『童謡伝道師』もり・けんさん

*風のメルマガ「つむじかぜ」606号より転載

もり・けん(本名、吉森正憲)さんが「モンゴル日本親善協会40周年記念・功労賞受賞」を今年7月に受賞された。12/3(月)、その受賞を祝う会が大阪の太閤園で行われ、呼びかけ人の一人として列席させていただいた。

もり・けんさんは、1995年に初めてモンゴルを訪問し、司馬遼太郎氏の通訳を務めたツェベグマさんや日本モンゴル協会の元会長で、モンゴルで私立の孤児院「テムジンの友塾」を主宰しておられた春日行雄先生と出会い、モンゴルの子供たちへの支援を続けて来られた。

初めて訪問した時に、遊牧民お父さんから「また来るよ、と言ってまた来た日本人はいない」と言われ、翌年、「また来たよ」と言って訪れたら「お帰り」と言われ、以来21年間、モンゴルに通い続け訪問回数は43回を数える。来年の夏も弊社で、もり・けんさんと行くモンゴルツアーを組ませていただいている。

1951年大阪市生まれ。ハーモニカ演奏者であった父、吉森正隆氏の演奏に幼少の頃から接し見よう見まねでやっているうちにハーモニカが吹けるようになったと本人はおっしゃる。現在、ハーモニカ演奏者であり童話作家として広く活躍している。

もり・けんさんは『童謡伝道師』とも呼ばれている。「今、童謡を歌えない若いお母さんが多い。彼らを責められない。何故なら、私たち親の世代が歌ってあげなかったからですよ。親から歌ってもらった童謡や昔ばなしには、子どもの情緒や優しさを育てるエキスに溢れているんです。歌い継がれてきた素晴らしい曲や文化を今伝えなければ、やがて消えてしまう」。もり・けんさんは、ご自身の反省を込めてこう力説される。

モンゴル人は、大人も子供も歌詞カードなしで歌える歌を沢山持っている。日本人は、歌詞カードなしではほとんど歌えず、最近は童謡そのものを知らないという人が増えてきた。これに衝撃を受け、自分の世代が反省しなくてはいけない、と強く感じ童謡を広める活動をされておられる。ただ、歌うだけではなく、童謡を通して人として生きる“道”を伝えたい、それが『伝道師』と呼ばれる所以だろう。

もり・けんさんは、遊牧民の自然に抱かれた生き方を次のような話で伝えてもくれる。「水運びが大変なのだから川の近くに住めばいいじゃないですか、と遊牧民のお父さんに言ったら、川は家畜を始め、鳥や小さなリスやネズミなど多くの生き物が必要としている。そこに人間がいたら小動物たちが使いづらくなるでしょう、という答えが返ってきた」と。

祝いの会の終わりにご挨拶をさせていただいた。「もう、これでモンゴルから離れられなくなりましたね」。「そうですね。一生離れらないですね」。「私もですよ」。

250人ほどが駆けつけ、皆さん、素晴らしい会だったと笑顔でおっしゃってくださった。多士済々の応援団がこの会を盛り上げておられた。これも、もり・けんさんの人柄と感服した。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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