“山川異域 風月同天”
これは、中国語検定のHSKの事務局が、2万個のマスクを湖北省に送った時の各段ボール箱に書かれた漢詩である。実はこの漢詩には“寄諸仏子 共結来縁”と続きがある。「山川域を異にすれども 風月天を同じうす 諸を仏子に寄す 共に来縁を結ばん」国は異なるが天は同じ。袈裟を僧侶に寄進し縁を結ぼう、ということだ。
長屋王が、千の袈裟を作って中国の僧侶に贈ったとき、その袈裟に金糸でこの漢詩を刺繍したという。これを見て鑑真が心を動かされ来日を決めた、と鑑真の伝記『唐大和上東征伝』には記されている。袈裟は阿倍仲麻呂らが派遣された717年の遣唐使に託されたとみられており、今から1,300年ほど前の話である。(以上、朝日新聞デジタル2017年9月10日版を参照)
現在、湖北省からチャーター便で帰国し政府関連の施設に留まっている人々や、クルーズ船上に隔離されている人たち、さらには陽性反応が出て病院で治療中の人たちが大勢いらっしゃる。その心労は大変なものだ。政府は、しっかりした対応をし、この事態を乗り切ってほしい。
また、今回の新型コロナ肺炎への中国政府の対応には、様々な批判があるが、武漢や湖北省、その他の中国全土に住む人たちが行動や生活を制限され苦しんでいる。弊社は長年、中国の旅行会社とお付き合いしてきた。現在は、自宅待機で職場にも行けないようだが何とか乗り切ってほしい。
1,300年前のたった16文字の漢詩で、人々の思いが通じる。不安を煽るばかりのマスコミもあるが、何とか、前向きにこの事態を乗り切っていきたい。