【バードウォッチングツアー添乗報告記】
台湾入門・山野編・山桐食堂に集まる鳥と台湾固有種をじっくり観察する 4日間

ツアー名:台湾入門・山野編・山桐食堂に集まる鳥と台湾固有種をじっくり観察する 4日間

2017年1月19日(木)~1月22日(日) 
文・写真:戸塚 学 (とづか・がく)
添乗員:五百澤 日丸 (いおざわ・ひまる)


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 冬の台湾バードウォッチング 1日目

戸塚・五百澤コンビの撮影ツアー2回目は、台湾の大雪山です。通訳兼現地ガイドをお願いしているジェニファーさんと合流してバスに乗り込み、大雪山に向かいました。

目的の宿は標高2,200mの高地なので、山道を上がる時はノロノロ運転。しかしこれには途中に出てくる鳥を探す意味もありました。途中からガスがかかってしまい、夕方ということもあってかなり暗くなってしまいましたが、雲海の向こうに沈む夕日を見ながらしばし撮影。

キジ類がよく出るポイントに行くとカメラマンがいました。ということは? その先にいました、サンケイのメスです。しかし、暗いことに加えすぐに道路から藪に入ってしまい撮影はイマイチ。

その後は山桐の赤い実がなっているポイントを巡りますが、もうみんなねぐら入りしてしまっているような雰囲気。かなり暗くなり晩御飯の時間もあるので大急ぎで宿へ向かいました。夕食後は有志でカオジロムササビやヒメフクロウを探しますが、カオジロムササビがちらりと見られただけでした。


 冬の台湾バードウォッチング 2日目

6時30分から宿周辺で探鳥&撮影ですが・・・暗い。鳥たちはいるのですが、遠い・小さい・素早いという「厳しい三拍子」 それでもカラ類やゴジュウカラ、カンムリチメドリなどを見ることができました。

朝食後は今回のメインの*山桐食堂を目指します。この頃になると太陽も顔を出し日差しがまぶしくなってきます。現場に到着すると、すでに地元のバードウォッチャーやカメラマンで賑わっています。ということは? そうです、鳥たちがあふれている! キバラシジュウカラ、ズアカエナガ、ミミジロチメドリ、メジロチメドリ、チャバラオオルリ、カンムリチメドリ、コシジロムシクイなどなどが、せわしなく山桐の赤い実や黒く熟した実、そして木々の葉に付いている虫を食べています。

*山桐=イイギリ。赤い実を食べにたくさんの野鳥たちが集まる


チャバラオオルリチャバラオオルリ

撮影に当たっての問題は、とにかく“せわしない”のと顔が枝葉で隠れてしまう事。併せて標高が高いので日差しが厳しく、影が強く出てしまって露出が決められないという事! とにかく「ここではマニュアル露出でこの設定で!」などと指示を出させていただきましたが、鳥たちがあちこちにいるので確定できないのが困りもの。

それでも、見渡す限り鳥だらけなのでみなさん夢中です。ベニサンショウクイの真っ赤なオスと真っ黄色のメスが現れたり、いつの間にか現れたゴシキドリが愛想よく近くで撮影させてくれます。


ゴシキドリゴシキドリ

タイワンシジュウカラが出たので狙っていると、ピントが合わないところまで近づいてきてくれました!! 美しい黄色ととんがり頭が印象的です。


タイワンシジュウカラタイワンシジュウカラ

上ばかりではありません、斜面の下にはサンケイのオス1羽とメス4羽がやってきました。それに釣られたように、ヤブドリやタイワンオナガも出てきます。それもみんな近い!


ヤブドリヤブドリ

サンケイのハーレムがいなくなった後、なにか小さな塊が動きました。おお!! ミヤマテッケイです。見られればラッキーというくらいなのに、近くで撮影する事ができました。しかし、再びサンケイのオスが近づくと逃げていってしまいました。


サンケイ(オス)サンケイ(オス)

さて、はじめは大興奮していたチャバラオオルリですが、どんどん数が出てきて、個体によっては食後の休憩をしてモデルばりに撮影させてくれます。これはまさに「チャバラオオルリ祭り」です。みなさん、いい場所にとまっているものを狙って撮っていると、上空に猛禽が出現。なんとクマタカだ。その後目立つ大木にとまったので確認すると幼鳥でした。

11時を過ぎると動きも少なくなってきたので、ランチのため宿に戻りました。午後は宿よりも標高が高い2,600mへ移動して、目玉の一つミカドキジを狙います。かなり標高が高いので歩くのが大変で歩くだけで呼吸困難に(笑)。

まずはキンバネホイビイ、アカハラ、マミチャジナイが愛想を振りまいてくれますが・・・その後が続かない。


キンバネホイビイキンバネホイビイ

ようやく呼吸が整ったところでジェニファーさんが呼びに来ました。アリサンヒタキのオスがいるとのこと。またしても呼吸を乱して現場に向かうと、いました! 初アリサンヒタキです。

ヒタキらしい丸っこい体に美しいオレンジが目立ちます。ある程度距離があると怖がらないので、しっかりと近くで撮影ができました。しかし・・・ミカドキジが出ません。暇なので再びアリサンヒタキのポイントに行き撮影していると、ジェニファーさんの悲鳴??? 何やら異様に興奮しています。聞くと「二イタカキクイタダキがいた!!」と。必死に探すが、すでに飛ばれてしまい・・・時すでに遅し。残念。

