*風のメルマガ「つむじかぜ」657号より転載
本年も、皆さまには大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。
今年も余すところあと10日。旅行業界全体では、ヨーロッパへのツアー客が戻ってきて少し明るい年になったようです。弊社も、漸くネパール大地震の低迷から抜けだし、2015年のチュニスのバルド国立博物館テロ事件で激減したモロッコへ行かれるお客様も増えてきてほっとしています。
2017年という年は、私にとっては、信じられないような未来を予感させる年でした。まるで少年のころ、図工の時間に未来都市を描いたあの世界が、現実化するのかと思うと信じられない心持ちです。
昨日、NHKで『MLB(Major League Baseball)のアストロズがワールドシリーズ初制覇した鍵は「フライ」だった』という内容の番組をやっていました。
2015年、軍事用レーダーを応用して投球の速度や回転数、打球の打ち出し角度や推定飛距離などを算出する「TrackMan(トラックマン)」と、専用カメラでグランド全体を撮影して選手の動きを追跡する「TRACAB(トラキャブ)」 を組み合わせた、「STATCAST(スタットキャスト)」というシステムを、MLBは全球場に導入したそうです。(出典:日経BPオンライン)
ファインプレーが解析され、プレーに繋がった初動が適切だったか否かまでわかってしまいます。挙句は、プレーの難しさが点数化され、それで選手を評価する方法が既に導入されています。
算出する最適な角度でフライを打てば、ホームランになる確率が格段に上がるということがわかり、球団を挙げて取り組んだ結果、アストロズが優勝したというわけです。今までホームランをシーズンで一本打てるか否かという選手が20本以上打つようになり、しかも、そんな選手が続出したというのです。
もはや、勘や経験で野球をする時代は終わったようです。味気ないなどという感想は一笑に付されそうです。正直、ショックでした。
ディープラーニングで、AIが自己学習を積み上げ進化していく。何時か、AIが人類を超える。それがシンギュラリティだ、などと説明されてもピンときません。しかし、もはや私の肌感覚では把握できない事象が次々と出てきていることだけは確かです。
まるで意思を持ったかのような会話ができるAIを“花子”と名付けて可愛がったら、花子は“命”をもったと言えるのではないでしょうか。花子が壊れたら、相当お金が掛かっても修理するでしょうし、新しいAIに変えても花子の記憶を引き継いだ花子Ⅱにするでしょう。でも、そうなると花子は、永遠の命を持つことになります。
今後必要な学問として、今、哲学が注目されています。AIの命とどう向き合うのかを考えていく必要があるのです。わくわくするような悩ましいような不思議な時代ですねえ。
改めて本年のご支援に深く感謝申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。
★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。