ツアー名:冬の北海道 道東でワタリガラスとシマエナガを探す3日間
2019年2月23日(土)~2月25日(月)
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)
冬の北海道バードウォッチング 1日目
今季は全国的に雪が少ないシーズンです。とは言え、さすが北海道、冷えていますので雪はまだまだ残っています。まずは最近ネットで話題の網走市内の公園にエゾモモンガを探しに行きました。しかし、場所もよくわかっていなかったことと、時間の制約もあり、見ることはできませんでした。
続いて涛沸(とうふつ)湖へ行きました。結氷していた湖面も開き出し、オオハクチョウやホオジロガモなどが見られました。普段は遠いホオジロガモもここでは近くで見られるのがいいです。氷の上にはキタキツネの姿も。
さて今度は、このツアーのメイン、ワタリガラスを見るポイントへ向かいます。警戒心が強い鳥なので、無事見られるか? 期待と緊張の中、ポイントで待つことしばし。海は流氷でびっちりです。
大きい鳥が現れました! 「出たっ!」と思ったら、ワシでした。オオワシ、オジロワシが時々通過していきます。普段はカラスよりワシの方が圧倒的に注目されますが、今回ばかりは「なんだ、ワシか…」です。カラスも飛びますが、どれも小ぶりなハシブトガラス。
なかなかワタリガラスは登場してくれませんでしたが、ワシが通過したそのずっと奥に尾が長く大きいカラスが2羽飛んでいます。出ました! ワタリガラスです。
あいにく、斜め後ろ姿で遠くなっていく格好でしたが、長くてくさび型の尾や猛禽類のような飛び方は確認することができました。その後、声はしたものの、出ない感じでしたので、2ヶ所目に移動しました。
流氷の上では流氷ウォークの人たちが時折歓声を上げていました。わずかに開いた海面にはホオジロガモやシノリガモ、カワアイサ、スズガモの姿がありました。
結局ワタリガラスは出ませんでしたが、日の入りも近づいていましたので、流氷と沈む夕日の何とも言えない綺麗な景色を見て、この日は終了しました。
冬の北海道バードウォッチング 2日目
朝一でワタリガラス狙いです。晴れて穏やかで鳥見には格好の条件ですが、ワタリガラスどころか、ワシもあまり出ません。移動しながら数ヶ所で試みましたが、残念。結局、現れてはくれませんでした。
続いて、日本一長い直線道路「天に続く道」を通りながら、今日の宿泊地・鱒やさんに向かいました。近年人気のシマエナガ狙いです。今季、マイナス30℃を記録した頃は、シマエナガもよく餌台に来ていたそうですが、ここ数日は暖かくなり来る頻度は下がってしまったとのことです。
そんな中、ひっきりなしにやって来るハシブトガラを中心にシロハラゴジュウカラやエゾアカゲラ、エゾコゲラ、シジュウカラを間近でじっくり観察撮影しました。
そして、「チーリーリー…ジュリリ」という声とともにお待ちかねのシマエナガの登場です。しかし、群れではなくたった1羽。それもちょっとの時間でいなくなってしまいました。それでも観察撮影できたので、まずは安堵しました。
冬の北海道バードウォッチング 3日目
昨日、ちょっとだけだったシマエナガ。今日は群れでじっくりと…を期待して、朝食前から餌台の前に陣取ります。昨日同様、ハシブトガラを中心にシロハラゴジュウカラやエゾアカゲラ、エゾコゲラ、シジュウカラが今日もひっきりなしにやって来ます。エゾアカゲラは4羽も同時に見ることができましたし、奥の方ではミヤマカケスがちらり。
そして真打登場! 今日は2羽のシマエナガです。脂身をつついたり、雪の地面に降りたり、しばし楽しませてくれました。
結局、大きな群れではやってきませんでしたが、2羽のかわいらしい姿にみな満足しました。また、こぼれた餌を目当てにエゾヤチネズミが何度も現れ、これもまたかわいらしくよかったです。
最後は女満別湖畔でエゾオオアカゲラやコアカゲラをと意気込みましたが、残念な結果となりました。ただ、オジロワシ10羽の乱舞やオオワシなどで楽しめました。
雪が積もると人も鳥たちも大変ですが、厳しい自然の中に生きるたくましさをより一層垣間見た3日間でした。遠い所、参加していただきありがとうございました。
【おまけ】簗川さんによる手書きのおさらい
【今回確認できた鳥達】
オオハクチョウ、マガモ、スズガモ、シノリガモ、ホオジロガモ、カワアイサ、ヒメウ、オオセグロカモメ、トビ、オジロワシ、オオワシ、ハイタカ、(エゾ)ヤマセミ、(エゾ)コゲラ、(エゾ)アカゲラ、(ミヤマ)カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ワタリガラス、ハシブトガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、(シマ)エナガ、(シロハラ)ゴジュウカラ、ツグミ、アトリ、(オオ)カワラヒワ、マヒワ、シメ、計30種