●講座名:秋の昆虫観察会 in 秦野
●開講日:2019年10月20日(日)
“大人の昆虫観察会”として人気の講座が、この秋も開講されました。
会場である秦野は、丹沢山塊のお膝元。小田急線の駅からすぐに自然豊かな里山にアクセスできる好立地です。
スッキリしない空模様が続くなか、どうにかこの日だけは晴れマークがつきました。
湿度は高く、太陽とともに虫がゾロゾロと這い出てくる、絶好の虫日和です。
案内役は地元在住であり展翅家でもある政所名積さん。
昆虫標本界の匠。秦野市在住。昆虫標本作成業「展翅(てんし)屋工房」代表。博物館などに展示・収蔵する昆虫標本、個人の収蔵標本の作成を行い、昆虫に関する知識と技術の確かさには定評がある。メレ山メレ子著『ときめき昆虫学』(イースト・プレス)では、タマムシの章のナビゲーターとして登場。
今回も、初心者にはまず見つけれられない虫を見つけ、目の前に差し出してくれたり、
昆虫の同定だけでなく、生育環境やその色形や動きの意味まで、惜しみなく知識をさらけだしていただきました。
さて、8名のご参加者様がそれぞれに発見した虫たちの一部をご紹介させていただきます。
★ショウリョウバッタモドキ
イネ科の草むらにすっかり馴染んでいました。足をこすり合せる音はジジジジ…これ、バッタの声だったのですね。
★キバラヘリカメムシ
幼虫の背中は黄色く、成虫になると黒くなる。色合いといい、その造形美に感嘆…。かっこいいです。家の中にカメムシが飛んでくると殺気立ってしまうので、いつもごめんなさいと思いました。
★オジロアシナガゾウムシ
コロンとした形とパンダのようなカラーリングがかわいいです。枝にしかとつかまって怯えて?いました。おかげでじっくり観察できました。
★ツチイナゴ
大きいのに、枯れた草はらにいるため自分の目では見つけられません。お客様が発見!
★オオカマキリ
威嚇態勢を観察。敵(我々)との間合いをはかっているそうです。
★オオセンチコガネ
鈍く七色に光る体と、ギザギザ脚がイケイケなデザインです。触覚も三叉で可愛らしい。
★アサギマダラ
浅葱色の羽が美しいのはもちろんですが「斑」なのはその胴体。思いがけず派手な斑ら模様にドキッ。
★オオミズアオの幼虫
人生で2回しか遭遇したことのないオオミズアオですが、その衝撃は忘れられません。あの身体がこの中に包まれているかと想像すると神秘的でさえあります…。副脚(吸盤状)がかわいいです。
★ホウジャク
蜂でも虻でもありません。スズメガという蛾の仲間。ホバリングして花の蜜を吸っている様子を観察できましたが、じっとはしていないのでカメラマン泣かせでした。
★ナガサキアゲハの幼虫
これまた存在感がありますが、柑橘類の葉の色のうまーく紛れていました。蛹の擬態はお見事。発見した政所さんは我々とは異なる目をお持ちのようですね…。
★クロコノマチョウ
冬枯れの林で、薄暗くなった時間帯に活動開始。一頭一頭色や模様が違うのだから驚きです。落ち葉のようにカサカサかな?恐る恐る触ってみた感触は、しっとり繊細…。指についた鱗粉はブロンズ色でした。
・・・他にも色々な虫に遭遇しましたが、とても書き切れません。
* * *
同行させていただいた私自身は虫の素人で、素手で昆虫を掴んだのは十数年ぶりでした。蠢く虫の感触に初めこそ身悶えしてしまいましたが、周りの皆さんの虫との距離感に釣られるように、虫の造形美と神秘の世界に引き込まれていきました。
たとえ虫に詳しくなくても「虫」を介在にミクロの視点で自然の不思議にじっくり向き合う。そんな時間は大人になっても楽しくて、本当に豊かな時間です。
そして、その「不思議」にはちゃんと意味があり、そこを解説してくれるのが講師の政所さん。
目からウロコの連続の1日となりました。
初心者の方のご参加はもちろん大歓迎ですし、すでに虫に関する知識が豊富な方なら、皆んなでわいわい虫談義をしながら歩けば、きっと楽しさ倍増です!!
季節変われば虫も変わる・・・ということで、次回講座もよろしくお願いいたします。
日帰り講座
地元在住・政所名積さんが案内する
国内旅行
昆虫展翅家・政所名積さんと行く
海外旅行
昆虫展翅家・政所名積さんが同行解説する