飯田駅ちかくのシルクホテルに泊まった翌日12/5(日)、私と大阪支店長の中坪とweb&カタログ製作の担当者・小塩の3人は、朝食後に六識園へ向かった。六識園はホテルから40分ほどの中川村にあり、昨年の秋から「縁shop」でりんごとりんごジュースを扱わせていただいている。
ご主人の高橋昭夫さんとは、今までは電話だけのお付き合いで「いつか会いまい(会いましょう)」といっていたが、コロナも収まってきたので漸くお会いすることができた。当たり前のことだが、会った瞬間、確かに何回も聴いた電話の声と同じだったので、嬉しくて感激してしまったほどだ。
中川村は、私が育った地域とは天竜川を挟んで反対の東側にあり、飯田市より北の駒ケ根市に近いから中央アルプスが望める。六識園はその中川村の河岸段丘のかなり上の方にあった。午前中だったこともあり、りんご園からは雲一つない冬の真っ青な空に、白く雪を頂いた美しい中央アルプスの峰々が一望できた。私が育った場所は天竜川の西の河岸段丘で南アルプスを望めるが、その眺望の違いに唖然とした。
お恥ずかしいことに、天竜川の東側からは中央アルプスがこんなに美しく見えることを全く知らなかった。この眺望は、ネパールの“つきのいえ”と“はなのいえ”から望むマチャプチャレやアンナプルナの峰々に匹敵するといっても過言ではない。つい、早くネパールへ行きたいなあ、とため息が漏れた。
六識園のりんご畑の樹は驚くほど古い。大きな“うろ”があいた古木は樹齢100年を超えるという。昭夫さんは、三代目で、おじいさんが育てたりんごの樹から今も恵みを頂いているそうだ。一番の苦労はと尋ねると、「天候に左右されること。こればかりはどうにもならんのな。台風がきたら水の泡になってしまうんな。病気も怖いなあ。美味しいりんごは、尻を見てや。開いて黄色いのがいいんな。重いりんごが美味しいに。」次々と言葉が続く。
以前から、買ってくれた人の感想を聴きたいと、昭夫さんからは繰り返し何回も言われてきた。なかなか皆さんからそのたびに感想をお聞きするのは難しいが、何とかそういう仕組みを作りたいものだと3人で話し合った。奥様のさちさんが、ゆず味噌を和えた里芋を出してくれた。これが美味い。もう5年前におふくろが亡くなってから、私の実家ではこういう田舎料理があまり出なくなったので懐かしさがこみ上げてきた。こんな場所に住んで美味しいものを食べ、本当に羨ましい。一緒に行った小塩は、“(できるものなら)ここに住みたい!”とつい感激を吐露していた。
私は、その田舎を出た人間だが、あらためて素晴らしいところだと思いを新にした。今度はゆっくり酒でもご一緒できる時間に伺います、と約束して、次の八ヶ岳高原ロッジに向かった。