前進するブータンとネパール

つむじかぜ497号より


ドマ(中国や台湾ではビンロウ、ニューギニアではビートルナッツ)の臭いがツーンとくる。口の中を赤くして、唇にまではみ出ている。白い歯がピンクに染まって見える。私から見ると、あまり格好の良いものではないが、ブータンの人たちは、ドマを終始手放さない。男女を問わないが、特に、若者にやる人が多い。

「車の中では辞めてくれよ」とドライバーには頼む。ブータン人の習慣だしタバコのように、周りの人にも健康被害が及ぶというものではないので、辞めろとは言わないが、決して良い匂いとは言えない。車の中では勘弁してほしい。

9/9から9/17までブータンとネパールへ行ってきた。何度か、ここにも書かせていただいたが、私は、2011年5月から3年半にわたり、公益社団法人日本環境教育フォーラム(JEEF)によって『JICA草の根パートナー型事業』として取り組まれたBhutanのPhobjikhaにおける『Community Based Sustainable Tourism(CBST)開発プロジェクト』に、マーケッティングアドバイザーとして関わってきた。

この度、同プロジェクトが終了するにあたって、その成果を確認し検証して報告をしてくれというので、Phobjikhaを再訪することになった。Phobjikhaのホームステイとローカルガイドが案内するPhobjikhaツアーのプログラムは、この一年間で260人の外国人観光客を集めた。ゼロからはじめたのだから、なかなかの成果である。

ホームステイなんてどこでもできそうなものだが、実は、外国人でも使えるトイレを用意し清潔に保たなくてはならない。食事も、辛くなくしたり、外国人が食べやすいメニューを考えるなど、それなりに工夫が要る。もちろん、衛生的な調理がなされているかがもっとも大切である。もっと大切なことは心の準備をしてもらうことである。まったく普段の生活そのままでは、逆に、ブータンの生活も習慣も伝わらず、交流もできない。

だから、研修が必要だ。Phobjikhaでは、現在、19軒の家が研修を終えホストファミリーとして登録されているが、こんなにきちんとやっている村は、ブータン中探してもここしかないだろう。JEEFは、来年からはパロの空港から3時間ほどでいけるHAAという村で(CBST)開発を行うので、そのお手伝いもすることになった。嬉しいことに、当面、ブータン通いが続きそうである。

「せっかくブータンまで来るならネパールにも寄ってほしい」とNEPAL KAZETRAVELの代表・プリスビーがいうので、私が添乗する年末のネパールツアーの打ち合わせもかねてネパールに寄ってきた。

「あと2年で、ネパールもよくなります」そうプリスビーは言う。ネパール航空もいよいよ新しい飛行機を導入するので、早ければ2年後には、日本に飛ぶかもしれない。電気も、現在水力発電所を作っているので、あと2年で停電がなくなる。慎重なプリスビーが言うのだから、多少の遅れはあっても実現するに違いない。

久しぶりにネパールが、確実に前進し始めたと感じワクワクする。実に、楽しみである。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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