10月25日(水)から会場入りした「ツーリズムEXPOジャパン2023大阪・関西」(以下、ツーリズムEXPOと称す)も10月29日(日)に最終日を迎え、夕方16時半から始まったフィナーレまで見届けた。今回は、コロナの影響を完全に脱したといえよう。人出がほぼ2019年に戻ったことが私たち海外旅行を生業とする者にとっては何よりも嬉しかった。
こういう大きなイベントを行うにはプロ集団が要る。もう20年ほど前から、ツーリズムEXPO(2013年以前は旅博といった)に携わる馴染のメンバーもいる。コロナ禍3年間は、私たち旅行会社も苦しかったが、彼らイベント業に携わる人たちにとっても厳しい3年間であったに違いない。彼らの辛抱と努力に心から敬意を表したい。
以前からそうではあったが、かつてはツーリズムEXPOの主役だった欧州、米国が一層小規模になりアジア諸国が会場で目立つようになってきた。イタリア、スペインは大規模展示を維持していたが、それ以外は欧州旅行員会という共同ブースでの小規模出店となった。もはや欧州各国は、リアルなEXPO にお金をかけてB2C市場へプロモーションを仕掛けようなどとは考えない。B2CへのプロモーションはモバイルやSNSの世界に移行している。実は、ツーリズムEXPOも10/26と27の両日は、B2Bの商談会が行われており、日本のインバウンド市場のバイヤーとして今回参加した海外の旅行会社は250社ほどになる。彼らは、10/28からは、日本各地にファムツアーへ出掛けている。
今回、話題となったのは、サウジアラビアのブースとJTBやHISが取り上げた宇宙旅行だった。前者は、なんといっても異国情緒あふれるかの衣装で来場者を引き付けていた。足首が隠れるくらいまで丈がある長袖の白いトーブにピンクと白のシュマッグを頭部に被り、それを2重の輪になった黒いイガールで留める。この衣装にはアラブの王族のイメージが2重写しになり、つい目が行ってしまう。
後者は、JTBの「気球で2人乗りのカプセルを成層圏まで上げて宇宙空間を4時間かけて体験」というプロジェクトが注目された。来年、実際にお客様を乗せて飛行するそうだが1人2,400万円で5人募集したところ既に完売しているそうだ。10年後には1人200万円まで下げたいとのことだった。成層圏を宇宙というか否かは私には分からないし、これを旅行というのかも疑問だが、宇宙へ一般の人が行くことが現実味を帯びてきたことは確かである。
個人的には、モンゴルと中央アジア(ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)のブースが素晴らしかったと思う。両方とも今年はJICAが観光プロモーションをしており、いつになく立派なブースになっていた。しかも、モンゴルでは、様々なプレゼンがブースで行われていて大勢の人が集まっていた。この夏話題となったモンゴルのイケメン俳優・Tsaschikher Khatanzoriさんと渋みが際立つBarslkhagva Batboldさんも来ていて大いに会場を盛り上げてくれた。彼らは、フィナーレのステージでも、何時の間にかステージの真ん中で手を振っていて、その良い意味での“図々しさ”に驚かされた。
兎にも角にも、弊社を含めて海外旅行を専業とする中小の旅行会社が2024年にはコロナから完全に復活できることを祈念したい。