まだ日没まで少し時間があるので、移動をしてミカドキジとタカサゴマシコを探しましたが出ませんでした。代わりにシマリスと大きめのリスを近くで撮影できました。(日本でみられるタイワンリス=クリハラリスは台湾にいなそうです)。

夕食後は昨夜のリベンジでカオジロムササビを探し。今日はしっかりと撮影できただけではなく、4頭も出会えて大満足でした。


カオジロムササビカオジロムササビ


 冬の台湾バードウォッチング 3日目

朝食を食べてから早々に撮影ポイントへ移動です。山桐の木はあちこちにあるので、おおむねのエリアを決めてその間を自由に移動しながら撮影を楽しんでもらいます。土曜日なので、長玉を構える地元カメラマンで大人気。昨日と違い鳥たちがあまり出ないものの、地元の人たちの間から撮影します。

参加者から「下の方でタイワンツグミが出た」と情報を聞き行ってみると、この山桐食堂は大繁盛で鳥だらけ! ほとんどがチャバラオオルリでしたが、その中にいろんな鳥が入るので探すのが大変です。そうこうするうちタイワンツグミが現れて、なんとてっぺんの目立つところで赤い実を食べてくれました!! こういうことがあるのでやめられなくなるし、病みつきになりますね。

上空にはこの日カンムリワシが飛翔してくれました。みなさん心に余裕ができたようで思い思いの狙った鳥を撮影。天気も昨日に比べて撮影にいい条件です。この日はサンケイのハーレムの中、ミヤマテッケイが2羽も出てきて一緒に近くまで来たのには驚きました。

昼食後はジェニファーさんの案内でカワビタキを狙いに行くと、あっさりオスとメスをゲット。カワガラス、キセキレイ、クロエリヒタキがちょっぴり見られ、ヒメマルハシのさえずりがよく聞かれました。


カワビタキカワビタキ

夕方までまだ時間があるので、ホテル近くの公園で鳥たちを探します。しかし、温泉街で土曜日ということもあり、人がたくさんでかなり厳しい状況。

それでもクロヒヨドリ、カワビタキ、シロガシラ、ヒメオオチュウが見られました。個人的にはヒメオオチュウの美しさにうっとり。目的のズグロミゾゴイとヤマムスメは見られませんでしたが、みなさん満足されているようで夕方に終了しました。


ヒメオオチュウヒメオオチュウ


 冬の台湾バードウォッチング 4日目

早朝はホテル前で観察。短い時間に目玉のヤマムスメを望遠鏡で観察することができました。条件が悪く撮影はできませんでしたが、時期によってはヤマムスメの難易度は低いので、次回ツアーに期待しましょう。他はベニサンショウクイ、クロヒヨドリ、シロガシラ、ヒメマルハシ、カワセミ、コサギ、カワビタキなどなどを堪能。

朝食後は最後のポイント八仙山へ向かいます。歩き出してすぐカワビタキがお出迎えしてくれただけではなく、近くでモデルまで務めてくれました。八仙山は緋寒桜に集まる鳥たちを狙うのですが・・・これが思いのほか難しく、あとはもう「数撃ちゃ当たる方式」で撮影します。ターゲットはヤマガラ、カンムリチメドリ、ベニサンショウクイ、キバラシジュウカラなどなど。心もメモリーカードもいっぱいになり、すべての撮影が終了です。

添乗員の五百澤氏によると、今までの大雪山ツアーでは、とにかくいつも雨と霧にたたられていたそうです。今回は鳥にも天気にも恵まれた最高のツアーになったのではと思います。

通常、野鳥のツアーはウォッチングが主体で常に鳥を探して移動を繰り返しますが、撮影ツアーではそれでは撮影ができないため「いいポイント」を設定し、そこで自由に時間いっぱいまで粘ってもらうようにしています。現地ガイド兼通訳のジェニファーさんがバーダーだということも、今回のツアーの成功にも大きく関与していることは間違いありません。



【今回確認できた鳥達】


ミヤマテッケイ、サンケイ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、アマサギ、ゴイサギ、カタグロトビ、カンムリワシ、クマタカ、カザノサシ、カンムリオオタカ、セイタカシギ、ドバト、タイワンジュズカケバト、キジバト、ベニバト、カノコバト、ヒメフクロウ、ヒメママツバメ、カワセミ、ゴシキドリ、セグロコゲラ、チョウゲンボウ、ベニサンショウクイ、アカモズ、アオチメドリ、オウチュウ、ヒメオウチュウ、クロエリヒタキ、カケス、ヤマムスメ、タイワンオナガ、カササギ、ホシガラス、ハシブトガラス、ツバメ、リュウキュウツバメ、イワツバメ、ヤマガラ、ヒガラ、キバラシジュウカラ、タイワンシジュウカラ、ズアカエナガ、ゴジュウカラ、ミソサザイ、カヤノボリ、シロガシラ、クロヒヨドリ、ニイタカキクイタダキ、タカサゴミソサザイ、コシジロムシクイ、キマユムシクイ、カンムリチメドリ、メジロ、ズアカチメドリ、ヒメマルハシ、マルハシ、メジロチメドリ、キンバネホイビイ、ミミジロチメドリ、ヤブドリ、シマドリ、チャバラオオルリ、ルリチョウ、コンヒタキ、アリサンヒタキ、カワビタキ、ジョウビタキ、トラツグミ、タイワンツグミ、シロハラ、アカハラ、マミチャジナイ、ジャワハッカ、カバイロハッカ、キセキレイ、ハクセキレイ、タカサゴマシコ、スズメ、コシジロキンパラ 計82種 


 

風の鳥日和