就活テクニック

*風のメルマガ「つむじかぜ」714号より転載

3月1日、学生の就職活動が解禁された。就活が始まりあれこれあったのか、ゼミで教えている今度4年生になる学生が相談にやってきた。一番の悩みはエントリーシートの書き方らしい。自己PRはどう書いたらいいのか。趣味はどんなことを書いたらいいのか。学生時代に打ち込んだこととは、バイトのことを書いてもいいのか。などなど、心配は尽きない。

実は、それほど書くことがないというのが実態である。学生時代に何をしたか聞いてみたところ、「学園祭の実行委員をやったぐらいで、あとはバイト程度」だという。私のゼミでモンゴルも小笠原も行ったが、あまり印象には残っていないようで候補には挙がってこなかった。そこで学園祭の実行委員がどんな活動だったか聞いてみると、「最初は友達がやっていたのでお付き合い程度だったが、みんなで作り上げていくのが楽しくて結構のめりこんだ」という。でも、悲しげに「そんな動機じゃまずいから変えようと思う」ともいう。

動機が立派か否かなんてどうでもいい話だ。最初は、お付き合いでもいい。その後、のめりこんだなら、その理由をちゃんと書けばいい。やった結果、どんなことを得たか、どんな成長が自分の中であったか。苦しいことはなかったのか。あったらどうやって乗り越えたのか。そんな作文は、実体験があればすぐ書ける。

文章力の問題もあるが、一番足りないのは、考えて自分で判断し結論を出す力である。これができないので、世間の常識や、一般的に良かれということから外れてはいけないと考える。「企業はそういうところを見るんだ。それが一番ダメだ」というと「ハイ」と返事はするものの、結局どうしていいか判っていないのが現状だ。まだまだ、開き直って自分を素直に出していこうとは考えられないようだ。

きっと、エントリーシートの書き方や面接のテクニックを教えてほしいのだろうが、そんな小手先のことじゃあどこかで化けの皮が剥がれるものだ。6月ごろになれば、自信を無くして開き直って、あれこれ考えるはずである。また、そのころ相談にやってくるだろう。学生時代で唯一、自分を見つめ考え行動する。それが就活である。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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