休日のとり方

*風のメルマガ「つむじかぜ」637号より転載


私が子供のころの学校の夏休みは、いつも8月の18日ころで終了。始まりも遅く、7月の28日ころ。たった3週間程しかない短い夏休みだった。5年生のときに、東京の親戚の子が夏に遊びにきて、東京は8月いっぱい夏休みだと知って驚いた。なんだか「負けた」と感じて、とても悔しかったことを思い出す。

その分、冬休みが長いと思われがちだが冬休みは普通である。何が違うのか。実は、「農繁休業」と称する休みが春と秋に5日ほどあり、2月には寒中休みなるものがやはり5日間ほど設定されていたのである。今はどうやっているか判らないが、最近話題になっている「キッズウィーク」に似ている。

ただ、名称のごとく、春秋のこの時期は果樹の袋掛けや稲刈りなどの最盛期を迎えるので、子供は農作業を手伝うのが原則である。私は菓子屋の息子だったので、農作業はなかったが、友達は農家の子が多かったので、友達の家へ梨の袋掛けに毎年行っていた。

ところで、この休みで一番喜んでいたのは先生方だったに違いない。実際、私が長野県の丸子町で教員をしていた時は、こんな行楽シーズンの真ん中に5日ほどの休みがあれば、だれだって「旅行に行こう」ということになる。職員旅行も秋の農繁休業を利用していたくらいだ。

「キッズウィーク」の趣旨は「家庭や地域の教育力を高めるためには、特に、大人が子供に向き合う時間を確保することが必要。学校の夏休みを5日ほど短くする代わり、別の時期の月~金の5日間を休みにする。これを全国一律ではなく、地域ごとに時期を分散化させて行う」ということだ。

私の子供のころの学校の休みの設定に似ているが大分違う。子供も労働力だった昔は、「農家は忙しいんだから学校なんか休みにしろ」ということだったが、今では大人も一緒に休んで子供と一緒に遊べ、というのだからまるで逆である。

以前から私は主張しているが、日本人は、休日にしてみんなで休めるようにしないと休まない。「みんなが働いている日に休めない」というのが、日本人の心情であり中小企業の実態でもある。「キッズウィーク」を本気でやるなら、該当の5日間を休日にするしかないと思う。

プレミアムフライデーも結局は大手企業の一部の実施で終わり定着しないだろう。最近は、そうした言いっぱなしの〇〇改革が多く実りが少ない。そんなことをするくらいなら、GWを4/29~5/5までの連続休にし、SWも9月の第4週を連続休にすると決めてはどうか。休みの分散化にはならないが、日本人の労働時間を減らすことになり国連でも堂々と胸を張れる。

日本は、現在も世界の中では祭日・休日が多い国である。いっそのこと、「みんなで休める休日大国」を目指せばいいのである。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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