諏訪御柱祭

*風のメルマガ「つむじかぜ」579号より転載

3月に私が添乗したネパールツアーでご一緒したAさんが、GWの5/4に諏訪大社の上社前宮の建御柱に、Bさんご夫妻が、5/15の下社春宮の建御柱に招待くださった。長野県出身の私だが、今まで諏訪の御柱祭は観たことがなかった。もちろん、一度は観てみたいと思ってはいたが、なかなかこれといった機会もなかった。

誤解を恐れずに申し上げると、実は、私は、祭り見学があまり好きではない。どうも人混みの中でただ観るだけというのでは、あまり感動したことがない。もちろん祭りの雰囲気は大好きだし、酒を飲んで祭り気分し浸るのもいい。踊る阿呆になるのは好きである。しかし、年齢を重ねるにつれて体がそんなには動かなくなってくると、そうそう祭りに身体を使って参加することもできない。

今回は、祭見物もさることながら、Aさん、Bさんご夫妻やその関係者の方々とお会いし、あれこれ話をお聞きしながら一杯やろうという趣旨である。これなら観るだけではなく、地元の方々の生の話が聴けるにちがいない。体が動かなくなってくると、話を聴いてはあれこれ話すのが楽しくなってくる。

5/4の前宮では、建て御柱のすぐ近くに席が用意されていた。長さ19m直径1mのモミの木の御柱に40人もの人が乗る。その40人を乗せながら次第に角度を挙げていく。こりゃあ一体この先どうなるんだ、と不思議に思いながら観ていた。なるほど、みんな慣れたものである。御柱に幾つも巻きつけられた板を足場にし、命綱で身体を御柱と平行に確保ししっかりと立っている。

御柱が直立したら終わりかと思いきや、そこからあれこれと神事が続き、ずっと身体を御柱に確保し続けている。度胸も、体力も両方ないと御柱には乗れそうにない。一番先頭の人は、最後に、御柱に巻きつけられたその足場をはずして下りてくる。こんなことは、素人ではとても無理だ。鳶職など、それなりの人でないと出来ないだろう。

その格好良さに若者たちは憧れる。

当然かもしれないが、氏子しか御柱に乗ることはできない。昨今は、どこでも祭りの担い手が不足し、外から応援を呼ぶのが一般的だが、諏訪では、そういうことはないそうだ。それどころか、若者が争って御柱の乗りたがり、この祭りに関わろうとするのだそうだ。

一方、Bさん宅では、建て御柱の日は、朝から自宅を訪れる人たちでごった返し、奥さんはその接客で大変になるそうだ。ビールを冷やしても間に合わないので、嫁に来た2年目からは、生ビールのサーバーを頼んで自分で注いでもらうことにしたそうだ。

そんなBさん家の御柱祭に、私は、(株)風カルチャークラブで主に国内講座を担当する水野恭一と一緒にお邪魔した。結局、上社には行かず、ずっとBさん家で飲んで、皆さんの話をお聞きすることになった。これはこれで御柱祭の奥深さを知らされたように思う。Aさん、Bさんご夫妻に感謝である。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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