今日の朝日新聞デジタルに「感染者が行った店」デマが広がった人口10万人の街という記事が掲載された。心ないデマを飛ばして面白がる輩がいるとは聞いていたが、私の故郷でそんなことが起きたのかと少々驚いている。
記事によれば、居酒屋を経営するAさんは、先月28日、知人からネットで情報が流れていると知らせを受けた。ネットを調べると、前日の27日に同市内で初となる20代男性感染者の立ち寄り先のひとつとして、同店も含め、居酒屋3軒、カラオケ店2軒、焼き肉店1軒、ボウリング場1軒、ファミリーレストランが1軒、合計8か所の店舗名リストが載っていた。もちろん、行政は一切発表はしていない。
8店舗のリストはツイッター、LINEでも拡散。「コロナの人くそ出歩いてんじゃん。やばすぎでしょ」投稿にはそんなコメントも付いたという。自粛ムードもあったが、デマ拡散後の客の落ち込みは激しく、通常の3割まで売上が減少。完全な風評被害に遭った。
その後、ネットでは、感染者の住んでいる地域名、父親の勤務先の会社名も暴露され、「社長の息子」「社長の孫」といったデマも流れ、同社には「息子さんがコレラなんですか」と電話での問い合わせもあり、無言で切る電話もあったという。(以上、同記事より)
こんな話を聞くとやるせない。もちろん、飯田でなければいいという問題ではないが、衝撃がとても大きい。人のことを思いやる心はないのか。自分だっていつ当事者になるか分からないのに、と激しい憤りを感じる。
しかし、私たちは、こういう人間を対極において考えがちだが、それで済ましていいのだろうか。デマメールを流して面白がっている輩とは絶対に違うが、自分の住んでいる地域やマンションなどで感染者が出たらどうだろうか。あれこれ噂が立ち、差別的な言動が飛び交い、あからさまな差別行為が平然と行われるだろう。はたして、自分はどうか。
戦時下だと誰かが言ったが、まさにその通りである。こういう時だからこそ、どう生きるかが問われるに違いない。