添乗ツアー名 ● ボールを持ってヒマラヤの国へ! ネパール サッカー交流と山村ホームステイ6日間 ─ 復興支援を知り伝統のインドラ祭に浸る ─
2016年9月12日(月)~9月17日(土)
文・写真 ● 竹嶋 友(東京本社)
【FOOTRAVEL】企画の3本目ツアー、9月に実施したネパール・サッカー交流ツアーの同行レポートです。ネパールでも年々人気が高まっているサッカー。
パトレ村の学生や児童養護施設の子どもたちとのサッカー交流、ネパール大震災の被災地でのボランティア活動とホームステイ、さらにはネパールの大祭の1つインドラ祭見学もしてきました!
パトレ村にて。交流試合前に国家を斉唱する村の学生たち
2日目(ネパール・カトマンズ到着日の翌朝)
亜細亜大学の学生さんと、FOOTRAVEL合同チーム結成!
希望の背番号と名前、ネパールの特徴的な国旗付きで、いつもの決めポーズ!
今回のFOOTRAVEL・ネパールツアーは、東京の大学生1名様と亜細亜大学の学生さん13名との合同チームで実施です。1名様参加の大学生は、もともとお問い合わせの段階では他のネパール復興支援ボランティアツアーへのご予約でしたが、そちらのツアーが不催行となり、FOOTRAVELの主旨とツアー内容に賛同いただいてのご参加。亜細亜大の13名様はゼミのネパール研修旅行の一環で、5日目まではFOOTRAVELと同内容でのご参加という構成です。いずれにしても、今回は大所帯での、にぎやかな旅になりそうです!
カトマンズからパトレ村へ! しかし山道が…
大型バス1台にガイドや添乗員を含め18人と荷物を積み込み、ホテルからいざ出発! と、声も気持ちも高らかに出発したのは良いのですが、早速カトマンズ盆地を抜けるところで、大規模な道路拡張工事による渋滞につかまってしまいました。ネパールの旅はすんなり行きませんね…。焦らずに、ビシターリ、ビシターリ(ゆっくりゆっくり)。
ドライバーの助手たちが、道路をせっせと修復して行く
さらに、ダディンベシの町から山の中腹にあるパトレ村まで、別のバスに乗り換えて移動したのですが、この道が連日の雨と粘土質の地面とで混じり合い、ベテランドライバーも手を焼くほどのグチャグチャの悪路になっていて、ところどころで車を止め道を修復しながらの走行を余儀なくされました。しかし、学生さんたちはそんな道を怖がるどころか、むしろ楽しんでいる様子で、車が大きく揺れたり傾いたりする度に車内から大きな歓声があがっていました(笑)
パトレ村に到着! 村人の大歓迎!
ネパール大地震の震源地に近く甚大な被害を受けてから、徐々に復興が進んでいるパトレ村
大幅に予定時間を過ぎ、ようやくパトレ村に到着~!
色鮮やかな民族衣装を着た村の人々が、盛大な音楽と花の首飾りとともに待っていてくれました。なかなかの悪路移動でしたが、そんな温かい出迎えを受ければ、疲れなんぞ一気に吹っ飛んでしまいます。
個人的には、震災後3度目の村訪問でしたので、1年ぶりに見る村の馴染みの人々の顔を見て「あれから1年間、きっとご苦労も多かったろうに…」という私の気持ちを察するかのように、村の方々が笑顔で私の手を握ってくれて、思わず胸が熱くなってしまいました…。
グルン族の民族衣装に身を包んだ村人が、待っていてくれました
村で唯一の学校を訪問
「なんだなんだ、何かおもしろそうな人たちが来ているなー」と、子どもたち
荷物を置いてすぐ、村の中でも眺めの良い高台にある学校を訪問しました。学校の入口では、これまた100人以上の子どもたちや先生の出迎えを受け、メンバー一同大感激!
下校前の子どもたち
校長先生に入村のご挨拶をした後、せっかくなので子どもたちの授業の様子を見学させていただく事に。授業の邪魔にならないように、2~3人ずつの少人数グループに分かれることにしました。しかし、教室の入口で「そ~っと」覗いている日本人たちに子どもたちは落ち着いて授業に臨めるわけもなく、やっぱり「どうぞ、中に」と先生の温かいお言葉を頂戴しつつ、私たちもそれぞれ授業に参加。子どもたちや先生の「日本の歌が聞きたい!」というリクエストに全力で応え熱唱している日本人の歌声が、あちこちの教室から聞こえてくるのでした。
この男子メンバーは英語の授業に参加。熱心に英語で問いかけをしていましたが、結局最後は「日本の歌が聴きたい」というリクエストが笑
私たちも学校を後に、ホームステイ先へ
学校を後にし、空が暗くなる前に後回しにしていた部屋割りをすべく、それぞれの宿泊場所に荷物を入れていきます。今回は18名の大所帯ですので、4名が新しく再建が完了した家屋に、10名が5張の緊急避難用テントに、4名がNKT(Nepal Kaze Travel)から持参した山用テント4張に分かれて宿泊することになりました。荷物を入れて落ち着いた後は、夕食までのあたりが暗くなっていく間、シャワーを浴びる者、シャワーよりも先に早速ロキシー(ネパールのどぶろく)をいただく者など、思い思いの時間を過ごしていました。
乾燥したトウモロコシの実を取り出す作業をお手伝い
お母さんの長~い髪を綺麗に結ってあげるメンバー
夕食はもちろんダルバート。みんなで現地式でいただきます。写真ブレブレですいません!
