テレビが見られないテレビが売れている? 一瞬、理解できなかったが、チューナーレスTVのことだ。
モニターとは違い、標準でAndroid TVが搭載されていてPrime videoやNetflix、YouTubeなどが見られる。このAndroid TVというのが何かを説明しようと調べてみたがよくわからない。勝手にインターネット経由で動画が見られると解釈することにしたが、私は、Amazon prime会員で「Fire TV Stick」を使っているから、視聴環境としてはチューナーレスTVと同じと考えてよさそうだ。
株式会社スパコロが、2022年4月に実施した「動画配信サービス利用率調査」(全国の10~50代対象 n=2265)では、1位はAmazon Prime videoの26.6%、2位はTVerで19.0%、3位はNetflix(以下省略)で12.1%という。複数の配信サービスを使っている人も多いから、この利用率を足しても意味はないが、この他に、無料のYouTubeを見ている人も多いから40%近くが動画配信サービスを利用しているようだ。
実は17年にも、ドン・キホーテは50インチのチューナーレスTVを売りがしたが、ほとんど話題にならなかった。ところが、21年12月に再度発売したら6,000台の初期ロットが早々に売り切れ大ヒットとなった。追随するメーカーが出て、7月現在、複数のメーカーから発売されている。この違いは、明らかにコロナによって家で動画を見る人が増えた影響だろう。ただ、大手家電メーカーが売り出すという話はでていないが、それも時間の問題だろう。
もう一つ、若者の間で受け入れられた理由がある。チューナーレスTVはNHKの受信料が掛からないことだ。最も安い地上契約でもNHKの受信料は12カ月で13,650円かかる。受信料に関しては、経費の負担の問題以上に心理的な反発もあるに違いない。
5歳のとき家にテレビがやってきた。観音扉付きの木の箱に入っていて、祖父母の隠居所に置かれ、見るには祖父母の許可が必要だった。以来、60年以上、テレビは私の生活の一部だった。それが、なくなる。なんだかとても感慨深い。日本社会にとっても久々の大転換に映るが考えすぎだろうか。
テレビは、良くも悪しくも日本の常識を画一化してきた大きな要因である。若者のテレビ離れとSNSへの偏りにより、各自が違う窓から社会を見るようになり画一化が崩れつつあるように思う。チューナーレスTVは、それに拍車をかけそうだ。個性的になるなら歓迎したい。しかし、今回の選挙でも見られたように、かなり偏った現象もみられる。やはり、楽しみでもあり心配でもある。