ツアー名:戸塚 学さんと行く 台湾撮影の旅 ヤイロチョウ撮影&観察 3日間
2017年5月27日(土)~5月29日(月)
文・写真:戸塚 学 (とづか・がく)
添乗員:五百澤 日丸 (いおざわ・ひまる)
台湾バードウォッチング 1日目
今回の参加者は7名。名古屋からと東京から。天気予報は土日が雨で月曜日が晴れだというが・・・空港についてすぐ天気は曇りから雨になった。早速バスに乗って高速道路に入ったが、途中から大渋滞。なんと旧暦の節句で台湾は4連休の初日だそうで・・・これが原因。それでも途中からはスムーズに走り出したが30分はロスした感じだ。
途中、高速道を降りて現地ガイド兼通訳のジェニファーさんが、タイワンオオコノハズクがいるという寺院に連れて行ってくれた。立派な建物の中に入ると「あそこ!」といわれて指をさされるが、探してもわからない。ようやく天井の一部に黒い塊が見えて、双眼鏡でのぞくとフクロウだとわかった。しかし暗いし、蛍光灯の影響を受けて撮影に四苦八苦。それでも何とか撮影できた。
撮影して力が抜けると異常に蒸し暑いことに気が付いた。この蒸し暑さ例えるのなら、まるでお風呂の洗い場をさまよってる感じというべきか。このタイワンオオコノハズク、ここのマスコットのようで壁に貼ってある写真を見ると運が良ければペアで、もっと低い位置にとまるようだ。2羽=ペアと決めつけるのもなんだが、そんな雰囲気だし次回チャンスがあったらまたチャレンジしたい。
せっかくだからとこの寺院の近くにある植物園に行かないかとジェニファーさんに誘われれば、行くしかない。曇っているし時間的にかなり暗くなっていることもあってか、ありがたいことにズグロミゾゴイがあちこちに出ていてエサを獲っていた。それにしても蒸し暑く短時間なのだが本当に疲れてしまった。夕食はホテルではなくジェニファーさんのおすすめのお店で海鮮料理を食べた。これがもう・・・メッチャ旨。もともと台湾は食事が美味しいのだが、想定外の旨さだった。
台湾バードウォッチング 2日目
天気は曇り。しかし湿度が高いので、霧ではないが数十m先が霞んで見える。5時に集合して朝ご飯のバスケットを受け取りバスに乗車。約30分で現地に到着。現地ガイドさんと合流して山道を進む。撮影ポイントは雨季には川になるであろう場所に注意をしながら降りてゆく。そこでガイドさんの指示に従い各自スタンバイ。今年は昨年と違いどこの巣もまだ抱卵中というので抱卵交代に来たところを狙うことになった。
しかし2時間待っても来なかった。あまり粘ると影響が出るのでここで切り上げることにする。午後も違うヤイロチョウの場所へチャレンジすることにして、とりあえずランチをとるまでの間はヒゴロモとゴシキドリがよく出る場所へバスで移動を始める。途中、畑脇の木にオオカンムリワシがとまっていた。バスの窓を開けて撮ろうとするが、窓が開かない!! 仕方ないので外に出て撮影をしようとすると・・・逃げられた。やっぱり・・・。窓から撮影していれば近くで撮影ができたのにと・・・とても悔しい。バスに戻ってからもう一度窓を開けようとチャレンジすると力を入れてレバーを引けば・・・開けられた! そこで「次回、何か出たら窓を開けて撮影しよう」とみんなで練習をする。
走り出してしばらくすると川の中の木の梢に頭が黒い、茶色のでかい鳥がとまっている? 五百澤氏に聞くと「あ~、バンケン!!」と叫ぶ。大慌てで先ほど練習したバスの窓を開けて撮影開始だ。しかしもっと近づいて撮りたくなるのが人情だ。とりあえず、外に出てコンクリートの壁からそっと狙えば大丈夫そうだったのでバスから降りると、タイミング悪くシロガシラにモビングされて飛ばれてしまい、草の中に消えてしまった。10分ほど待ったが、出て来なかった・・・残念。しかし窓開け訓練がこんなにも早く役に立つとは思わなかった。この川沿いは草が茂っているせいか結構鳥が多い。しかし天気が悪いので電線や木の枝にとまっていると撮影はいまいちになってしまうのが悔しくてならない!
