今週は、月曜日には、四川省の葉さん兌さんと、昨日は、新疆ウイグル自治区ウルムチの李洲さんと夕食を共にした。彼らは、夏の観光シーズンが終わって冬になると日本に営業にやってくる。特に、夏の売上が好調な年は、2週間くらいは滞在する。
李洲さんは、先週は、一週間に亘って、北海道の6つある国立公園の内、阿寒、釧路、大雪山と3箇所を周遊されたそうだ。いつも、仕事で旅行会社を営業して歩くので、どうしても東京などの都会しか行ったことがなかったが、「今回は、初めて日本の田舎に行きました。どこへ行っても、大変綺麗だし豊かですねえ。トイレだってどこでも綺麗です。中国ではとても考えられません。日本は成熟社会。底力を感じました。」と興奮されていた。
日本は、所得税を国に吸い上げて、必要に応じて地方に配分するという地方交付税の仕組みがあり、それが功を奏して富の配分に成功したこと。政治家も、殆どが地方が選挙地盤だから、どんどん地方を良くしようと公共工事を引っ張っていく。そんな説明をした。
もちろん、それが、中央が「金も出すけど口も出す」ということで地方の独自性が削がれて、地方の財政が厳しくなって上手くいかなくなっていること。地方が、公共事業頼りになってしまい、地方に根付く産業の育成などが軽視されてきたことなども簡単だが付け加えた。
お三方とも、日本の選挙がどうなるかを私に聞いてきた。今回は、流石に、結果が出てみないと分からない。ただ、「日中の関係が、これ以上悪くなるような結果にはなってほしくないですね。」とだけ申し上げた。それでも、不安は消えない様子だった。
四川省でも、日本へ行くお客様がすっかり減ってしまい、他の国に行っているとのことだ。それは無理もない。上から日本行きのツアーは禁止と言われていて、できないそうだ。日本からのお客様も、すっかり減ってしまったそうだ。
それでも、来年のために、彼らは大きなお金を使い営業に来た。中国に事情を、あれこれ説明し、来年に大きな期待を寄せている。「本当に、中国の物価はどんどん上がっています。私も、最近は、スーパーで買い物するときは、値段を確認するようにしています。人件費も、5年前の倍になりました。もう、大変ですよ。来年のツアー代金をどうするか、今、悩んでいます。」李洲さんは、そう言って頭を抱えていた。
李洲さんを、中野駅までお送りした。「池袋まで電車で160円ですよ。日本は安いですねえ。」暫く前だったら考えられないようなことだが、逆に、5年後にはどうなっているのだろうか。とふと考えてしまった。バブルは何処かで弾けるに違いない。