ウォーキングキャンペーン

*風のメルマガ「つむじかぜ」608号より転載

弊社は、観光産業健保組合に加入している。加入してもう20年以上になるが、加入当時は、旅行産業自体の歴史が浅い上に、円高による海外旅行ブームで新興の会社が多く、どこの会社も20~30歳代の社員が圧倒的に多かったので、病気で健康保険を使う会員は少なく、掛け金の安い優良な健保組合だった。

そのせいだったのだろう。年に1回、木製の薬箱付きで、風邪薬、胃腸薬、鎮痛剤など、とても1年では使い切れないほどの量の薬が無料で配られていた。他にも、夏は西武遊園地などの入園割引券、冬は湯沢のスキー場のリフト割引券などももらえたし、熱海には小規模ながら上質な保養施設まで保有していた。

現在は、高齢化が進み医療給付が多額となってきた。まだ、協会健保(政府管掌健康保険を扱う日本最大の健保組合)に比べれば掛け金も安く優良な健保組合ではあるが、組合運営に嘗てのような余裕はなくなっている。

そんな観光産業健保組合の常務理事から今年の夏に一通のメールが届いた。
「原さんの会社は、ウォーキングキャンペーンに一人も参加していない。是非参加してください」
実は、私はこの健保組合の運営議員をしているので、こんなメールをいただけば無視することもできない。

渋々始めたのだが、これが結構楽しい。一日7000歩。これが現在の私の目標である。2ヶ月間で一日平均7000歩をクリアーすれば1400ポイントもらえる。驚いたことこのポイントは1400円分のクオカードと交換できる。“それならやりますよ”という者が増えて、現在ではかなりの社員が参加している。

ズバリ、健康を促進し医療給付を減らすためだそうだが、そんなに効果があるものかと少々訝しくもなる。しかし、大病をする人が多数出れば、それが健保組合の運営を危うくする。もちろん、少々歩いたくらいで即効性があるとは思えないが、長い目で見れば効果があるとのことだ。

それはともかく、7000歩というのは実に微妙な目標である。家と会社を往復し少々外出するくらいでは6000歩くらいまでしかいかない。夜、最寄り駅についてスマホでその日に歩いた歩数を確認し、7000歩に足りないと帰宅する前に20分ほど駅の周りをうろうろ歩いたりしている。

そんなことしていると怪しまれるから止めた方がいいとも言われるし、自分でもそこまでやらなくてもいいのでは?と思うのだが、悔しいというか、モヤモヤ感が残るのが嫌なのかつい歩いてしまう。

なるほど、キャンペーンは、こういう人間心理(私だけではないと思うのだが、、、) を利用して、ウォーキングを習慣化させることが狙いだった違いない。なんだか見透かされたようで少々悔しいが、歩きすぎに注意し続けることにしようと思う。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


シェアする