名古屋支店開設。 地域密着型店舗に!


4月1日、名古屋支店をOPENしました。実は、周囲からは「ネット全盛の時代に店舗を出すとは、随分と思い切ったことをするねぇ」とかなり言われました。確かに、大手旅行会社も一昨年から店舗を減らしていて、今後も、店舗は急速に減っていくと言われています。
では、どうして出店するのか。それは、インターネットの時代だからこそ、お客様と直に接することができる場所・機会を増やしたい。そう考えたからです。但し、インターネットでは相談を充分にお受けできず説明もできないから店舗を出そう、という意味ではありません。
もちろん、店舗にご来店いただければ丁寧なご説明ができますし、ご質問にも詳しくお答えできます。しかし、説明や相談は、メールや電話でも充分可能です。実際、弊社の場合は、多くのお客様は来店されないまま出発されます。その代わり、スタッフが丁寧にメールや電話で、充分時間をとってお話しするようにしています。ですから、説明や相談を充実させるためだけに出店するのではありません。そうではなく、名古屋支店は、お客様と接する場であり、その場を基点に人の輪を作って行きたいと考えているのです。

私が理想とする店舗作り

店舗とは、本来は、地域の方々と密接な関係を作り、地域の方々に応援して頂く「地域密着型店舗」こそが理想だと私は考えています。何故なら、商売とは、お客様の顔やその地域の中での自分の位置が見えるところで営む方が手ごたえがあって面白いからです。
10席ほどのカウンター席の小さなラーメン屋さんで、毎日お客様の表情を見ながらラーメン作りに励むのと、お客様の様子が全く見えない大きな厨房で毎日ラーメン作りを担当するのと、皆さんはどちらの仕事を選びますか。後者の仕事だと心が篭らないと言っているわけではありません。自分が働くなら、私は、やはり前者の様な働き方を選びたいと思うのです。
現在、東京本社と大阪支店がありますが、大阪支店は関西以西から、東京本社になると全国からお問合せをいただきますから、スタッフの意識はどうしても地域密着ということにはなりません。ただ、弊社は、多くのお客様と何年も繋がってきましたし、応援をして頂いて今までやって来られましたので、現在の形でもお客様の顔が見えないということは決してありません。そういう意味では、大変恵まれた環境だと思います。
では、今後も他の地域に出店するかといえば、それは難しいと考えています。弊社が扱うような国・地域への旅行は、1000人いたら1人買って頂けるかどうかですから、ある程度のマーケットの大きさがないと店舗を維持できません。地域密着型の店舗が理想ですが、実際は、なかなか難しいと考えています。

私は、35歳で、風の旅行社を始めました。勝算などなく、漠然とした夢しかありませんでした。失敗していれば、今頃、借金に負われていたかもしれません。しかし幸いにも、1991年の11月1日に営業を開始し、2ヶ月目の12月には黒字になりました。その後も、順調に売上は拡大しましたが、格安航空券の価格競争の激化を機に現在のような国・地域を扱うツアー販売に切り替えました。これも大きな賭けでした。21世紀に入ると、ネパールの王宮乱射事件、9.11米国同時多発テロ事件、SARS、3.11東日本大震災など困難な状況が次々に起きました。
しかし、そんな時にも、応援してくださるお客様が大勢いらしたお陰で何とかやって来られたわけです。経営者にとっては、売上は何にも勝る良薬です。お客様は、本当に神様に見えるのです。それは、何年経っても変わりません。だからこそ、お客様の顔が見える商売をしないといけないし、会社は、お客様の顔を忘れたら永くは続かないのです。

なぜ今、名古屋支店を開設するのか

さて、名古屋支店の支店長は古谷朋之です。彼は大学時代から日本国内、そして海外の山を登ってきました。弊社に入社してからも、「風の山人」という商品を企画しネパールをはじめ海外のトレッキングツアーを多く手掛け、高所トレッキング研修では、先頭に立って、国内外のスタッフを指導してきました。また、東京販売部の部長も務めてきましたから経験は豊富です。
本来は、彼は、独立したいと考えていたようです。しかし、もっと風の旅行社の力を利用して、自分のやりたいことをやったらいいと私からも言われ、自分でも一部出資し、支店長を引き受けました。中京地域は、大阪以上に地域や顧客に密着した繋がりが重要と私達も感じています。古谷もその点に、逆にやりがいを感じたようです。
こうなれば、古谷支店長は、経営者も同然です。24時間働くつもりで頑張り、なんとしても中京地域のお客様方に応援していただかなくてはなりません。大阪・東京のスタッフには、「リスクを抱えてやろうというのだから応援してやろう。彼の成功が、会社全体のためにもなるのだから」と話してあります。
私も、時々、名古屋に参ります。何卒、お引き立てのほど宜しくお願い申し上げます。

※風通信No47(2013年4月発行)より転載

シェアする