ネチュンの扉絵
「知られざるラサ」とはその名のとおり、知られていないラサ、のことです。
「知られていないラサ」とは、一言で言えば、いわば「ラサの隠れた部分」のことで、ラサの裏道や山奥など観光客は普段は行かない・行けないような場所になるでしょう。
そのような場所から見るラサは、ポタラやジョカン寺などの<中心>から見るラサとはいかにも違っています。
<周縁>から見えてくるラサ―。
それは、チベットの奥深さを知る旅の、「はじまり」になることでしょう。
現代ラサ「人気の女神」タプチェ・ラモ
ラサの仏教世界は、お釈迦様の教えがすべてではありません。
ここ10年近くにわたって、チベットの急速な経済発展とともに、ラサでは現世利益の信仰が活発になってきました。それにともない、急速に「財神」としてチベット人に拝まれ始めたのが、このタプチェ・ラモです。もとは中国・清代の皇女であったタプチェ・ラモは、その信仰心から自身が慕うラマを追ってラサまでやってきた、という伝説が残っています。姉妹から嫉妬され毒殺されかかりますが、その毒を吐き出し、そのまま舌が固まってしまったため、写真のように舌を突き出しています。
霊力のひときわ強い女神として崇拝され、地元チベット人は「願ったことがすぐ叶う」と口々に言い、チベット中から参拝者が絶えることはありません。参拝者は強いお酒を片手に、このタプチェ・ラモ詣でをするのです。
タプチェ・ラモ
参拝者であふれるタプチェ・ラモの寺
お供え用の御神酒をお寺に納品
売店で御神酒も販売されている
荒ぶる神のお告げを聞くネチュン寺
ダライ・ラマ政権時代に政策決定のための神託官(シャーマン)がいた寺です。この神託官は「神降ろし」のためにトランス状態になり、荒ぶる神・ネチュンのお告げをきいたとされます。
ネチュンの壁画
現在、神託官はインドに亡命して不在ですが、お寺の壁画はオドロオドロしい壁画で満たされており、非常に濃いニンマ派的空間となっています。中にはチベットに仏教を広めた密教行者で、ネチュンを調伏したとされるグル・リンポチェの巨大な像、そしてネチュンの神像が祀られています。この神像を前にして、鳥肌の立たない人は少ないでしょう。ラサでゲルク派のお寺ばかりの見学にちょっと飽きてきた人にオススメのお寺です。
シュクセ尼寺
「チュウ」と呼ばれる苛酷な精神修行。それは夜、鳥葬場など魑魅魍魎たちが棲む場所にひとり赴き、そこで自身の肉体をそれらに施し与える観想をするという、すさまじい行(ぎょう)なのです。その行を行っている尼僧たちが住んでいるのが、このシュクセ尼寺。ボン教の影響を受けたチベット仏教「ニンマ派」に属し、その行もニンマ派らしく野性的かつ非常にダイレクトなのです。シュクセの建っている空間は、そこにいるだけで聖地と直観することができるほどの場所。このディープな場は、21世紀の今となっても、伝統チベットの精神性の原風景が垣間見える場所なのです。
いざ、シュクセ尼寺へ!
シュクセ尼寺
台所で食事の支度
トゥン(ラッパ)の練習風景
密教壁画の万華鏡 ゴンカル・チューデ(ラサ郊外)
カーラチャクラ、へヴァジュラ、チャクラサンヴァラ、グヒヤサマージャ・・・ ときけば、「密教ファン」にはお馴染みのはず!そう、このお寺にはイダム堂と呼ばれる、密教の神々の壁画が存在します。チベット人にとっても世界的な遺産の感覚からいっても、非常に稀有な密教壁画なので、ガラス張りになっていますが、一度このお堂の中に入ると、密教世界が万華鏡のように広がります。中で気を失ってもこちらは責任はもてません(笑)。幸い、我々日本人には『チベット密教の神秘 快楽の空・智慧の海』(正木晃・立川武蔵)というゴンカルチューデを紹介した解説本が出ているので、詳しくはそちらもご覧ください!現場体験されたい方はツアーへどうぞ!
ゴンカルチューデ外観
ヤマンタカ
「知られざる」チベット世界を垣間見る
終了ツアー 聖なる都ラサの名刹・古刹を巡る7日間
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