*風のメルマガ「つむじかぜ」681号より転載
中盤から自陣のペナルティーエリア前辺りでボールを回しているうちに、パスが通らなかったり、パスミスをして相手に取られる。何とかチャンスをつくっても、シュートまではいかない。シュートを打てる(と見える)のに打たない。シュートを打っても枠を外してしまう。点を取れるのはセットプレーからだけ。兎に角、観ていてイライラだけが募る。日本サッカーのイメージはそんな風に私の中では固定化されている。
ところが、今回のW杯では、2戦とも何度もチャンスを作り果敢に攻めて点を取った。日本らしかぬ強さを示した。何がどう変わったのか。私には技術的なことは解らないので、セネガル戦を解説していた、前日本代表監督の岡田氏とラモス氏の話から答えが分かると思ったら、
「日本も上手になったねえ。こんなサッカーができるのか。ねえラモス。凄いねえ」
「そうだね。ほんと、そう思いますよ。 強くなりましたよ」
そうだと共感はしたが、これじゃあさっぱりわからない。彼らをしても具体的に何がどう変わったかは言い表せないのだろうか。
サッカー選手のインタビューは、「〇〇だと思うし、、、明日、勝たないと意味がないんで、、、もう〇〇戦に気持ちを切り替えて、修正すべきところは修正し、やるべきことをやるだけです」といった調子で少々暗い。どこか、自分に言い聞かせるような口調である。顔は、終始緩めず、答えながら目線を時々横にそらすのも独特だ。野球選手が「気持ちよく打てました。みなさん、ありがとうございます! これからも応援よろしくお願いします!」とやたらファンに向かって明るく呼びかけるのとは対照的である。
野球では、まさに満塁ホームランを打った選手のヒーローインタビューで、個人の力を讃え拍手を送るが、サッカーは一人でたとえハットトリックをしても、個人よりチームの連携にどうしても話が及ぶ。きっと試合中連携が上手くいかなかったことが何回もあったのだろう。「修正して、、、」という言葉がそれを表現している。
こんなに連携が肝なのに、サッカーではあまりチームワークという言葉が出てこず、精神的なまとまりはあまり強調されない。チームの連携とは、互いの動きをどこまで先を読んで共有できているかというスキルのことだと私は思う。個人の癖を把握し、この状況なら誰が何を考えているか予測できる。そのスキルこそがチームの連携だと感じる。
私の目には見えないが、将棋の駒でも動かすようにゲームを頭の中で組み立て、考えなくても体が反応できるよう意識を集中させているに違いない。そのためには、冷静に周囲の状況と自分を把握する必要があるだろう。身体以上に頭が疲れそうななスポーツである。
兎に角、見る方はまったく勝手なものである。1対0とか言わず、ガンガン攻めて3点とって勝つ。そんな試合が見たいものだ。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。