新疆ウイグル自治区の東の町ハミから始まり、隣国カザフスタンへと抜ける天山北麓沿いのイリ地方までのルートを指します。草原の道やステップルートとも呼ばれ、スタート地点のハミ、ウルムチやイリが主要な町となります。中国以遠ではコルガス峠の国境を越えて、アルマトイ(カザフスタン)、ビシュケク(キルギス)、タラズやシムケント(カザフスタン)、タシケントやサマルカンド(ウズベキスタン)を結んでいます。
■ハミ
甘粛省との境界を接し、新疆ウイグル自治区の東部に位置するオアシスです。清朝時代にハミ王国(清朝政府を後ろ盾にしたウイグル族の地方政権)があった町で、現在も町中のモスクにはイスラム教の人々がお祈りをささげています。
■ウルムチ
ウルムチ(烏魯木斉)はモンゴル語で美しい草原を意味し、好天なら市内から天山の高峰ボゴダ(5415m)が望めます。
私たちがイメージするようなシルクロードのオアシスとは異なり、近代的な高層ビルやマンションも立ち並ぶ新疆ウイグル自治区の首府であり、大都会です。ここではウイグル族、漢民族、カザフ族、モンゴル族など42の民族が暮らしているといわれています。市内の見所は、“楼蘭の美女”と呼ばれるミイラが眠る新疆ウイグル自治区博物館や、お土産物選びにお勧めの国際大バザールなどがあります。
郊外には、標高1,980mの湖「天池」があります。遊牧騎馬民族のカザフ族が暮らす地で、中国のスイスとも呼ばれる景勝地として、春~秋頃は特に多くの観光客で賑わいます。
■イーニン
イーニン(伊寧)はイリ・カザフ自治州の州都。天山山脈の西側に位置する草原地帯で降水量が多く緑豊かな地です。古くは烏孫、匈奴といった遊牧民族の抗争の地となっていました。天山山脈の北麓にあるイリ高原は、かつて漢の武帝が「天馬」と呼んだ良馬の産地でもあります。また天山山脈からカザフスタンのバルバシ湖に注いでいる大河がイリ河です。イリ河大橋は市民の憩いの場ともなっています。