【バードウォッチングツアー視察レポート】北海道の様々な探鳥ポイントを調査!
2017年6月18日(日)~6月26日(月)
文●写真:簗川 堅治(やながわ けんじ)
中標津~野付半島
前日までに苫小牧から帯広に入り、今日は中標津の丸山公園で繁殖しているマガモを観察しました。ヒナを連れた雌親が3組観察できました。それぞれの組で成長具合が違います。人慣れしているのか、あまり逃げないのでじっくりと近くで観察できました。
続いて野付半島へ移動です。あいにくの霧雨模様です。狙いは日本でここだけで繁殖しているアカアシシギです。しかし、情報によると去年から芳しくないとのことです。まずは現場確認の意味で霧雨の中、ポイントへ向かいました。途中、シマセンニュウが何個体かさえずっていました。カッコウも飛び交っています。原生花園のセンダイハギやエゾカンゾウは咲き始めたばかりのようです。
カモの群れがいたのでよく観察してみると、スズガモやオナガガモ、ウミアイサ、クロガモでした。さすが北の地です。結局、アカアシシギは明日へお預けとなりました。
野付半島~春国岱~根室半島
北の大地の朝はとても早く3時半には日の出を迎えます。宿の近くでエゾセンニュウをちらっとだけ見て、4時半には出発して野付半島のアカアシシギのポイントへ向かいます。晴れてはいませんが、昨日のように霧雨ではなく視界も良好に向かっています。
駐車場ではノビタキが、そしてアカアシシギのポイントではノゴマが一生懸命餌運びをしていました。シマセンニュウやオオジュリンなどもよく歌っています。肝心なアカアシシギはというと、声は何度も聞こえるものの姿は見えませんでした。その他にはオジロワシやタンチョウなどを間近に見ました。
春国岱へ移動して森の中でセンダイムシクイやシロハラゴジュウカラ、シマエナガ、ミソサザイなどを観察。
その後、根室半島へ移動しました。北方原生花園でノビタキやオオジュリン、シマセンニュウ、真っ赤なベニマシコを観察。ここでは数羽のオオジシギが「ズビヤクズビヤク…ザザザザ…」とあのディスプレイフライトをする姿を堪能しました。
今日のハイライトはシマフクロウ。ポイントで声を聞こうと待っていたら、飛んでいく姿を近くで見ることができました。
根室半島~網走
早朝にエゾライチョウを探しに林道を進みましたが、残念ながら姿を現すことはありませんでした。しかし、原生林で鳴くコマドリやエゾムシクイ、ミソサザイ、アオバトなどが登場してくれました。
午前中は昨日同様に北方原生花園を巡って、根室の最後はショウドウツバメのコロニーを観察しました。サロベツへ移動中には思わぬ所でショウドウツバメの200巣程度のコロニーを見ることもできました。
根室半島~紋別~興部~猿払~サロベツ
サロベツへ行く前に紋別の原生花園へ寄りました。ここは鳥の密度が多く、シマセンニュウやエゾセンニュウ、ノビタキ、ノゴマ、オオジュリン、ベニマシコ、オオジシギ、アリスイなどを確認。オオムシクイもいました。
移動中、興部では海水を飲みに来るアオバトの群れが見られ、猿払の森林ではコマドリ♂♀の他にかわいいシマエナガの親子も見ることができました。
いよいよサロベツへ原生花園到着です。ここは何と言っても、今や日本ではここだけのシマアオジが狙いです。オオジシギが飛び交い、ノビタキやノゴマなどが子育てに一生懸命です。夕刻、ようやくシマアオジのさえずりが聞こえてきました。遥か遠くですがなんとかシマオジの♂がさえずっている姿を確認できました。
メグマ沼~兜沼~サロベツ~朱鞠内湖
早朝、サロベツ原生花園へ行く予定でしたが、残念ながらの雨です。雨が止む予報となってきたので稚内空港そばのメグマ沼原生花園へ向かいます。やや小雨模様の中、黄色い夏羽がきれいなツメナガセキレイを複数見ることができました。
次は兜沼へアカエリカイツブリを見に行きましたが発見できず、代わりにカンムリカイツブリがいました。今度は再びサロベツ原生花園へ向かい、シマアオジの♂を3羽確認。そのうち1羽の若い♂を比較的近くで見ることができました。
サロベツの最後は下サロベツへ。チュウヒや兜沼で見られなかったアカエリカイツブリなどを見ました。
その後、サロベツから内陸の朱鞠内湖へ移動です。ニュウナイスズメやオシドリの出迎えを受け、夜はヤマシギとフクロウを確認しました。
朱鞠内湖~大雪山
