チベットの卵、チベットのニワトリの卵のことを、「ポチャ・ゴンガ」という。
それはそれは高価なもので、チベットでは貴重な栄養食となっている。
ポチャ・ゴンガとの出会いは、数年前。
僕の友達で田舎のお坊さんが、ラサに来たときのこと。
なんと僕への「お土産」に、彼の田舎で飼われているニワトリの卵を
大量に持ってきてくれたのだった。
なんで卵か?(笑)、その時はよく分からなかったのだが、
よくよくきくと「非常に貴重」だという。
せっかく頂いたはいいものの、当時はキッチンのないホテルに住んでいたので
調理ができない。それで結局、風のチベット人ガイドの和恵(ダドゥン)に全部あげたのだった。
ラサでは、小さい子供や乳幼児にチベット卵を積極的に食べさせる習慣があり、
ちょうどそのとき和恵には、生後何ヶ月かの赤ん坊がいたのである。
非常に興味深いのは、チベット人はポチャ・ゴンガを赤ん坊に食べさせるだけではないのだ。
早く赤ん坊が歩けるようにとの願いから、溶いた卵を赤ん坊の両脚に塗り立てる。
赤ん坊の身になってみれば、たまったものではないのかもしれないが、
和恵も自分の赤ん坊の脚に塗りつけたらしい。
そして三回塗った後、歩き出したというのだ。
こうした「魔術力のある」ポチャ・ゴンガは、中国内地からやってくる卵とは、明確に区別されている。
中国の卵は、工場で人工の餌を食べさせられた親鳥から、産み落とされる。
それに対してポチャ・ゴンガは、庭に放し飼いで、
麦などの自然食をふんだんに与えられた親鳥から、産み落とされる、
と人々は口々に言う。
当然、卵の質、味、功能も、違ってくる。 もちろん値段も。
最近、僕は朝食に目玉焼きを作り、それをトーストにのっけて食べている。
中国卵が、ぺチャぺチャで味も薄いのに対して、
ポチャ・ゴンガは黄身の「丸く張りつめた感じ」からして全く違い、
勿論美味しく、また腹持ちがいい。
ちなみに、中国卵は一個6角、ポチャ・ゴンガは8角(10角=1元=約14円)である。
ジョカン寺そばのトムセーカンというチベット人市場で卵を買っていたので、
自分ではポチャ・ゴンガを毎日食べているつもりでいた。
だが複数の人から話をきくと、なんと、ラサで売られている「ポチャ・ゴンガ」は
本物のポチャ・ゴンガではないらしい。
中国のニワトリとチベットのニワトリを掛け合わせた、ハイブリッドの卵で、「雑交」卵だというのだ!
生粋のチベット卵は、ほとんど田舎でしか手に入れることができず、
それも一個1.5元ほどもするようだ。
「雑交卵」でもこんなに美味いのに、本物のポチャ・ゴンガは
一体どれほどのクオリティのものなのだろう。妄想が働く。
それと興味深いのは、中国のニワトリと一度掛け合わせただけ、
それも当の母鳥の育て方(自然食+放し飼い)は一緒であるはずなのに、
値段が著しく下降するということである。
ここでもあれこれ妄想してしまうが、卵のクオリティの純粋性を重んじているだけなのだろうか。
幻のチベット卵と邂逅してから数年。
しかしながら、まだその真価を味わわずにいる。
Daisuke Murakami
* 重要情報その1 *
チベット旅行中も新型インフルエンザ対策は大切です。
こちらの極度の乾燥具合などから、対策度をより高めたほうがよいでしょう。
外から帰ってきたときの手洗いやうがいは勿論ですが、
人込みの中に入るときには、マスクをしたほうがよい場合があるでしょう。
特にこちらは予防観念が日本とは違うので、咳やくしゃみを豪快にしている人が少なくないのです。
* 重要情報その2 *
ラサの西蔵大学の日本語学科が、日本語専門講師を1名募集しています!!!
来春(3月ぐらい)からです!
ラサで働くガイドは多いものの、地元民の日本語ガイドはその中でもマイノリティで、
ほとんど育っていません。僕が教えていた頃の生徒(2002年卒業)は
非常に優秀だったこともあり、多くが日本語ガイドとして活躍していますが、
その後がほとんど続いていないのです。
そこで、現状を少しでも挽回してくれるような、プロの日本語講師を西蔵大学が募集しています。
具体的な情報は、大学の留学生係にお問い合わせください。
メールアドレスは、 iecd.tu@gmail.com (担当:Rinchen Lhamo [Ms.])
英語もしくは中国語で、そして「Daisukeのブログで知った」と書けば、
先方も分かると思います。募集や大学への連絡等に関して、
このブログのコメント欄にご質問されても一切お答えできないので、
どうか大学に直接お問い合わせください。
11月23日
(ラサの)天気 晴れときどき曇り
(ラサの)気温 -1~11度
(ラサでの)服装 昼間はセーター、ジャンパー、コートなど。
夜はジャンパー、厚手のコートなど。晴れの日は日差しがとてもきつくなるので、
日焼け対策は必須。空気は非常に乾燥しています。
この季節、雨は降ることは少ないですが、雨具は念のため持ってきたほうがいいでしょう。