南方熊楠(1867-1941)は、生物学者、博物学者、民俗学者として、明治から、第二次世界大戦前まで活躍した人物です。生家は、現在の和歌山市の酒造メーカー「世界一統」です。青年時代を東京、アメリカ、イギリスで過ごし、帰国後は那智の山に3年間籠もり、その後田辺に移り住んで研究を続けます。
今回は、「田辺での熊楠の足跡を辿る観察体験ツアー」を企画しました。熊楠や家族がよく訪れた研究フィールドとしての「闘鶏神社」、熊楠顕彰館の「熊楠邸」と普段は非公開の蔵書や標本が詰まった「標本庫見学」、飲食街「親不孝通り」での各自でお好みの夕食、翌日は晴れていれば熊楠が保護に活躍した天然記念物「神島」を渡船で巡る予定です。船が出ない時は、熊楠が守った上富田町の「田中神社」などを訪れます。その後、ナショナルトラストで有名な「天神崎」での観察を行い、最後は墓所に参拝します。これ以上の企画は無いと言えそうな、熊楠「てんこ盛り」の企画です。お天気がよければ、サプライズ企画も考えていますので、お楽しみにご参加ください。
粘菌研修者
土永 知子 (どえい ともこ)
1960年生まれ。奈良女子大学理学研究科博士課程中退。高校生物教師を退職後、南方熊楠記念館学術スタッフ、南方熊楠顕彰館学術研究員。1987年より南方熊楠旧邸で高等植物標本の調査に従事、天神崎の自然を大切にする会代表理事。和歌山県「教育の匠」、環境省稀少野生生物種保存推進員、環境省自然公園指導員、田辺市文化財審議会委員、日本変形菌研究会会員。別冊太陽『南方熊楠』(共著)、熊楠ワークス「生物覚え書き」、紀伊民報「植物ツーショット」連載中ほか。
●南方熊楠
南方熊楠(1867~1941)は、博物学、民俗学の分野における近代日本の先駆者的存在であり、同時に植物学、特に「隠花植物」と呼ばれていた菌類や変形菌、藻類などの日本における初期の代表的な研究者です。
熊楠は和歌山城下に生まれ、東京大学予備門(現東京大学)を中退後、1887年から1900年にかけて米英に留学しました。帰国後、那智での研究を終えた熊楠は、1904年に和歌山県田辺市に移り住み、1941年に亡くなるまでの37年間、田辺のまちを研究と生活の拠点としながら日本、世界に向けて情報を発信しました。
●南方熊楠顕彰館
南方熊楠が晩年の25年間を過ごし、研究に打ち込んだ南方熊楠邸(国の登録有形文化財)の隣に2006年開館しました。南方熊楠邸を保存・公開するとともに、邸宅に遺された彼の知的好奇心を示す25,000点以上の膨大な蔵書や資料を保存・研究し、その成果を発信しています。本年3月には館内の常設展示をリニューアルし、熊楠と田辺のまちをよりわかりやすく学ぶことができるようになりました。
※写真は「南方熊楠顕彰館(田辺市)」「南方熊楠顕彰会」所蔵のものを使用しています。
※お部屋はすべてシングルルームになります。(お一人/一部屋利用)