鍼治療

*風のメルマガ「つむじかぜ」728号より転載

左手首の腱鞘炎が、先週から3回の鍼で大分よくなってきた。今日はそんなに痛くないだろうと、自分に言い聞かせて家から自転車で5分ほどの行きつけの鍼灸医に鍼を打ちに行った。

「今日は、核心まで行けそうですね」と言われ「え? どういう意味?」といぶかしく思っていると、何時ものように、左上腕の方から鍼を打ち始めた。次第に手首に近づくと、痛みが残っているところに、何の遠慮もなくバシバシと打たれた。朝の8時半から30分。全身に力入れて、う~っと唸り続けた。拷問とはこのことだ。終わったら、ぐったりしてしまい暫くうごけなかった。

中学3年生の秋、受験勉強を始めたら、右腕が動かなくなった。肩から背中にかけてつっぱって動かなくなったのである。きっと急に同じ姿勢を取り続けたせいだろう。親父が、昔、鍼灸医の修業を少ししていたことがあり、鍼を打ってもらえばすぐ治るといい、家の側の鍼灸医のところに連れて行ってくれた。盲人の方だったが、指で患部を探り当て30分ほど打たれた。3度打ちに行って完治した。

長野県で教員をしていたころ、登山の下りで左膝の内側の筋を痛めた。この時は生徒の親が鍼灸医だったので、これまた3度お世話になって完治した。どちらも、深く針を入れる打ち方で、痛みのある患部に打つとジーンと深い痛みを伴う。

それ以来、何かあると鍼を打ちに行くのだが、今、行きつけの鍼灸医のAさんも、深く針を入れる。最近は深く針を入れる鍼灸医は少なくなったので、遠くから聞きつけて患者さんがやってくるそうだ。鍼は、私の経験では、1回では効かない。数度、2~3日おきに打てば効いてくる。特に筋を痛めたり局所的な筋肉痛には抜群に効くように思う。

先週に比べたら格段に動くようになった左手首もって腕を引っ張り、手首を甲側に曲げては付け根を甲側から指で探って患部を探り当てていく。指で患部をぐりぐりやられると、もうそれだけで飛び上がるほど痛い。「ここですね。親指を痛い方に引っ張って、自分で支えられる? そうそう、痛い状態のままにしてください。そうすると、悪い筋が出てきます」といいながらそこにブスリ。一瞬、電気が走り、頭と足を同時に上げる腹筋体操のようになる。

「ここ硬くて入らなかったけど、やっと入ったから少し刺したままにしときますね」「え~さしっぱなしかよ、冗談だろ?」と思っていると、別の患部にもう一本ブスリ。2本差しっぱなしである。痛みは2倍になりはしないが、全身がのけ反る。“この野郎、人が痛がってるのを楽しんでいるんじゃないか?”と、今日ばかりはAさんを疑った。拷問の30分、まだ、左手首が痺れてたままだ。でも、効く。きっと来週には完治しているに違いない。

Aさん、頼みますよ!

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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