添乗員報告記●チベット歴史探訪とショトゥン祭 8日間(2006年8月)

2006年8月19日~26日  文●荻原文彦


タンカご開帳、巡礼者の山

タンカご開帳、巡礼者の山

デプン寺の「ヨーグルトを食べるお祭り」ショトゥン祭を、通常の8日間のチベット歴史探訪ツアーに盛り込んだ、夏の企画。 2006年は15名のお客様にて催行されました。 高山病の重症化も、スリや置き引き、航空便の乱れ、迷子もなく無事に終えることができました。

「ショトゥン祭は例年晴れる!」というジンクスのもと、遅延など微塵も感じず当日を迎えましたが、 前夜から雷雨で、大タンカのご開帳は3時間ほど遅れてしまいました。 また、夜間の降雨にてガンデン寺までの山腹の道が崩壊して行けないというハプニングもありました。
それでもツアーが成功に終わったのは、現地スタッフと駐在員Mさん、達人の長田さんの力強い支えがあり、お客様同士やスタッフを「良き旅仲間」として認識しあえたことによると思います。

今回、ショトゥン祭を盛り込んだツアーは4コース催行されました。デプン寺のバス2台をチャーターして臨んだ当日はスタッフを入れて、約50人。 祭り前夜に現地スタッフによってお寺のふもとに設営されたテント村は、さながら大規模登山遠征隊のベースキャンプのようでした。 朝4時にホテルを出発し、皆、腕に発光ブレスレットをつけてテントの中で朝食をとり、お茶を飲みながら、大タンカのご開帳を待ちました。 いつ止むとも分からない雨の中、これだけの万全な体制をとっていたツアーは他にはありません。 なんとトイレテント(女性用)はかなり掘り下げて、ルーム灯にローソクまでもが灯されていたそうです。
雨が弱まってくると、スタッフがご開帳のタイミングを探りに何度も偵察に行きました。その甲斐もあり、開帳に合わせてスムーズにタンカ台付近へ動けました。


テント村を準備するTNYスタッフ
早朝なのに元気

ご開帳のタイミングに合わせて
会場へと急ぐみなさま

タンカ台近くの目立つ岩に「風の旅行社」の看板と共にスタッフを配置。再集合の時間を決めて、約1時間半ほどフリータイムとしました。 早朝からの行動と、プジャの香草の煙、押し合う人の群れに体調を崩すお客様も全体で2名いらっしゃいましたが、 ご開帳は無事終了。 2名はスタッフの車でホテルへ直行し、その他のお客様は一度グループごとにテントに戻り、クッキーやお茶などを食べてから、ネチュン寺経由の徒歩1時間で車両通 行可の大通りへ出ました。 スタッフは無線機で互いに連絡をとりあい、まるで縁日や東京ミレナリオのような人びとの中、迷子も出ずグループごとバスに乗ることができました。


朝霧とプジャの煙の中、
ご開帳を待つ巡礼者たち
(ご開帳の写真は冒頭に)

無事、タンカを拝み、
テントで軽食を摂るみなさま

ラサ観光最終日のガンデン寺が、土砂災害で行くことができなかったというハプニングもありました。 対応策をスタッフ同士で相談する間、お客様は民家訪問へ。 バター茶を飲んだり、記念写 真を撮ったり、トイレを借りたり。人々の暮らしを垣間見ることができました。

その後ラサに戻り、昼食後。 ヤムドク湖へ行くグループと、市内散策をするグループに分かれました。市内散策グループは、駐在員のMさんが案内し、ラサ大学訪問などをしたそうです。私はヤムドク湖グループと一緒に行動。ヤムドク湖展望場所のカンパラ峠(4,749m)では、皆で“ルンタ(経文の書かれた小さな護符。旅の安全を祈願する。)”を冷たい風に乗せました。 帰りのバスでパルスオキシメーターの酸素飽和度は軒並70%台に。 酸素のまわし吸い後、ダイアモックスの効いている私たちの指先はピリピリと痺れまくりました。

TNYスタッフも風駐在員、達人も頼りになり、とても熱いことを強く感じました。ツアー 参加者の皆様にも伝わったと思います。