この講座は、新型コロナウィルスの感染の拡大の影響により、根本先生とも相談しまして残念ながら中止し、夏以降に延期することになりました。なにとぞご理解のほどお願い申し上げます。次回の日程につきましては、しばらくお待ちくださるようお願いいたします。
本講座では、東北チベットのアムド地方が輩出した傑僧ツォンカパ・ロサンタクパ(1357–1419)ゆかりの地をめぐる逸話を紐解いていきます。
ツォンカパは16歳で修行のために中央チベットに旅立ち、その後二度と故郷の土を踏むことなく、ラサとその近郊で学究と教導に費やす人生を送りました。彼が若き日々を過ごしたアムド地方には、生誕地に没後に建てられたクンブム寺(タール寺)など、幾つかのゆかりの聖地があります。出身地「ツォンカ」という土地の名称をめぐる伝説(「ツォンカパ」は「ツォンカの人」の意)や、ツォンカパの自画像にまつわる謎めいた伝説など、文献資料だけではその実情を充分に解明できない話が口承で伝わっています。
時空を超えて今から600年以上前の東北チベットを旅しながら、チベット仏教文化の真髄に迫りたいと思います。
講師
根本 裕史 (ねもと ひろし)
インド・チベット仏教思想、チベット古典文学の研究
広島大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。現在、広島大学大学院文学研究科教授。2004年から2006年まで、インド・ムンドゴッドに亡命チベット僧侶によって再建されたデプン僧院ゴマン学堂にてチベット語・仏教思想を学ぶ。2013年から2014年まで中国・西寧の青海師範大学にてチベット古典文学の研究に従事。著書:『ゲルク派における時間論の研究』(平楽寺書店、2011年)『ツォンカパの思想と文学—縁起讃を読む—』(平楽寺書店、2016年)