奇跡の海、富山湾。
わずか20~30kmの短い距離を2,500~3000mの落差を流れ切り、海へと注ぐ急流。目には見えぬ伏流が、平野部湾岸部のみならず、海中においても湧き出ているといいます。その海は、水深1000mまで沈む込み、多様な命を育む環境を生み出しています。こうした自然環境が、魚津において「三大奇観」と称される奇跡を見せてくれているのです。
そんな奇跡の海を育んでいるのが、霊峰連なる立山連峰です。
立山連峰北部に位置する毛勝三山。そこを源とする片貝川は、日本有数の急流河川で、魚津市を水源とし、魚津の海へと流れ入る水循環遺産の根幹をなす清流です。その片貝川の遥か上流に、神秘的な巨樹の森が息づいているのです。
その巨樹の名は「洞杉(どうすぎ)」。
片貝川の上流南又谷一帯(標高500~700m)に、樹齢500年以上とも推定される天然スギが群生しています。最大のものは幹回り15mを越えるという巨大杉たちは、厳しい風土に耐えて生き抜く中、杉たちは根元からたくさん枝分かれし、幹が空洞状で、洞杉の名の由来となっています。洞杉たちの多くは、巨大な石を強い意志で掴み抱える姿をしていて、その特異な光景は深く記憶にとどまることでしょう。
このプログラムは、魚津埋没林博物館の協力のもと、秋の片貝川沿いのトレッキングと植物観察を楽しみながら、神秘の山・巨樹「洞杉」の森を目指します。
※協賛:魚津市
※コーディネート:魚津交通株式会社
※エコツアープロデューサーの澤井俊哉さんも同行します。
講師
石須 秀知 (いしず ひでとも)
特別天然記念物 魚津埋没林博物館 館長(専門分野:植物学) 富山市在住
1992年4月特別天然記念物 魚津埋没林博物館に勤務(学芸員。)2020年4月同館・館長魚津市の植物相を中心に研究しつつ、異分野の蜃気楼も部分的に担当。植物以外の生物や、地形、地質、水循環系、大気現象なども興味の対象。趣味は“むやみな”散歩、蜃気楼グッズ収集、石拾いなど。
*おもな著作・報告等
【植物関係】
『魚津市史自然編』(2020年 魚津市教育委員会)(分担執筆)
『歩いて手繰る立山黒部ジオパーク見聞録』(2020年立山黒部ジオパーク協会)(分担執筆)『魚津の植物』(2012年 魚津市)
【蜃気楼関係】
『富山湾 豊かな自然と人びとの営み』(2020年 桂書房)(分担執筆)
『蜃気楼と生き物』(2016年 生き物文化誌学会(ビオストーリー26))
*所属学会・団体等:日本植物分類学会、日本植生史学会など