その土地に暮らす人々と同じ目線に立つことで初めて見える景色があります。ブータン人の深い信仰の対象となっている寺院へのハイキングは、ブータン人と一緒に生活路としても使われている道や、巡礼路をのんびり歩きます。ハイキング・ルートは、ところどころで少し急な登りはありますが、地元の人は革靴で登っている位で、決して険しいものではありません。車窓から眺めた景色ではなく、歩くことでブータンの信仰と生活、風や自然の移り変わりを感じてみてはいかがでしょうか。
ティンプー周辺
ハイキングの終着点 ワンデツェ・ラカン
サンゲガン ハイキング〈巡礼路、生活路〉
高級住宅街が多く建ち並ぶモティタン地区はティンプー市街の西に広がる緩やかな傾斜地。そのエリア上部、BBS(ブータン放送)の放送塔付近にあるサンゲガン展望台がこのハイキングのスタート地点です。往復約2時間、ほぼ平坦で緩やかな道をワンデツェ・ラカンまで歩きます。
松林の中を歩いていくと、途中何度か林が切れるポイントがあり、往路は右手にタシチョ・ゾンとティンプー市街の眺めが広がります。終着点のワンデツェ・ラカンは17世紀に建立され、寺院の内部には形の異なった8つの仏塔、曼荼羅壁画、仏像などが安置されています。ご本尊がお釈迦様なので、別名シャカ・ラカンとも呼ばれています。
また、サンゲガン周辺はティンプーの若者のデート・スポットとしても有名です。
タンゴ僧院の門
タンゴ僧院 ハイキング〈巡礼路〉
ティンプーから車で約40分でタンゴ僧院のハイキング口に到着します。針葉樹林の森の中を登ること約1時間半、僧院の門が見えてきます。
タンゴ僧院は12世紀に創建された寺院で、ドゥクパ・クンレイ、シャプドゥン・ンガワン・ナムゲルにも縁のある寺と伝えられています。この僧院は軒や欄干の細部に至るまで、建物全体に美しい装飾彫刻が施されており、また中庭を囲む回廊にはカギュ派の聖人を中心とした壁画が全面に描かれています。現存の建物は18〜19世紀に再建されたものといわれ、今はブータンでも数箇所しかないシェダ(高等仏教学校)として使われています。(2017年2月現在、修復工事のため立ち入り禁止。2020年完成予定)
プナカ近郊、ロベサ村周辺
パロ周辺
タクツァン僧院
ブータン随一の聖地 タクツァン僧院〈巡礼路〉
断崖絶壁にへばりつくように建つタクツァン僧院はブータンでも有数の聖地として知られ、ブータンにチベット仏教を伝えた聖者グル・リンポチェが虎に跨ってこの地に舞い降りたという伝説から「タクツァン(虎のねぐら)」という名がつきました。僧院内部にはグル・リンポチェが瞑想したと伝わる洞窟も残っており、今なお人々の篤い信仰の場となっています。グル・リンポチェはこの地で瞑想した後、ドルジ・ドロという忿怒尊の姿に変身し、パロ地方の土着の神々を調伏し、仏教に改宗させたと伝えられています。その時の様子などがツェチュ祭でも再現されます。また、この地にはシャプドゥン、吟遊詩人として有名なカギュ派の始祖の一人ミラレパなど、多くの高僧が訪れたと伝えられています。
タクツァン僧院へのハイキング
トレッキング開始地点はパロ市街から車で約20分。さえぎるもののない乾燥した道や広葉樹林の中を歩くこと約1時間半で休憩所、さらに約40分で僧院の展望台へ到着します。内部拝観の許可が得られれば、絶壁にへばりつくような石段を通り、断崖の寺院・タクツァン僧院へ向かいます。体力に自信のない方は途中にある休憩所で待つことも可能です。
スタート!
森を通り
森を抜けると乾燥した道
荷上げ用の馬も通ります
夏は道がぬかるみます
途中に展望台
森を再度抜けます
第二展望台 標高3,000m
僧院までの道は階段
ちょっと急です
滝の横を通ります
僧院目前です