先月、亜細亜大学の横澤利昌教授の講演を聴く機会を得ました。横沢教授は老舗の研究を長年されています。「世界で一番受けたい授業」というテレビ番組にも出演されたことがありますので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
講演を聴いて驚きました。世界中で最も古い企業は、なんと日本にあるそうです。金剛組という宮大工の組織で創業はなんと飛鳥時代(西暦578年)。
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その他にも法師旅館(西暦718年)虎屋黒川(西暦798年)、田中伊澤仏具(西暦889年)などなど、その古さには驚くばかりです。
日本の老舗企業(創業100年以上)は約5万社で、創業200年以上の会社でも約3,500社、ドイツの約800社、オランダの約200社などに比べると圧倒的に日本には老舗が多いそうです。
そんな折に、生家が地方紙に「飯田の老舗」として掲載されたと、父が、新聞を送ってきました。私は自分の生家が老舗だと意識したことが無かったので、正直いって驚きました。なんと、創業は明治25(1892)年、私の兄で5代目になります。6代目も現在修行中ですから、まだまだ続きそうです。
私にとって老舗のイメージとは、伝統、格式といった重々しいイメージを伴います。しかし、私の生家は格式などとは無縁でした。お袋が家事と店番を一緒にこなすような、田舎の小さな饅頭屋に過ぎませんでした。屋号だって「たばこや」ですから何の重みも感じません。子供のころは「たばこやの息子かな」と、よく言われました。何でも昔、たばこを売っていたのでそんな屋号になったそうですが、どこか“商人の子”という軽い印象がありました。
しかし、何はともあれ延々と続いて来たことは確かです。老舗などと言われると妙に嬉しくもなります。いい機会ですから何故続いたのかそれをじっくり考えてみたいと思っています。