早朝はアカハラやキビタキ、センダイムシクイなどのコーラスが響き渡ります。アオバトやベニマシコ、キクイタダキもさえずっています。ここではキツツキ類に期待しましたが、クマゲラは声のみ、ヤマゲラには会えませんでした。
午後は旭岳です。狙いはギンザンマシコ。ポイントへ着くとカヤクグリやノゴマがすぐそばでさえずっていまいした。夕刻、突然目の前にギンザンマシコの♂が現れました。その後2度登場して、そのうちの1回は♀とのツーショットでした。
翌日も朝一番のロープウェイでギンザンマシコのポイントへ向かいました。この日は♂も♀も何度も出てくれました。今年は活動が活発なようです。旭岳温泉周辺ではルリビタキやベニマシコなどを確認しました。
天売島
いよいよ天売島へ。高速船に乗って1時間で天売島到着です。ノゴマとオオセグロカモメの多さに驚きました。まずは海鳥繁殖地の赤岩へ向かい、崖の上からケイマフリやウミガラス、ウトウ、ウミウなどを確認しました。
日の入り後は、メイン中のメイン、ウトウの帰巣シーンの観察です。19:30を過ぎると、沖から餌をくわえたウトウが次々と帰ってきて自分の巣に入っていきます。ウトウの生息数は実に80万羽以上! そこら中の地面におびただしい数のウトウの巣穴が掘ってあります。目の前をすごいスピードで通過していきます。圧巻の一言! 暗くなった20:00には観察を終了しました。
その後、せっかくなのでウトウが海へ餌とりに出る時間に観察に行きました。夜中の2時半頃、まだ真っ暗な巣の周りには、おびただしい数のウトウがいました。早くも海へ飛んで行く個体もいます。帰巣も見事ですが、出勤の光景もこれまた見事!
坂道を滑走路にして次々とウトウが大きな羽音とともに海へ向かっていきました。
5時からは漁船クルーズで海鳥観察です。ウトウやケイマフリを間近に見ることができました。ケイマフリは餌を運んでいる個体もいました。今や数えるほどしかいなくなってしまったウミガラスも遠くに数羽見られましたが、最後は4羽ほどが船の近くへ着水し、間近に見ることができました。
北の地ならではの、たくさんの鳥達に出会えたいい下見となりました。
【今回確認できた鳥達】
オシドリ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、シマアジ、コガモ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、カワアイサ、ウミアイサ、カイツブリ、アカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、キジバト、アオバト、シロエリオオハム、コアホウドリ、クロアシアホウドリ、コアホウドリ、アホウドリ、フルマカモメ、オオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ、ヒメウ、カワウ、ウミウ、サンカノゴイ、アオサギ、ダイサギ、タンチョウ、クイナ、オオバン、ツツドリ、カッコウ、アマツバメ、ヤマシギ、オオジシギ、アカアシシギ、ウミネコ、オオセグロカモメ、シロカモメ、オオトウゾクカモメ、ウミガラス、ケイマフリ、ウトウ、トビ、オジロワシ、チュウヒ、ノスリ、シマフクロウ、(エゾ)フクロウ、トラフズク、アリスイ、(エゾ)コゲラ、(エゾ)アカゲラ、クマゲラ、チゴハヤブサ、モズ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、キクイタダキ、ハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒバリ、ショウドウツバメ、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、(シマ)エナガ、オオムシクイ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、マキノセンニュウ、シマセンニュウ、エゾセンニュウ、コヨシキリ、(シロハラ)ゴジュウカラ、ミソサザイ、ムクドリ、コムクドリ、トラツグミ、アカハラ、コマドリ、ノゴマ、コルリ、ルリビタキ、ノビタキ、イソヒヨドリ、サメビタキ?、キビタキ、カヤクグリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ツメナガセキレイ、キセキレイ、ハクセキレイ、ビンズイ、カワラヒワ、マヒワ、ベニマシコ、ギンザンマシコ、ウソ、シメ、ホオアカ、シマアオジ、アオジ、オオジュリン 112種