今、インドネシアの国会議事堂の大きな会議室にいる。年に何回か大統領の施政方針演説などで使われるらしい。各席にマイクが付いていて1500人が着席できるというから国際会議の会場のようだ。1965年に当時のスカルノ大統領によって建てられたとのことで、議長席の後ろに幅5m、高さ3mほどの黒檀色のガルーダ彫刻が威厳を誇示していた。
前方の席には、「日本インドネシア友好協会」の訪問団の方々が、二階俊博会長の登場を待っていた。実は、11/23に開かれた「インドネシア・日本交流の夕べに」に参加するために、日本から1100人の訪問団が組織され、友好協会の方々をはじめ経済界や観光関係の団体・企業が集っていた。私も、(一社)日本旅行業協会(JATA)の法制委員会のメンバー13人と共にこの訪問団に加わったというわけだ。
二階氏は、自民党総務会長であり(一社)全国旅行業協会の会長でもある。随分昔から観光業界のために尽力され、「観光立国日本」を強力に推進する大立者である。二階氏は、前回5月にインドネシアを訪問し、インドネシア大統領ジョコ・ウィドド氏と会談し、両国の観光VISA相互免除を可能にしようと提案し、それが実現した。
相互の観光を促進するに当たって、観光VISA相互免除ほど強力な武器はない。インドネシアからは、今年、既に14万人を越える人々が日本を訪問し、日本からは49万人以上が同国を訪れている。特に、インドネシア人にとって日本の観光VISAが免除になる効果は大きい。何故なら、日本ほど取得が面倒な観光VISAはないからだ。
日本の観光VISA取得には、日本人または受入団体・企業が保証人となり、保証人の納税証明書まで要求される。挙句は、本人がその国の在日本大使館まで出向き、インタビューまで受けなくてはならない。アメリカ、オーストラリアと並んでVISA取得が面倒な国に数えられている。
ネパールやモンゴル、ブータン、モロッコ、カンボジア、ミャンマー、ラオスなどの国やチベット自治区などの地域の日本VISA免除が実現したらどんなにいいだろう。難しい理由は理解できるが、余りにも厳しい。日本もこれらの国々にも胸襟を開いてほしいものだ。
「インドネシア・日本交流の夕べに」参加した私たち法制委員会メンバーは、ぎっしり詰められ歩くのもままならないホテルのバンケットルームの末席で、ステージの様子はスクリーンでしか見えない場所で、二階氏とジョコ・ウィドド大統領の挨拶をお聞きした。
日本とインドネシアの友好および観光の促進に少しでも役立てればと思うが、会場は、インドネシアが日本の新幹線導入を断ったせいか、いまひとつ盛り上がりに欠けた。ただ、「JKT(ジャカルタ)48」が登場し、そのときだけ異常に盛り上がった。これも友好の証ではあろうが、日本のこうしたサブカルチャーがアジアに拡大していることに、私は首を傾げてしまう。それも観光の重要な要素とはいうのだが首の傾きは、ますます大きくなる一方である。