【風スタッフ充電中ブログ】2021年 再び謹慎中の過ごし方・その三

荒幡富士全景

荒幡富士全景

昨年末に、四国霊場二十八番の大日寺のご住職の川﨑一洋先生より開運お屠蘇が届き、これを頂きながら正月の三が日は呑んで、食べて、見て、読んで過ごすつもりだったのだが、さすがに気が滅入るのではと元旦に初詣に行くと決め、ほろ酔いで所沢下富の多門院に家族全員で出かけた。
さすがに謹慎間近ということもあり参拝客は少なく、密にならずに隣の神明社とともに詣でることができた。屋台も三軒ほどでており、孫たちが騒ぐので焼きそばと大判焼を買わされ、ここいら三富(さんとめ)新田(上富、中富、下富)特有のまっすぐな農道の脇に腰掛け、遠くの富士山を眺めながらお昼をいただいた。この武蔵野台地に開拓された三富新田あたりから眺める富士山は、建物や雑木林に隠れる以外はどこからでも望むことが今でもできる。

川﨑先生より頂いたお屠蘇

川﨑先生より頂いたお屠蘇

さて、謹慎命令が政府から発出された次の日曜日に、孫の一人が「富士山をまた見たい!」というので、時々連れて行く荒幡富士に登ることにした。麓の浅間神社にお詣りし、頂上を目指すと、そこからも見事な富士が顔を見せ、大山から丹沢、奥多摩と一望でき、北のほうには武甲山や赤城の山々も眺めることができた。いい日だ、不思議に富士山を見ると、一日中気持ちが浮き立ってくる。神社脇の広場でサッカーやバトミントンなどでたっぷり遊んだ連中を連れて家に戻り、お酒を呑む夜が待ち遠しかった。

荒幡富士五合目

荒幡富士五合目

荒幡富士頂上からの富士山

荒幡富士頂上からの富士山

頂上から赤城山を遠くに記念写真

頂上から赤城山を遠くに記念写真

謹慎中というと、あとは本を読む時間が増える。この間、二冊の本と出合った。クロード・レヴィ=ストロースの随想集「われらみな食人種(カニバル)」と、柳美里の「JR上野駅公園口」である。二冊とも僕には紹介する力はないのだが、とても刺激的な内容で興味があればぜひお読みいただければと思う。「JR上野駅公園口」は全米図書賞を受賞した小説で、彼女は1997年に「家族シネマ」で芥川賞を受賞。

不思議な縁で彼女が若いころ所属し、死別したパートナーの東由多加率いる「東京キッドブラザース」の映画製作を僕の信州・栂池の宿で支援したことがある。まだ三分の二ほどしか読んでいないが、映画というより上質な演劇をかぶりつきで見ているような気分になる。上野の森美術館で開催された「ルドゥーテの『バラ図譜』展」の場面、初老の女性二人の会場での世間話と19世紀の画家の描くバラの絵の描写の対照的な表出手法、見事というほかない。この文章がメルマガで公開される時には読了しているはずだが、あとのページでどのような展開になるのだろうと、待ちきれない自分がいる。

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