2010年4月29日(木)発 日本人ガイドレクチャー付き アンコールワットとカンボジアの暮らしにふれる 7日間
文●高嶋 達也(東京本社)
セントラル・マーケット
で出会った笑顔
アンコール遺跡だけがカンボジアではない!
カンボジアと言えばアンコール遺跡。巷ではアンコールワットをはじめ、世界遺産の遺跡巡りのツアーばかり。しかし、遺跡観光の拠点となるシェムリアップでの滞在だけではカンボジアの本当の良さ、カンボジア人の温かさを知る事は出来ません。シェムリアップの街は観光地として急速に発展し、ビルやホテルが立ち並び、庶民の暮らしを見ることも触れることも出来ないのです。
今ではほとんど観光客が訪れない首都プノンペンでは、凄惨な近代史に触れ、今の生活がその上に成り立っている事を改めて知りました。今なお無数にある地雷を心配せずに観光ができる事に感謝。
プノンペンからの道中では、この季節ならではの豊かな自然や食べ物、のどかな田園風景が目を楽しませてくれ、市場や村での民家訪問でのふれあいでは、たくさんの笑顔と出会えました。
恵みの雨か雨季の洗礼か
プノンペン最初の朝、突然のスコール。降っても夕方だけと聞いていたのが、あっという間に道路が冠水したので、一同目が “テン”。今はちょうど乾季から雨季への変わり目なので覚悟はしていましたが、こんなにスゴイとは……。(コンポントムでも大スコールで停電になりました!)
雨足が弱くなるのを待って、観光がスタート。国王と王妃の公務と居住の場となっている王宮を訪ねました。先日、来日されたシハモニ国王には残念ながらお会いできませんでしたが、広大な庭に咲く、まばゆいばかりの黄金色のゴールデンシャワーや真っ白なチャンペイ(プルメリア)が久しぶりの観光客を歓迎してくれました。こんなシャワーなら大歓迎です。
プノンペンの名前の由来となったペン夫人が建立したワット・プノン(丘の寺)では、真っ赤な火焔樹(フレームツリー)を見る事ができました。
ゴールデンシャワーと火焔樹はこの時期にしか見れません。日本人ガイドとして同行して頂いた野中さんによりますと、「6月に入ると火焔樹も散り始めますが、チャンペイやブーケンビリアは年中見れますのでご安心下さい。今は田植えの時期ですから田んぼ一面が緑に変わりました。夕方のスコールが木々のホコリを払い、一層緑が深くなり雨上がりの青空は最高に綺麗です。雨季のカンボジアにも是非来て下さい。」との事でした。
ゴールデンシャワー
火焔樹が鮮やかに咲き誇る
緑豊かな王宮
クモの町、油断大敵
プノンペンを離れ、国道5号線でウドンを目指します。先月完成したばかりのプレアカダン橋を渡り6号線へ入り、ひらすら北上しコンポントムへ。途中、スカーフを巻いてるチャム族に出会い、蓮の群生を見つけては休憩をし、クモで有名な町の市場にも立ち寄りました。子ども達に取り囲まれ、クモを体中に付けられお土産を買うまで離してくれません……。
コンポントムの子ども達
クモ、背中に付いてたよ!
買ってくれそうな人を紹介し、その場を離れるとフルーツが盛りだくさん。
私はフルーツ大好きなので、ここぞとばかりに食いだめをしました。ジャックフルーツ、ドラゴンフルーツ、マンゴスチン、ランブータン、バナナ、パパイヤ……。なんと言ってもこの時期の旬は、マンゴーです。この時期以外はタイからの輸入品ですから是非、また来年、カンボジア産マンゴーを食べに行きましょう。
野中さん情報では、「カンボジア産の竜眼が出始めだったのですが、6月が旬なのでこれから来られる方は楽しみにしていて下さい。カンボジアでは花を食べる習慣があるのですが、今ならバナナの花のサラダが美味しいですよ。」との事。
心残りと言えば、病気の時や疲労回復に効くというココナツジュースを飲めなかった、いや飲まなかったこと。あまりの暑さに、ぬるいココナツジュースより炭酸飲料や麦酒に手が伸びてしまったのでした。
フルーツの屋台
ジャックフルーツ
ドラゴンフルーツ
虫採りの季節
この時期のカンボジアでは、連日30℃以上の暑さ対策、交通がマヒする雨対策に加えて、虫対策をしなくてはなりません。虫除けスプレーに虫除けリング、携帯用虫除け、虫刺され、蚊取り線香などなど、万全を期して行きましたが、それほど被害はありませんでした。
コオロギの素揚げ
虫と言えば、市場にはコオロギの煮付けがありました。食用として重宝しており、6月になると都市部を除く、カンボジア全土で虫採りが盛んになるそうです。我々が通った道中の田んぼでも、昼間に電灯を立ててビニールシートを置いておき、夜、光に集まってくるコオロギを捕まえて食用に売っているとのことでした。
煮付けにしたり、素はコオロギが多くなり、「昨夜、飲んでいたビールにコオロギが飛び込んで来たのですが、気付かずに飲んでしまいました。」と、野中さん。笑えるけど……大丈夫か!?
笑顔とふれあい
都会に住めば経済の発展に伴い、生活は向上するかもしれません。しかし今もほとんどの人は高床式の住居に暮らし、虫を採り、ヤシ砂糖を取り、田を耕しています。
道中訪れた村や市場の人々、湖上生活の人々、孤児院の子ども達とのふれあいで、カンボジア人の温かみや力強さを知りました。いや、都会に住み働いている人だって、みんな笑顔が素敵でした。
近代化の波は至る所にありますが、カンボジアの気候、風土に合うのは、やっぱり高床式とハンモック。民家訪問をし、人々とふれあえばどうしてなのかが分かりますよ。
飾り気のないのどかな風景がいつまでも続きますように……。