ヒゴロモが出るポイントに行くと野鳥カメラマンが結構集まっていた。やはり台湾でも野鳥撮影が流行っているように感じる。ゴシキドリはあちこちで鳴いているがいい場所へは出てきてくれない。しかしベニサンショウクイのオスは比較的ゆっくりととまっていてくれたおかげでしっかりと撮影ができた。おまけにその横にヒゴロモのメスまでがとまってくれ2ショットを撮影できたのはラッキーだった。
地元カメラマンが狙っている場所を見ると、竹にアオバズクがとまっていた。どうやら横の木の洞で繁殖をしている感じ。逃げないのでしっかりと撮影できたのはラッキーだった。日曜日は人が多いが、その分いいこともあるなと実感する。他にはカヤノボリ・クロヒヨドリ・シロガシラがいるがどれも空抜けになるのがこれまた悔しい。バックが緑ならどれほどよかったか! 時々ヒゴロモの赤いオスが2羽で喧嘩しているがこちらに来てくれない。
思うように撮影ができないストレスを抱えながらヤイロチョウカフェでランチタイム。台湾の料理=どか~ん!!というイメージだが、ここでは個人各自に料理が運ばれちょうどいい量と美味しさだった。しかしリクエストで出してもらったちまきが美味しいのだが、リクエストをして残すわけにもゆかないし・・・もち米の重量が食後、胃袋に大きく響いた。
食後は非常に蒸し暑いことと、午後もヤイロチョウのポイントに行くかどうかでスタッフで話し合い、結局この日はいったんホテルに戻り、休憩したのち夕方は秘密の水場に行くことに予定を変更した。15時に集合してバスに乗り込む。約20分で秘密の水場に行くための駐車場に到着。昨年鳥たちがたくさん水浴びをしていた川はなぜか水量も多く灰色の濁流になっていて、そのせいか鳥たちが来ていない。上流で工事でもいているのかもしれない。ふと近くにある木の下を見ると糞で汚れている? ねぐらかなと思ったら、ズグロミゾゴイの巣が上にあり、ヒナが3羽いた。あちこち移動すると1か所から産毛のほわほわしたヒナを葉陰から見ることができた。
時間もないのでさっさとポイントへ行くと地元のカメラマンが2人いた。行っていいかと聞くと快く私たちを招き入れてくれた。謝謝!! 待っていると雨が降り出し・・・困ったなと思っていたが何のことはない。すぐに止んだ。そのころからメジロチメドリを皮切りにヒメオオチュウ・カヤノボリ・ヒメマルハシ・シロガシラが入れ代わり立ち代わりやって来る。今までのストレスが爆発したように水場にシャッター音が響き渡る。
この頃になると雨が止んだだけではなく、いい光が差し込みグッドコンデションになる! これ以上晴れると木漏れ日が邪魔になるのだ。特にヒメオウチュウの水浴びはサンコウチョウのような感じで、ダイナミック&かっこいい! その後はしばらく休憩のように静かな時間ののちまるで「待ってました!」といわんばかりにキンバトのきれいなオス成鳥が現れゆっくりと、そして堂々と我々の前でモデル撮影会をさせてくれた。これにはみなさん大感動!!
