草原の聖なる岩山に張り付くように建つセルゾン寺
アムドとはチベットの東北部。現在の行政区画では青海省、甘粛省、四川省にまたがる地域。豊かな大草原であるアムドは、北はモンゴル、東は中国、西はイスラム世界と隣り合い政治的、文化的に周辺地域と同化と衝突を繰り返してきたため、人々は強いアイデンティティと信仰心を持っています。そんなアムドの草原地帯を行くと、人懐っこい笑顔の遊牧民や、彼らの信仰心が結集した巨大な僧院が、大草原に突然姿をあらわします。
アムドMAP
熱い信仰心がほとばしる 宗教都市・同仁
同仁(レゴン)は大僧院ロンウォ寺を中心に黄河の支流沿いに開けた街です。西寧から僅か130km とは思えないほどチベット色が強く信仰心の篤い地域です。周辺の村と「レゴン芸術」と呼ばれるチベット仏教美術の中心地で、夏のルロ祭(六月会)、冬のモンラム(大祈祷祭)など盛大な法要が毎年開かれ、仏教伝来以前の土着宗教の影響も色濃く残ります。
● ロンウォ寺
田舎町には不似合いなほど巨大で壮麗な僧院。仏教大学として機能し、周辺から集まった500人ほどの学僧たちが修行生活を送っています。
● 芸術の里・センゲジョン村
仏画・仏像の製作が盛んで仏教芸術の村として有名です。工房見学や作品の購入も可能で、ヒンドゥ寺院を髣髴させるド派手装飾の仏塔や寺院が建ち並びます。
● ゴマル村
センゲジョンほどの派手さはありませんが、仏画や仏像を納めた高さ30mの巨大な仏塔が建ち、裏手には僧侶たちの僧坊と伝統的なアムドの村が広がります。
ルロ祭(六月祭)
チベット暦の6月に行われる五穀豊穣を祈る収穫祭。土着神への踊りの奉納、神降し、芝居の披露、頬を串刺しにする儀式などが村ごとに展開されます。
アムド・同仁のルロ祭(六月会) 神が憑依した村人が踊る
アムド地区最大の僧院 ラプラン寺
黄河の支流サンチュ河沿いの美しい草原地帯に突然現れるアムド地区最大の僧院。朝夕には民族衣装に身を包んだチベット人が巡礼に訪れます。本堂を中心に僧房群や門前街が立ち並び、夏河の街と一体化した宗教都市を形成しています。かつては4,000 人ほどの僧侶が修行していましたが、現在は1,300 人ほど。政府からの援助を受けず、国内外の信者からの寄付のみで運営され、お寺の案内も僧侶自らが行っています。
美しい草原に囲まれた セルゾン寺
人里離れた何もない山の中を進んでいくと突如として現れる僧院。岩山に張り付く様に建っている姿が壮観です。夏は周囲の草原が大変美しく、遊牧民が羊やヤクを放牧し、様々な高山植物が咲き乱れる楽園となります。寺を囲む巡礼路も景色が素晴らしく、約3時間ほどのトレッキングで1 周できます。
ゲルク派開祖ゆかりの名刹 タール寺(クンブム)
チベット名の「クンブム」とは「十万の仏像」の意。14世紀中頃、チベット仏教ゲルク派の開祖ツォンカパの生誕地に建立された仏塔が、大伽藍を誇る僧院となりました。チベット暦の正月(モンラム)などに大法要が開かれ、仮面舞踏が披露されます。
中国最大の湖 青海湖
標高3,200mに位置する巨大な湖。周囲から多くの河川が注ぎ込む湖畔には、家畜を丸々と太らせる美しい草原が広がります。7~8月には湖畔の菜の花畑が黄色い絨毯のように広がり、湖面の青と美しいコントラストを見せます。
大地の皺 黄河キャニオン
青海省の羊曲や興海周辺では、黄河の流れが大地を長い年月をかけて削り取った、グランドキャニオンのような大渓谷が見られる。風雨で風化した岩肌は、まさに大地の「皺」のようです。
赤い巨岩が乱立 カンブラ国家森林公園
赤い堆積岩で形成された「丹霞(たんか)地形」の奇景が広がる国立公園。不思議な形をした赤い巨岩と、黄河を塞き止めた青いダム湖が織りなす風景は一見の価値があります
アムド一の聖山 アムネ・マチン
アムネ・マチンは約40km に連なる山脈で、その主峰マチェン・カンリの標高は6,282m。ニンマ派の影響の強いこの地域では、山神への民間信仰が色濃く残っていて、アムネ・マチンにはこの地域の守護神であるマチェン・ポムラが宿ると言われています。山脈を囲む全長180km もの巡礼路があり、この山神のご加護を祈って人々が巡礼をします。夏になるとアムネ・マチンの麓にはブルーポピーやイエローポピーを始め、様々な高山植物が咲き乱れ、一面のお花畑となります。
曙の空のような青 ンゴリン湖
黄河源流の近くにある「曙の空のような青」という名前の大きな湖。青のグラデーションが息を呑むような美しさです。夏は湖の周りに美しい草原が広がり、草原の緑と湖の青のコントラストもすばらしいです。夏になると周囲にはブルーポピーやイエローポピーなど、様々な高山植物が咲きます。自然の豊かなこの地では、チベット野ロバやチベット・ガゼルなどの野生動物がよく出没します。
黄河の作り出す風景
中国文明を生み出した大河・黄河の源流はアムドに源を発し、大きく蛇行を繰り返しながら、草原以外にもさまざまな自然の景観を造りだしています。多様な大自然の景観もアムドの魅力の一つです。
アムドの高山植物
緑豊かなアムドは、チベット医学で薬草となる高山植物の宝庫とも言われています。
● 青蔵鉄道の始発駅 西寧
アムドの最前線であると同時にモンゴル族、イスラム教徒や漢民族なども暮らす「民族の交差点」。青海省の総人口約500万人のうち4割近くが西寧に暮らしています。青蔵鉄道の始発駅として近代化が進み、高層ビルが立ち並ぶ大都会に変貌しています。
アムド出身のチベット人日本語ガイドがご案内!
言語も文化も漢民族地域とは全く違うアムドでは、日本語がうまくてもチベット語(アムド方言)、チベット仏教、歴史や文化、風俗習慣への理解がなければ充分なガイドができません。風の旅行社ではチベット人経営の現地旅行社と提携して日本留学経験のあるチベット人日本語ガイドをご手配しています。彼らから子供時代の話、家族や日常の話を聞くだけで、アムドへの理解がより深まることでしょう。