*風のメルマガ「つむじかぜ」633号より転載
都議選が、都民ファーストの会の大躍進という結果で終わり、自民党が大敗した原因を多くの解説者が述べているが、民進党の敗北と都民ファーストの会の大勝利という構図にこそ、日本の政治の変化が現れているように思う。
二大政党制を日本で定着させようという意図が民主党の失敗以前はあったと思う。米国の共和党と民主党、英国の保守党と労働党のように、日本でも自民党という保守政党と民主党という革新政党が二大政党制を築くかに見えた。
しかし、民主党が見事に失敗し、旧来的な「保守と革新」という構図も崩れ去った。その結果、非常に力をもった安倍政権という自民党史の中でも珍しい強権的な政治が行われるようになった。自民党は党内バランスの上に成り立ち、その調整こそが難しかったが、是々非々の原則があり、決して独裁的な政党ではなかった。今は、少々違うように見える。
ところが、意外にも敵は保守の中にいたというわけだ。大阪維新の党が新しい保守として台頭するのかと思いきや、橋下氏は、自分でも公言していたが「私は、自分の考えを遠慮なく述べるので敵を多く作って失敗した。小池さんは、私なんかよりずっと上手」ということで、維新は地域政党以上にはならず、小池氏の都民ファーストの会は、周到な戦略で近い将来、国民ファーストを掲げ国政に打って出そうである。
保守の分裂というより、注目すべきは、考え方は保守でもその政治手法は革新的でリベラルという点にある。そういう意味では、都議会の自民党の老練な議員たちは、戦略的に駆逐されたともいえよう。
小池氏には、マッキンゼー出身の5人のブレーンがついているという。経験と感、人間関係だけで勢力を保ってきた都議会の保守勢力は、新しい戦略を持ち、AIだって駆使するだろう頭脳集団にしてやられたようである。
これが本当に新しい日本の政治勢力になり国政が変わっていくのか。注意深く、その方向性を見ていかなくてはならない。手法は民主的でも、内容は安倍氏より保守だと言われている小池氏が何を言い出すのか目が離せない。
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