その後は小さくてかわいいズアカチメドリが2羽で現れ、女性陣から「きゃ~かわいい!!」と悲鳴が出る。さてトリは移入種だが、すらりとしたスタイルに渋い赤い腹が美しいアカハラシキチョウがシャッターシャワーを独占して、森へ消えていった。残念だったのはクロエリヒタキが来たのだが、水浴びはしてくれなかったこと。この鳥だけはみんなに見せて、撮ってもらいたかった! ただ一部の方は運良く撮影ができたようだ。
18時になったので切り上げて帰路を進むと途中にズグロミゾゴイの幼鳥が「ぼけ~」と道路わきに立っていた! 成鳥とは違い怖いもの知らずなんだろう、しっかりモデルを務めてくれた。これまた謝謝である。この日もホテルに入る前にレストランへ。今日は客家料理でこれまた最高に旨かった。やはり撮影ツアーなので思い切りシャッターが切れただけでなく、近くでしっかりと撮影できたことでみなさんとても機嫌がよくなっていた。予定を変更してよかったと本当に実感した。
台湾バードウォッチング 3日目
この日も天気は曇り。ただ昨日よりは視界もよく30分遅く集合出発。現地でガイドさんと合流してからポイントに向かった。今日の場所は抱卵交代をする前に枝とまりをする場所だということでそこで待つことになった。待っている間にメジロチメドリやコシジロキンパラがちょろちょろする。困ったことにサルたちが近くで騒ぎながら私たちを最初から最後まで威嚇するのがうっとうしかった。そして残念ながらこの日は抱卵交代で飛び出してゆく姿を見送っただけで、結局枝とまりの撮影はできなかった。
時間になったので現地ガイドさんにお礼をして切り上げることに。バスでいったんホテルに戻りシャワーを浴びてから荷物のパッキングをして帰路に着いた。昨年と違い残念ながらヤイロチョウの撮影はかなわなかったが、現地ガイドさんのおかげでいる場所はちゃんと確保できているので来年は少し遅い時期に設定してリベンジをしたい。悔しいついでに空港に向かうに従いだんだん青空が広がって、空港に着いたらからりとしたいい暑さ・・・悔しいぜ!
ツアー写真選評会
参加者が撮影した写真を、野鳥写真家で同行ガイドの戸塚学さんが選評いたしました。皆様の力作をお楽しみください。
平松様作 「水浴び順番待ち」
水浴びに来た2羽がとてもかわいかった時の瞬間ですね! 2羽のズアカチメドリの目にキャッチライトが入ったことでイキイキとした表情に撮れています。
平松様作 「尾羽で水撒き」
ヒメオウチュウが水浴び後に「ぶるぶる」しているところですが、目にはピントが来ているのに尾羽と翼が程よくぶれていることで躍動感を感じる写真になっています。くちばしが開いてることで何かつぶやいている様にも見えます。
平松様作 「木陰で涼む」
エリグロヒタキのオスを撮られていたんですね! 暗くて逆光になる中、すぐに飛んで行ったものをよく撮りましたね。ちょっと残念なのはこういうごちゃごちゃした中の場合、中央近くに配置をすると主役を引き立てることができます。次回は試してみてください。
丹羽様作 「バンケン+シロハラ」
バスの窓から撮ったものでしょうか? よく撮れましたね! シロガシラのモビング姿が流れていて躍動感があります。同じフレームに静と動が同居してます。
丹羽様作 「ゴシキドリ」
あんなにたくさんいたのに、いい場所に出てこないいけずな奴でしたね。電線にとまっている姿は何度か見ましたが、竹の先にとまっていましたか。これも普段鍛えている観察眼がモノを言ってますね。露出が難しい中きれいな色がよく出ています。
丹羽様作 「アカハラシキチョウ」
長い尾羽とスレンダーな身体がうらやましいと思ってしまう鳥です。移入種なので図鑑に載っていなかったようですね。もう少し早く出てきてくれれば明るくてもっときれいに写せたのでちょっと残念ですね。それにしてもいい瞬間を写せています!
【今回確認できた鳥達】
コジュケイ、コサギ、アマサギ、ゴイサギ、ズグロミゾゴイ、ハチクマ、カンムリワシ、カンムリオオタカ、バン、ツバメチドリ、カワラバト、キジバト、ベニバト、カノコバト、キンバト、アオバト、バンケン、タイワンオオコノハズク、アオバズク、シロアゴヨタカ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ブッポウソウ、ゴシキドリ、セグロコゲラ、ヤイロチョウ、ベニサンショウクイ、アオチメドリ、ヒゴロモ、オウチュウ、ヒメオウチュウ、クロエリヒタキ、タイワンオナガ、ツバメ、リュウキュウツバメ、オオコシアカツバメ、ヤマガラ、カヤノボリ、シロガシラ、クロヒヨドリ、セッカ、アオハウチワドリ、マミハウチワドリ、マジロ、ズアカチメドリ、ヒメマルハシ、マルハシ、チメドリ、メジロチメドリ、ホイビイ、アカハラシキチョウ、ジャワハッカ、カバイロハッカ、ハクセキレイ、スズメ、コシジロキンパラ、シマキンパラ 以上57種
台湾固有種5(または6)種、台湾固有亜種19(または18亜種)亜種