ツアー名:初夏の道東 センニュウ類を見る 3日間
2018年6月1日(金)~6月3日(日)
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)
見づらいとされているセンニュウ類ですが、飛来当初は行動的にも葉の繁り具合的にも比較的見やすい時期です。初夏限定のツアーとしてご案内してきました。
道東バードウォッチング 1日目
初日、まずは森へ向かいました。森の入口に出てくるエゾセンニュウ狙いです。センニュウ類の中でも特段に見づらいとされる種ですが、今回はどうでしょうか。現場へ着くと、こともあろうに森へと続く道沿いの手すり交換の工事をしていました。よりによって、エゾセンニュウが出てくる場所で…。出鼻をくじかれました。これは痛い。
気を取り直し、キツツキ類やカラ類に期待して先へ進みました。相変わらずセンダイムシクイが多い中、止まっているツツドリを見ることができました。期待したヤマゲラなどは出ませんでしたので、オムサロ原生花園へ向かうことにしました。
ここでは真っ赤なベニマシコや黒頭巾のオオジュリンをはじめ、センニュウ類の中でも比較的見やすいシマセンニュウを見ることができました。まずはセンニュウ類1種目。
続いて、今回のコース上でエゾセンニュウが一番見やすい場所へ移動します。ただ、ここは夕方に完全な逆光になってしまうのが難点です。到着早々、大きな声で「ジョッピン、カケタカ」とさえずるエゾセンニュウ。もちろん、そう易々と姿は見られませんが、それでも藪から枝へ、枝から藪への移動時にちらっと見ることはできました。
明日の朝に期待して、シブノツナイ湖へ移動です。道中、キタキツネの子どもが3匹、路上でニシンと思われる結構大きな魚を奪い合っている微笑ましい光景に出会いました。シブノツナイ湖での目当ては、マキノセンニュウです。しかし、この日は風があったためか、声も聞くことができませんでした。
道東バードウォッチング 2日目
朝一番でエゾセンニュウ狙いです。センダイムシクイやアリスイ、そしてマキノセンニュウやエゾセンニュウもさえずっています。見やすい場所でただただじっと待ちます。昨日よりは見られたものの、じっくりとまではいきませんでした。それでも、違う角度から見ていた方は比較的高い枝で鳴いているエゾセンニュウを見ることができたようです。辛うじてセンニュウ類2種目を抑えました。(ツアー後、再びここを訪れた方はじっくりと姿を見ることができたそうです)
エゾセンニュウを待っている間は、上空でディスプレイフライトをするオオジシギや、かわいらしい声のニュウナイスズメ、旅の途中のオオムシクイなども見ることができました。
今度はマキノセンニュウ狙いでシブノツナイ湖です。風があるものの、マキノセンニュウのさえずりが聞こえます。こちらも姿を現さないかとじっと待ちます。そして、参加者の方がついにハマナスの上でさえずっているマキノセンニュウを見つけました。センニュウ類3種達成です。しかし、遠かったことと、気づいてから間もなく下へ降りてしまったことで、全員がじっくりと見ることは叶いませんでした。
湖面には、まだ帰らないオオハクチョウ親子や繁殖すると思われるオカヨシガモなども見ることができました。それから、思わぬ出会いもありました。アカエリヒレアシシギの♀夏羽4羽の水浴びや、採餌などの様子を比較的近くでじっくりと見ることができました。
朝食後もエゾセンニュウとマキノセンニュウ、シマセンニュウを中心にポイントで観察。何度か姿を見ることができましたし、ツメナガセキレイの夏羽も観察することができました。また、カッコウが毛虫を採餌する様子や、そのカッコウに威嚇するノビタキもじっくりと見ることができました。
宿へ入る前には、ワッカ原生花園にも立ち寄りました。ここでは風当たりの弱いハマナスの上でマキノセンニュウがさえずっているのを見ることができました。
道東バードウォッチング 3日目
最終日。宿の前を流れる川でエゾセンニュウをばっちり撮影した方がいました。また、同じ場所にシマアジの♂がいるのを参加者の方が見つけました。これもまた、思わぬ出会いでした。せっかくなので観察してから、朝一でワッカ原生花園へ向かいました。
この日もマキノセンニュウ狙いから始めます。見やすい個体を2羽ほど見つけ、それぞれじっくりと観察できました。ノビタキ、オオジュリン、シマセンニュウなどが盛んにさえずっています。
朝食後は、森の散策路を歩きました。相変わらずセンダイムシクイはたくさん鳴いています。シロハラゴジュウカラやキビタキなどが見られました。しかし、期待していたヤマゲラは出てくれませんでした。
年配の方が「最近はヤブサメのさえずりが聞こえなかったけど、今回は聞こえた」と喜んでいたのが印象的でした。ヤブサメのさえずりは8,000ヘルツ以上あるため、年配の方には聞こえにくいのです。
ツアー最後は、未だ出ていないヤマゲラやコアカゲラを求めて、空港近くの湖畔林を歩きます。陽も高くなっていて小鳥の動きがいまひとつだったので、あきらめて引き返していると、「ピッ」と聞き覚えのある声がしました。しばらくすると後方からコアカゲラが飛んで来て頭上を通過し、林の中へと消えていきました。一瞬の出来事だったため、ガイドが確認したのみでした。
結果としては、狙っていたセンニュウ類3種を見ることはできましたが、エゾセンニュウについてはじっくりと見ていない方もいて残念でした。それでも繁殖期に入ったばかりの原生花園は人も少なく、ゆっくりと鳥見ができた3日間でした。遠い所、参加していただきありがとうございました。
【今回確認できた鳥達】
オオハクチョウ、オカヨシガモ、マガモ、キンクロハジロ、キジバト、アオバト、ウミウ、アオサギ、ツツドリ、カッコウ、コチドリ、オオジシギ、キアシシギ、アカエリヒレアシシギ、オオセグロカモメ、トビ、オジロワシ、チュウヒ、アリスイ、(エゾ)コゲラ、コアカゲラ、(エゾ)アカゲラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、ハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒバリ、ショウドウツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、ヤブサメ、(シマ)エナガ、オオムシクイ、センダイムシクイ、マキノセンニュウ、シマセンニュウ、エゾセンニュウ、コヨシキリ、(シロハラ)ゴジュウカラ、(キタ)キバシリ、ムクドリ、ノゴマ、ノビタキ、コサメビタキ、キビタキ、ニュウナイスズメ、スズメ、ツメナガセキレイ、ハクセキレイ、カワラヒワ、ベニマシコ、シメ、ホオアカ、アオジ、オオジュリン (番外)ドバト