ツアー名:晩秋の八郎潟・ハクガンの群れ 2日間
2017年11月25日(土)~11月26日(日)
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)
晩秋の八郎潟 1日目
年々増えているハクガン。二桁から100羽台、そして昨年は350羽を越えました。今年はもっと増えていることでしょう。とは言え、広大な八郎潟では会えないことも珍しくはありません。
期待を胸に八郎潟へ入りました。風が強いですが、天気はまずまず。まずは探しやすい場所から探したところ、あっさり100羽程の群れに出会いました。幸先いいスタートです。ざっと120羽ほどのようです。
ヒシクイの亜種オオヒシクイ、マガン、コハクチョウも所々に降りています。どれもしきりに餌をついばんでいます。すると何かの拍子でガンたちが飛び立ち始めました。100羽以上のハクガンの飛翔はとても綺麗です。ハクガンの初列風切の黒色がよくわかります。
ハクガンはこの120羽程の群れの他に200羽を超える群れがいるようです。結局この日は、何度かハクガンの群れに出会い、最終的には1つの群れになった300羽以上のハクガンをじっくり見ることができました。移動途中、地上に降りているハヤブサの幼鳥も見ることができました。
夕刻はねぐら入りを見ることにしました。日の入り後、次々とマガンがやってきます。しかし、この日は遅くまで採餌していたのか、暗くなっても数千羽がきた程度でした。マガンは2万羽以上いるはずなので、ちょっとがっかりです。ハクガンはねぐら入りがとても遅いことが知られているので、明日のねぐら立ちに期待です。
晩秋の八郎潟 2日目
早起きしてねぐら立ち観察です。心配していた雨や風はさほどでもない感じです。寒くもありません。車のライトに驚いて、ガンは飛び立って騒がしく鳴きながら沼上空を旋回しましたが、段々と沼に降りてきました。
白いのも降りてきました。ハクガンです。その数なんと400羽以上! 昨年は約350羽ですから、少し増えたようです。ガンたちは何度か飛び立っては降り、また飛び立っては降りを繰り返しながら、少しずつ田んぼへ採餌に向かいます。マガンは早く行きますが、ハクガンはなかなか行きません。最終的にはハクガンだけが残り、昨日に続きじっくり見られました。
朝食後は他の鳥を観察です。水路ではホオジロガモやミコアイサ、そしてコガモの中に亜種アメリカコガモの♂を見ることができました。胸の縦線が目立ちます。
ハクガンの大群が遠くの方で飛んでいるのも見つけました。大群で飛ぶ光景は圧巻です。周辺の田んぼでは、50羽ほどのミヤマガラスの群れに5羽のコクマルガラスを見つけました。どれも幼鳥のようで真っ黒。いわゆるクロマルです。カラス類は通常鼻の穴は羽毛に覆われて見えないのですが、ミヤマガラスの成鳥だけは羽毛がないため鼻の穴がよく見えることをみんなで確認しました。
また、それを見ている間に飛んでいくカワアイサ400羽以上の群れや、水路のヨシ原の上をゆっくりと飛んでいくチュウヒも見ることができました。さらには田んぼではチョウゲンボウ、その後ろには降りているオジロワシがいました。オジロワシが飛び立つと、それに驚き、辺りに降りていたガンたちが一斉に飛び立ちました。さらに飛翔する別個体のオジロワシ、移動する度にあちこちにいるノスリなども楽しめました。
昼食前、またハクガンの大群を見つけました。300羽以上です。マガン、オオヒシクイもいます。マガンはどこからともなく次々とやってきて降りてきます。ざっと2,000羽は下らないでしょう。ハクガンは時折、少し飛んだり、歩いたり、「クワッ、クワッ…」と鳴いたり…いい光景です。シジュウカラガンも10羽以上混じっていました。皆さん、思い思いにじっくりと見ることができました。
今回は初日からハクガンの大群を何度も見ることができた他、チュウヒやオジロワシなどの猛禽、コクマルガラスやたくさんの鳥たちに出会いました。この素晴らしい光景がいつまでも続くように願わずにはいられません。
遠い所、参加していただきありがとうございました。
【おまけ】簗川さんによる手書きのおさらい
【今回確認できた鳥達】
ヒシクイ(亜種オオヒシクイ)、マガン、ハクガン、シジュウカラガン、コハクチョウ、オオハクチョウ、マガモ、カルガモ、オナガガモ、コガモ(亜種アメリカコガモ含む)、ホシハジロ、キンクロハジロ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、カイツブリ、カンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、オオバン、トビ、オジロワシ、チュウヒ、ノスリ、チョウゲンボウ、ハヤブサ、コクマルガラス、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、スズメ、ハクセキレイ、ホオジロ(番外ドバト) 計38種