円安は、海外旅行にとっては最悪です。私たち旅行会社は、仕入れ代金が高くなるし、お客様も3,000円のラーメンを食べなくてはなりません。今、2024年夏の総合ツアーパンフレット『風の季節便』を作っています。昨年より一層円安が進み、ツアー代金を決めるのに大変苦労しています。加えて、現地の物価高も収まりそうにありません。3,000円のラーメンは円安もありますが、物価高の結果ともいえましょう。
それにしても、何故、急激に世界中が物価高になったのでしょうか。アジアやアフリカ諸国を見ていても、確かに、経済発展が著しい国もありますが、今の物価高は経済成長の賜物という感じはしません。一方で、スリランカのように国がデフォルトに追い込まれるケースも出てきています。
先日、久々にNHKスペシャルを観ました。「戦争の裏で広がる途上国の“もう一つ”の危機 混迷の世紀 第13回『世界“債務危機”は止められるか』」この表題に引き込まれてテレビを付けました。番組紹介のページには、「欧州や中東で戦火が広がる中、世界を別の危機が襲っている。30超の国が直面する『債務危機』だ。債権国・中国が独自路線を取る中で、国際社会は一致して対応できるのか。」仰天する内容でしたが、やっと現在の世界の物価高の正体が若干見えてきたように思います。
そもそもの原因は、2008年のリーマンショックまで遡るとのことでした。リーマンショック後、米国は、大規模な金融緩和を行いました。その結果、世界のマネーの供給量は、2020年にはリーマンショック前の5倍以上に膨らみ、マネーがアフリカやアジア、南米諸国に大量に流れました。そのマネーが、米国の金利上昇で逆流し、これらの国々からドルが急激に減りました。海外からの投資が止まり、各種インフラ工事も中断しました。結果、スリランカのようにデフォルトに追い込まれる国も出てきて、30超の国が債務危機に直目しているというのです。
ということは、大変、危うい物価高といえます。私どもとしては、物価が下がるなら有難いわけですが、その国の経済や人々の暮らしを考えると急激な変化は良い結果に繋がらないと感じます。
番組の中で米国のある教授が、先進国の債務も膨らんでおり債務危機は先進国の問題でもあると警鐘を鳴らしていました。どうも、この世界の物価高は、何時までも続くはずはなく、むしろ急転し経済が崩壊する危機を孕んでいるということのようです。私どもがツアーで扱っている国々は大丈夫かと心配になります。