安倍首相の会見内容を全文を読んで

つむじかぜ486号より


昨日は、日経新聞以外の新聞をすべて買った。各紙は、いったいどう書くのか。改めて確認しておきたかった。同時に、集団的自衛権の行使を限定容認する閣議決定がなされたその後に、安倍首相が臨んだ記者会見で述べた会見内容と閣議決定の全文を読んでみたいとも思った。

驚いたことに、安倍首相の会見内容を全文で載せていたのは、読売新聞だけで、読売以外は掲載していても要旨どまりである。要旨ではまったく意味がない。こういうものは全文を載せるべきである。

とてもここで掲載はできいないが、以下のwebに載っているので読んでいただきたい。http://goo.gl/uoIvg9

実に綺麗な文章である。曖昧さは微塵もない。集団的自衛権の行使容認が、抑止力となり、日本は戦争をしない平和を維持する国に一層なれるのだと言い切っている。

実は、各紙を買ったもう一つ大きな理由がある。昨日の朝、私は、武蔵境駅で各紙を買って亜細亜大学に向 かった。この4月から、週に一時間だけ水曜日に授業を持っているからだ。学生に、この全文を読んで聴かせたかった。先日は、福井地裁の大飯原発の判決文の要旨を読んだ。「こういうものは、必ず原文を読むこと」そう教えている。記事など読んでも、心には残らないが、原文は残る。

学生の反応は、「こういう文書を読むと、なんだか賛成したくなってしまいます」というものだった。確かに、この文章には、訴える力がある。容認賛成の読売新聞が全文を掲載した理由が判る。だからといって、全文を掲載しない他紙に関しては感心しない。読ませたくなかったのかと勘ぐってしまう。閣議決定全文だ けでは、なんのことだか分らない。いったい、何を目指してこの国の舵をどう切るのか。それは首相の会見で判断するしかない。

私は、この文章を何回も読んでみた。やっぱり、この文書はひどく上っ面なものだと感じる。私が、今回の件に反対だという立場で読んでいるからだと言われるかもしれないが、どう考えてもこの文章は、本音に蓋をして美辞麗句を並べたものにしか思えない。

何故、集団的自衛権の行使容認が抑止力となるのか。私には、喧嘩をする準備ができて武器も使えるようになったとしか思えない。明らかに論理矛盾をきたしている。1960年の安倍首相の祖父岸信介氏が首相として行った1960日米安保協定の改定を抑止力の例として挙げているが、集団的自衛権の行使容認が、それと同質とは思えない。

しかも、ここでは、絶対的抑止力になって日本は戦争することはない、と言い切っている。家に帰って息子たちに読ませたところ、長男いわく、「確かに綺麗な文章だが、まるで決意表明みたいだなあ」そう、確かに決意表明である。本当に未来永劫、日本は戦争をしないのだろうか。

安倍晋三という人は、米国に押し付けられた憲法を変えて軍隊を持つことが独立国家としての条件だ。と言っていたはずだ。国を守るために、日本が武器をもって戦うことになったら堂々と戦うんだ。それで犠牲 者が出たら靖国神社に祭る。そういうことが本音じゃあないのかと思う。

いずれにしても、2014年7月1日は、日本の戦後史が大きく方向を変えた転換点であることは間違いが なかろう。せっかく買ったからこれからじっくり細部の記事まで読んでみようと思う。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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