ここ数週間ほどラサの街が落ち着かない。
ロサールの準備で人々は忙しいのだ。
街がソワソワしてくると、自分の気持ちまでソワソワしてくる。
温かくなってきたせいもあろうが、「ラサの気」が慌しくなっているのを感じる。
街の風景から視覚的にそのように感じるのではなく、明らかに街の気の流れが変わってきた。
我々生きとし生けるものが、何万世代にもわたって実践してきた「春の蠢き」が我々を駆り立てるのかもしれないが、
こういった時期に「新年」を祝う中国やチベットは、よほど生物の本能に沿ったものと言えよう。
ひとり言はさておき、ラサ人は大忙しである。
仕事納め、忘年会、家の大掃除はもちろんのこと、
「正月用品」を買い揃えなければならない。
家の屋上に立てかけるタルチョ(仏教の祈りの旗)、羊の頭(の置き物)、
ドソチェマルと呼ばれる飾り物、ツェトと呼ばれるバターで作られた飾り物、
家に貼る「聖ポスター」(神仏の絵や聖人の写真)・・・。
多くの店は長い間休みになるので、大量の食料も買い込まなければならない。
普段のんびりしているチベタンも(珍しく?)忙しいのである。
よくこんな言葉を耳にする。
「ロサール・マレ、レサール・レ!」(新しい年ではなく、新しい仕事がやってきた!)
なんともチベット的なセンスの皮肉である。
今年のロサール、まるで去年の分をも祝おうとするかのごとくの勢いである。
話は変わるが、
本ブログに載せる写真を撮るためにバルコルを歩いていると、ある写真が目に飛び込んできた。
それは、先代のパンチェン・ラマの家族のプロマイド写真!
パンチェン・ラマは(戒律の厳しい)ゲルグ派の僧侶なので、
還俗したorさせられた等の議論はあるが、このあたりの敏感な問題はさておき、
僕が今回注目したいのはお二人の真ん中にいらっしゃる娘さんである。
僕は以前、この娘さんにお会いしたことがある。
オックスフォード大学での国際チベット学会の際、彼女は基調講演に来られていたのだ。
彼女に仕える付き人の態度や、学者たちが彼女を追う視線もあろうが、
彼女はなんとも気高く威厳に満ちた雰囲気を漂わせていた。
これが、「王女」というものか、と思ったものだ。
幸運なことに、
イギリス人の友人が僕を彼女に紹介してくれて、
おかげでほんの10分ほどだったがお話することができた。
表情の気さくさ・可愛らしさや言葉の切り返しから感じられる聡明さ以上に、
金剛のような芯の強さが感じられる方であった。
いろいろお話したが、彼女は日本語や日本文化に興味をもたれているようだった。
そのときの彼女の「マイブーム」だけだったのかもしれないが(笑)、
なにかしらを日本(人)に感じているようだった。
上の三人のプロマイド写真、
半年近く前からお寺などでたまに見かけていたが、
いつか手に入れようと思っていたところ、やっと邂逅できた。
プロマイドを購入するのは、中学生のときに原田知世のプロマイド(『時をかける少女』のモノ)を
各種大量買いして以来である(笑)。
おそらくは四半世紀ほど前に撮られたであろうこの家族のプロマイド写真、
なぜ今の時期になって出回るのか、
妄想癖のせいでいろいろ考えてしまうが、
僕が手に入れるべき「チベット正月用品」だったのだろう(笑)。
さいごに、ちょっと早いですが新年のごあいさつを。
ロサール・タシデレ!!!
Daisuke Murakami
* チベットの元旦、今年は中国の春節と同じで2月14日になります。
2月11日
(ラサの)天気 晴れ
(ラサの)気温 -7~6度
(ラサでの)服装 昼間はセーター、ダウン、厚手のコートなど。 夜はダウン、厚手のコートなど。
昼間でも曇れば寒いので要注意です。晴れの日は日差しがとてもきつくなるので、
日焼け対策は必須。空気は非常に乾燥しています。雨具は念のため持ってきたほうがいいでしょう。