「災」

*風のメルマガ「つむじかぜ」703号より転載

昨日、清水寺で発表された今年の漢字は「災」。北海道胆振東部地震や大阪北部地震、西日本豪雨や台風、猛暑。今となっては記憶が入り混じり区別がつかないほど次々と災害が起きた。北海道の厚真町で起きた土砂崩れの映像は、土砂に飲み込まれたあの家々の中に、人が埋まっているのかと想像すると、どうにもやるせない思いがした。

私たち旅行会社の仕事にも大きな影響が出た。中でも関西国際空港が台風で沈没し、お客様が飛び立つことも、帰って来ることもできなくなった。驚いたことに、関空は当初の設計で予測されたより沈下が激しいそうで、今後も台風のたびに心配しなくてはならないそうだ。利用を止めない限り嵩上げはできないとのこと。はたして、日本を代表する空港の一つが、そんな状態で大丈夫だろうか。

2011年の東日本大震災があった年は「絆」が選ばれた。今年の災害が軽微だったということでは決してないが、あまりにも大規模で日本中が大きな衝撃を受けた東日本大震災では、「災」はあまりにも直截すぎたのか。辛さを慰め、前向きに生きていこうという活力を与えてくれた「絆」に人々の関心が集まったということだろう。

先月、気象庁は、エルニーニョ現象が発生したと報じた。来春まで続くと予測されている。そうなると、日本は冷夏になり、暖冬になるといわれている。それはそれで異常気象であるから、農作物にも影響が出るから喜んではいられないが、個人的には、暑いのは苦手だから、少しほっとした気分になっている。

災害への備えには莫大なお金と労力がかかる。しかも、ハードとソフト両面が必要だ。古くなった橋や首都高などの補修もその一つだ。人間が病気の治療をするように大事になる前に治さなくてはならない。しかし、どうも先延ばしになっているように思えてならない。オリンピックも万博も結構だが、選挙の票にならず地味ではあっても、やるべきことが沢山ある。真剣に目を向けてほしい。「災」の上に「人」がつかぬように。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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