添乗ツアー名 ●パキスタン北部の絶景地を訪ねる
桃源郷フンザとナンガパルバット北面展望トレッキング9日間
2019年4月26日(金)~2019年5月6日(祝・月)
文・写真 ● 荻原文彦(東京本社)
当初9日間のツアーは、航空便のスケジュール変更やフライトキャンセルが生じ日本発着が10日間もしくは11日間の行程に。
更にカシミールの情勢が緊迫化したり、パキスタンビザの取得もシステムの問題で出発日直前になるなど、とにかく出発前からトラブル続きのツアーでした。それでも、10名様のご参加で無事にパキスタン北部の絶景地を巡ることができました。
■ 前半は“桃源郷”フンザ周辺の展望地巡り
首都イスラマバードからギルギット・バルティスタン州の州都ギルギットへの国内線は、6時間ほど遅れたものの無事に飛び、フンザ中心地カリマバードに3連泊することができました。
滞在1日目は、フンザ周辺の絶景を360度見渡すドゥイカルの丘でモルゲンロートを楽しみ、旧フンザ王国のバルティット城砦やバザールの訪問の他、フンザ川対岸の旧ナガル王国の村を訪れカラコルムの美しき山々を眺めると共に、まさに桃源郷のような里山の暮らしぶりにふれました。
そして、今年は雪が多く冬が長かったため、アンズの花がまだまだ見ごろだったことはラッキーでした。
滞在2日目は、カラコルムハイウェイ(KKH)を北上しパスー氷河と鋭鋒シスパーレ(7,611m)を展望するハイキングへ。あいにく朝から雲が多く歩き始めは少し小雨も降りました。その後雨は止み日も差してきたのですが、シスパーレは雲の中。岩と砂の荒涼としたトレースを歩いていると、最大瞬間風速が20m/s近い、ものすごい強風に見舞われてしまいました。それでも、眼下にパスー氷河や日本の剣岳を50倍位にしたようなカールンコー(6,977m)山塊の展望を楽しみ、帰りのKKHからはシスパーレの山頂が少しだけ雲の切れ間に見ることができました。
■ 中盤は“ヒマラヤ最西端の巨峰”ナンガパルバット北面をトレッキング
フンザに別れを告げKKHを南下。インダス川や世界三大山脈(カラコルム、ヒンドゥクシュ、ヒマラヤ)のジャンクションポイントの景観を楽しみ、フェアリーメドウ(3,300m)へ。
ナンガパルバットから流れるライコット川との出合・ライコット橋から、ローカルジープに乗り換えます。この1時間半のジープ移動は、谷側に座ると、断崖絶壁すれすれを走るスリルが味わえます。10年振りに訪れた参加者の方は「いや、道が広くなりましたね~」とおっしゃっておりましたが、中々の絶景絶叫ロード、“ライコット・ウィリージープ・絶叫アトラクション”と命名したいと思います。
ジープを降りてから、フェアリーメドウまではのんびり3時間強のハイキングです。この日も少し小雨がありましたが、ライコット氷河の先にナンガパルバットの山塊が一時見ることができました。馬を手配された方は2時間半弱でゴールされました。
フェアリーメドウに2連泊し、滞在中はナンガパルバット北面の好展望地へのトレッキングを楽しみました。本当は約4,000mのベースキャンプ(BC)まで目指したかったのですが、今年は冬の積雪が多く、ロッジがある最奥のバヤルキャンプとその先の森林限界にある展望地までしか歩くことが叶わず。朝、出発した時は雲の切れ間もあり、好転の兆しがあったのですが、時間がたつにつれて雲は厚くなり、激しい雪に……。ところどころ膝下まで雪に埋まりながらのスノートレッキングになりました。それでも、「これはこれで面白い!」とポジティブに元気に歩かれたメンバー皆様に、とっても救われました。
フェアリーメドウを下りる日の朝、ナンガパルバット山頂付近に多少の雲がありましたが、前日の雪で近場の山は雪化粧をして、素晴らしい景色を見ることができました。その景色に後ろ髪をひかれながら、フェアリーメドウを後にしました。
■ 終盤はKKHひた走りとガンダーラ仏教遺跡
フェアリーメドウからの下山日は、ハイキング&ジープ移動の後、かつてのシルクロードの名残、仏塔などが描かれた二ヶ所の岩絵を訪れながら、ベシャムまでひたすらKKHを走ります。新しいダムの建設やそれに伴うKKHの工事もあり、ベシャム到着は真夜中になってしまいました……。本当に皆様お疲れ様でした!
翌日もまたKKHをひたすら走りました。ビンラディンが潜伏し米軍により掃討されたアボタバードの「パキスタンで一番美味しい店」(ガイド談)で昼食後、かつてガンダーラの中心として栄華を誇ったタキシラへ。博物館や仏教遺跡、都市遺跡を訪れました。紀元前2世紀の都市遺跡から、アフガニスタン方面へ沈む夕陽に感傷的になりながら、首都イスラマバードへと戻りました。
ツアーは、この3つの魅力を何とか9日間におさめた内容になっています。KKHの工事渋滞などがあるとホテル帰着が夜遅くなったり、1日の行動時間も長いためお疲れになることもあるかもしれません。しかし、パキスタン北部の魅力はしっかり感じていただけると思いますので、是非次のご旅行先候補に加えていただけると嬉しいです。
< 今回同行したツアー >