今からおよそ1200年前、弘法大師空海によって開かれた高野山。この地で、多くの先徳によって守り繋がれてきた高野山の森林。奥ノ院と摩尼山周辺の和歌山県指定の保全上重要な植物環境エリアを巨樹と植物を中心に、ゆっくりと時間をかけて巡る講座です。
千年続く森であり、時代により移り変わってきた森を、山林の専門家からお話を聞きながら高野山独自の自然に触れていただきます。森を守ることは〈いのち〉を循環させること、です。
この講座は二日間を通して、高野山の植物や樹木、鳥、動物などを観察しながら、人工の森(ゲンジの森)と、人の手の入らない自然の森を対比して、高野山独自の生物と共存していく森のつくり方や、現状の問題点など大切なポイントを解説いただいき、実際に森を整備するための間伐体験をします。
講師の西田さんより
聖地高野山では、江戸時代より高野六木(こうやろくぼく)を保護育成してきた歴史があります。その施業体系が2020年「聖地・高野山と有田川を結ぶ持続的農林業システム」として日本農業遺産として登録されました。その高野山奥の院近くにゲンジの森があります。高野山ではミヤマクワガタの雄の事をゲンジ、雌の事をヘイケと呼んでいます。ゲンジの森では、ゲンジを捕る子供達の虫捕り文化を残すために、スギ、ヒノキの人工林を生き物の豊富な自然に近い森を作るために、森林整備を行っています。
※この講座は高野山寺領森林組合の協力で、2015年に初めてこのエリアの観察ツアーが実施可能になりました。
高野山の森を守る森林ガイド
西田 安則 (にしだ やすのり)
1958年生まれ。東京農業大学卒。
1980年、宗教法人金剛峯寺山林部入社。
2010年より高野山寺領森林組合へ。現在に至る。
日本野鳥の会会員、高野山めざめの森実行委員会(森林セラピー)認定・森林ガイド。