夕食後は、村人による歓迎セレモニー。民族衣装に身を包んだ村の少女たちを中心に、グルン族の民族舞踊を披露して下さいました。当然のように私たちも踊りの輪の中に招き入れられ、見よう見まねで踊りましたが、何かしっくり来ないのか、一部の村の男性たちは爆笑していました。もう、旅先での恥はかき捨て。村人が笑ってくれればそれでよし(?)。
灯かり1つの暗闇の中、笑い声と太鼓の音がしばらくの間響く夜となりました。
3日目(午前) 復興支援ボランティア作業!
ガイドのラジェシュ(左)はこういう作業が好きみたいです
翌朝は、復興支援ボランティア活動です。今回、村から要請されたのは、震災後に子どもたちのリクエストで作った村のグラウンドで、建設時からそのままになっていて危険な岩や石などを撤去する作業でした。
早速18名の人数を活かしてズラーっと一列になり、バケツリレー方式で岩や石を「ホイッ、岩3つー」などと、声を掛け合いながら手渡していきます。
滑りやすい水たまりは、裸足に慣れている村人が担当してくれました
そうして作業を進めていると、グラウンドに徐々に子どもたちが集まってきたので、一緒に作業していた村人に聞いてみると「今日はネパールの子供の日なんだ」とのこと。祝日のグラウンドで、これから大いに遊ぶらしく、そんな子どもたちのためにもメンバー一同作業に気持ちが入ります。何人かの子どもたちが、初めは作業している私たちを興味深そうに観察していましたが、話しかけていくうちに、作業に加わってくれました。
お手伝いしてくれたのは村の女の子が多かったですね。おーい、村の男子どこいった~
活動終了後にパチリ。作業用の黄色いベストが午後に自分たちのユニフォームになるとは、このときはまだ知る由もない(笑)
3日目(午後) いよいよサッカー交流試合!
ボランティア活動終了後、お昼ご飯を挟んでシューズを履き替えて、再びグラウンドに戻りました。いよいよ、今回の旅1試合目のサッカー交流試合です。
前述の通り、この日はネパールの子供の日ということで、たくさんの子どもたちと村人たちがグランウンドに集合していましたが、この「ネパール vs 日本」の交流試合がこの日のメインイベントに据えられている様で、グラウンドは既に、異様なほどの大盛り上がり!!
想像と違う雰囲気に飲まれそうになりながらも、なかなか対戦するネパールチームメンバーが現れないなーと思いながらウォーミングアップでボールを蹴っていると、どこからともなく赤いユニフォームの集団が現れました! 村の小・中学生世代との交流試合をイメージしていた私たちでしたが、あきらかに現役バリバリの高校生世代の青年たち! しかもお揃いのユニフォームの胸には「PATLE」のロゴが! おお…、きっとパトレ村のいわゆるA代表チームに違いない!
そんな我々の気持ちはなんのその、早速グラウンドの中央でお互いの国の国歌斉唱が始まり、我々もパトレ村のこの試合にかける意気込みに敬意を表し、徐々に試合に臨む覚悟(?)を固めていきましたー。
日本チーム国歌斉唱
ネパールチーム国歌斉唱
風の旅行社代表・原はGKで参加
沢山の応援に囲まれながらプレー
試合の様子をご覧下さい! ※水たまりで転ぶ度に、観客の笑いが取れるのです(笑)
試合の合間には、応援組みの小学生や学校の先生が、楽しそうにボールを追いかけている光景もあり、我々もそんな村の日常に溶け込んでいるようで、とても嬉しい気持ちになりました。
試合後には、村の子どもたちが、よりサッカーに親しんでもらいたい気持ちを込め、サッカーボール2つをお渡ししました。
子どもよりも大人の方が夢中?
日本チームの完敗でした!
4日目(朝) パトレ村を出発
翌朝。程よい筋肉痛とともに目覚め、早めの朝食をいただきます。なにしろこの日はカトマンズに戻り、ネパールの大祭「インドラ・ジャトラ(祭)」を見る予定があり、さらに村から麓のダディンベシまでの山道は相変わらずの悪路を予想し、車から徒歩移動に変更したので、早めの出発が必要なのです。
荷物をまとめ、2泊3日お世話になったパトレ村の皆さんとお別れの時。
村の全100棟近くの家屋が、全て全壊又は半壊した震災から1年半経った現在、一歩一歩村の再建が進められていることを、自分のことのように嬉しく思いました。
また、今回も、村のリーダー・シェルバハドゥールさんは、「この村を、ネパールのビレッジツーリズムのモデルにしたい」と、私たちに力強い言葉を贈って下さいました。
村のリーダー・シェルさんから感謝状
麓のダディンベシまで3時間歩いていくぞー
この村の子どもたちが、人間愛溢れる人格形成を成し得ているのは、「子どもたちはこの村の未来」と位置づけている大人たちが、愛情を持ってしっかりと子どもたちを導いているからだと思います。また、皆さんに会いに来ますからね~。
4日目(午後) インドラ・ジャトラ(祭)見学!
