追悼 「かなやま」の大“先生”

つむじかぜ261号より


2002年3月26日から2005年4月27日まで40回にわたり行われ、延べ994名を集めた「かながわの山を登る(略称 かなやま)」という講座がありました。1993年に始まった風カルチャークラブの前身「有隣堂カルチャークラブ」の初期から行われていた講座です。月に1回、土日を使っての日帰り山行です。

一般的には、カルチャークラブは、引退した年配者や主婦の方々を対象にしているので平日の日中に行われています。しかし、「有隣堂カルチャークラブ」は「発酵の世代へ」というコンセプトで、40歳台を中心にした現役世代を対象にしました。

「かなやま」に集まってきたのは、まさに、こうした“発酵の世代で”、大学教授や医者、研究者、企業の役員、管理職、個人事業主、サラリーマン等個性豊かで魅力的な方々でした。特に、当時は「キャリアウーマン」といわれた仕事を持つ女性の方々が多かったそうです。
 
「かなやま」の講座参加費は4,000円、交通費、山行後の懇親会を含めると、10,000円を超えます。お金を払って山登りをするという発想は、日本人にはあまりないのによくもこれだけ人を集め続けてきたものです。

その講師を長年務めていただいた植木知司先生が、去る9月30日、癌のためにお亡くなりになりました。11/28(土)にその植木先生をしのぶ会があり、私も参加して参りました。
 
植木先生の多くの思い出が皆さんから語られましたが、「かなやま」が、これだけ盛況に長年続いたのは、植木先生の温和な人柄とご努力だったと誰しもが認めていらっしゃいました。本当に皆さんに慕われた“先生”と呼ばれるにふさわしいかたでした。

先生は、山行の前には下見をし、歴史、植物などをよく勉強しておられました。「かなやまの方々はレベルが高いから恥ずかしい解説は出来ないからね」そんなことをおっしゃっていたそうです。まさに、先生と参加者の方々絶妙なハーモニーが原動力だったんだと思います。

ご冥福をお祈りいたします。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

シェアする