さんが、反対に、いただいた食べ物を、困っている子供に分け与えているシーンが非常に印象に残っています。
上座部仏教に倣って生きるラオスの人たちは、優越の感情など抜きにした「慈悲」「分け合う心」が当たり前に根付いていることを感じさせられた瞬間でした。
8.裸足で歩ける美しい街
ラオスの古都と呼ばれる街・ルアンプラバーン。「古都」と呼ばれるのは、ラオスの前身、ラーンサーン王国時代、また内紛後はルアンパバーン王国時代の首都がここにおかれていたため。
街としては本当に綺麗で、歩いていても東南アジアには似つかわしくない整然さがここにはあります。フランス領時代の植民地建築と伝統的な建築などが共存し、美しく保存されていることなどを理由に、95年に世界遺産に登録されています。
この町を毎日早朝に歩く、托鉢のお坊さんの足元は、みな裸足です。このまま、裸足で歩ける美しい古都のままであってほしいとただただ願うばかりです。
9.とても親日な人々
日本人にとって、あまり身近な国ではないようですが、実は日本はラオスの最大援助国であり、ラオスは非常に親日的な国です。日本のODA支援額は援助国の中でも最大。2012年までに約2,200億円の経済協力を行っています。
ラオスでは、国際空港、ダム、橋といった多くの建物が日本の支援で建設されています。ラオスの首都ビエンチャンの道路や公共施設には日本への感謝の石碑が建っていたり、バスなどに日の丸のマークがつけられていたり町の中で「日本」を目にする機会が意外と多かったのが印象的。
日本のODA支援を国民が知らない国も多いのに、ラオスは律義に石碑を建てて「これは日本が建ててくれましたよ」と国を挙げて国民に教えてくれる姿勢に胸を打たれ、日本人であることに旅先でちょっぴり誇らしくなる瞬間でした。
(実は、ラオスは世界で1-2を争う親日国?!)
10.ひそかにおしゃれなカフェも多い
かつてはフランス植民地であったことから、ここ数年、落ち着いた雰囲気のカフェが少しずつ増えてきているようです。加えて、フランスパンをはじめとしたパンも絶品です。
実は、ラオスは国土の約70%が高原や山岳地帯となっており、コーヒー豆がラオス名産品のひとつ。主流はアラビカ種ティピカで、高品質なその豆で淹れたコーヒーは芳醇な香りとコクの深さが持ち味。
旅の間、なかなか美味しいコーヒーには出会えませんでしたが、最後に立ち寄ったルアンプラバーンのカフェは、オーガニックのコーヒー豆を使った、とても美味しい珈琲でした。
(トゥクトゥクの運転手ものんびり木陰で休憩中)
町自体がゆる~い空気に包まれていて、カフェに座りながら、のんびりとした人々を眺めていると、とてもほっこりした気分になります。
ラオス・コーヒーを飲みながら、おだやかな時間を味わいたい方は、観光はそこそこに、カフェで足を止めてみてはいかがでしょう。
* * * * * * * * * *
豊かな自然の中でのんびりゆったりと暮らす、
ラオスの人々の暮らし。
その様子を見ているだけでも、日々、忙しく暮らしている
私たち日本人を癒し、優しい気持ちにさせてくれます。
ラオスでは、郷にしたがって、ぜひ
「のんびり」流れる時間も楽しんでみてください。
そのなんともいえない心地よさを知ってしまったら、
じわじわとラオスが好きになること、間違いなしです。
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