パトレ村から、カトマンズに戻り、休む間もなく、この日開催されているネパールの主要な祭典の1つ、インドラ・ジャトラを見学しました。
山車で巡行されるヒンドゥ教の守り神、タレジュ神の化身クマリをひと目みようと、人々で街がごった返します。
私たちも地元の群衆に交じって、筋肉痛の脚を踏ん張ってクマリを待ち構えていたのですが、そりゃもう、押し合いへし合いの戦いでした。が! なんとかクマリのお姿を、ギリギリの横顔ですが写真(スマホで)に収めましたー! 絶対わたしと目が合ったと思います!
倒れそうになりながらシャターをきりました!
まわりにいた地元の子どもたちと仲良しに
ひな壇のようになっている寺院の階段は見物客でぎっしり
※クマリは、初潮を迎える前の仏教徒サキャ族の少女から選ばれるそうで、ヒンドゥと仏教の境を超えて、人々から国の守り神としと崇められている存在です。
5日目(午前) バクタプ-ルへ
この日の目的地は、古都バクタプールと、ティミの町です。
まずは、バクタプールの旧市街を訪問しました。震災直後に造られた緊急避難用のシェルターは未だそのままの場所にありますが、テントの数は減り、代わりにトタンと竹を用いた仮設家屋が増えていました。
スンダリ(美人)という言葉に反応したおばちゃんたちの笑顔
たくさんの神々と共に暮らす旧市街
バクタプール名物ドヒ(ヨーグルト)を食べている間はみんな静か(笑)
旧市街を歩いていると、家屋再建に向けて、自分の土地でセメントを混ぜたり、せっせと鉄骨を切断している家族も多く見られ、印象として街が新たな復興ステージに入っているように感じました。ネワール彫刻の最高傑作といわれる「孔雀の窓」の、それを取り囲むレンガの外壁が見事に修復されていたのを、とても頼もしく思いました。
室内はコンクリートでも外壁はレンガ調
大地震でビクともしなかったニャタポラ寺院の前で
震災前、古都バクタプールは、レンガ造りの中世の街並みが美しかった街。新しく再建する家屋にも、レンガ調の外観を守るよう取り組みがなされているようです。
5日目(午後) 2試合目のサッカー交流!
バクタプールで昼食をすませ、ティミにある児童擁護施設「SOS」へ移動。この国際NGOは、身寄りのない子どもが社会に出るまでの間、保護し、必要な教育を与え、人間関係を育む事を目的に活動されていますが、震災により新たに8人の子どもたちが施設に保護されました。震災後、風の旅行社も支援しています。
訪問の目的は、もちろんサッカー交流。震災後この施設を訪れた際、広い天然芝のグラウンドで、多くの子どもたちが、長い時間サッカーに没頭しているのを目にし、パトレ村同様に「ぜひこの場所でFOOTRAVELを」と強く思ったからです。
試合前にスタッフから施設案内をしてもらう
いよいよ始まりますよー
この日のピッチコンディションは、連日の雨で、広範囲にまるで”田んぼ”のような状況でしたが、そんな事はお構いなーし! 2時間ほど交流試合を楽しみました。
試合前には、普段こどもたちが生活している15の居住棟「House」内など、施設の一部をスタッフの方から案内していただきました。スタッフの方もこの施設の卒業生が多いそうです。
1つのHouseに、子どもたちのお世話をする「Mother」が必ず1名いて、あえて違う年代・性別の子どもたちで居住者を構成することにより、家族がいない子どもたちに、”母親の存在+兄弟姉妹”関係を醸成している事など、参加メンバーは施設への理解を深められたようです。また、試合後には、現地の子どもと日本人メンバーは英語でコミュニケーションを図っていました。
それから施設を後にし、みんな泥だらけでホテルへ向かいました笑 (竹嶋)
ハーフタイム。ずぶ濡れのズボン裾にご注目
プレゼントのボールを大変喜んで下さいました
旅を振り返って
震災後、念願であったパトレ村とティミでのサッカー交流ができ、子どもたちや村人と、サッカーを通じて「同じ空間」・「同じ目的」を共有する時間を持てたこと。今回もサッカーの力は、言葉や国籍の垣根を越えてくれました。
「復興支援には、色々な形や手法があって良いではないか」
そんな思いもあって企画した、FOOTRAVELネパール編。
それを叶え、さらに実際にそれを体現してくれた、亜細亜大の学生さんも含む参加してくれた仲間たちに、心から感謝。デレーダンネバード!
今後もFOOTRAVELは、サッカー交流を通じてネパールを応援していきます。
そのボールが、世界の新たなフィールドへの扉に繋がっています!(竹嶋)