歴史と伝説に彩られた未知の国アルメニア
文明の十字路コーカサスにある国。
旧約聖書に出てくるノアの子ハベテの玄孫(孫の孫)を祖先に持つ国。
チグリス・ユーフラテス川の源流を有するアルメニア高地の一角にある国。
ワイン発祥の地の1つといわれる国。世界初のキリスト教国。
マルコポーロも訪れた国。世界を股にかけたアルメニア商人を輩出した国。
異端と呼ばれたアルメニア正教会の国。
教会建築法で世界の注目を浴びる国。
コニャックの称号を許されたブランデーの産地。
歴史と伝説に彩られた未知の国、アルメニアにご案内いたします。
アルメニア ツアーラインナップ
アルメニアの旅情報 もくじ
アルメニアってどんな国?
アルバニア、アルジェリア、リトアニア、マケドニア・・・似たような名前の国がたくさんありますが、今回ご紹介するのはアルメニアです。コーカサス3国の1つ。残念ながら日本ではまだあまり知られていない国の一つですが、探ってみると魅力あふれる国です。コーカサス三国の1つ。面積は2万9,800㎢、関東1都6県より少し小さいくらいの内陸国で、正式国名:ハヤスタン。住んでる人は、ハイ人。アルメニアは英語名です。人口は約300万人で、そのほとんどがアルメニア人。公用語がアルメニア語(インド・ヨーロッパ語族)で、自国のアルファベットを持っています。
宗教は、ローマに先駆けて世界で最初にキリスト教を国教とした国で、今もアルメニア正教会という独自のキリスト教を堅守しています。周辺国との関係は、ジョージア、イランとは関係がよいが、トルコとアゼルバイジャンとは国交断絶中などで航空機の往来もなければ、国境も開いてません。
アルメニアの歴史
紀元前9世紀までさかのぼる歴史があります。紀元前2世紀、王国が成立。紀元前1世紀には今のコーカサスほぼ全域、アララト山を含む東トルコ、イラン西部まで領土を広げました(大アルメニア)。しかし、その後、アケメネス朝ペルシアとローマに分割されたり、ササン朝ペルシアとビザンツ帝国に分割されたりした後、アラブに侵攻を受け、9世紀一時独立を回復するも、セルジューク朝に征服され国は荒廃し、多くの民が海外へ離散することに。その後もモンゴル、ティムール、サファヴィー朝、オスマントルコなどに支配を受け続けます。そんな中でも、持ち前の商才を活かして各地で活躍するアルメニア人も多かったようです。
その後、現在のアルメニアの大部分はサファヴィー朝からロシアに割譲され、ソ連に引き継がれ、独立は1991年になってからのことでした。長い間周辺の異教の大国に翻弄され続けた歴史を持っています。19世紀末以降のオスマントルコによる大虐殺や、20世紀にはアゼルバイジャンとナゴルノ・カラバフ領土の帰属をめぐった戦争も経験するなど苦しい時代が続きましたが、2018年に若き指導者の下で行われたビロード革命により国は今活気づいています。
その長い歴史の中ではぐくまれた愛国心やアルメニア正教会への信仰心が、今のアルメニアを形作っています。また、アルメニア人の祖先は箱舟で知られるノアの玄孫(ハイク・ナハペト)であることから、ノアの箱舟が漂着したとされるアララト山を心のふるさととして崇めています。今はトルコ領にあるアララト山ですが、アルメニア人は言います、「アルメニアから見るアララト山が一番美しい」と。
アルメニアの見どころ
①エレヴァンとその周辺
エレヴァン
アルメニアの首都。19世紀の帝政ロシア時代、トルコやイランとの国境に、対イスラム教対策として、各地に散らばっていたアルメニア人を移住させました。第1次大戦後、オスマントルコに大虐殺を受けたアルメニア人が大挙して移住してきました。町並みは今もソ連時代の建物が多く見かけられます。
エチミアジン大聖堂(世界遺産)
エレヴァンの西に約20㎞。アルメニア正教会の総本山。創建は4世紀に遡り、世界最古の大聖堂と言われています。
隣接する宝物館には、キリスト処刑の際、脇腹を刺したというロンギヌスの槍やノアの箱舟の破片が保管されています。近くに当時のローマ皇帝とパルティア国王からの求婚を拒み殉教した絶世の美女・聖女リプシメを祀った教会や、地震で崩壊した45mの高さを誇っていたスヴァルトノツ大聖堂の遺跡などがあります。
ガルニ神殿
ゲガルド修道院の近く、エレヴァン郊外の丘陵地帯にある。アルサケス朝パルティア支配下で作られたヘレニズム建築。太陽神ミトラ信仰の影響が残る(現在は修復されているがオリジナルは1世紀築)モザイクが残るローマ浴場跡もあります。
ゲガルド修道院(世界遺産)
ゲガルドとは槍の意味。キリストを刺したロンギヌスの槍がもともと、この修道院に保管されていたことから名づけられました。アサド渓谷の奥に位置する岩窟教会です。外から見える主聖堂は建築物ですが、奥にある教会堂などは岩内部を堀り抜いて造られました。
ストーン・シンフォニー
ガルニ神殿の裏にある渓谷にありますが、車で行くには少し遠回りが必要。柱状節理でできた自然の驚異、まるでパイプオルガンのようで、約300mに渡って形成しています。
人呼んでストーンシンフォニー@アルメニア
②セヴァン湖周辺(エレヴァンの北方面)
セヴァン湖と修道院
エレヴァンから北東に約60㎞、コーカサス最大の湖「アルメニアの真珠」セヴァン湖があります。かつては島であったが、ソ連時代に水位が下がり今は陸続きになった半島に、9世紀バグラト王朝の王女により創建された2つの修道院があります。フォトジェニックなロケーションで人気です。
ハフパット修道院(世界遺産)
セヴァン湖から北に約150㎞行ったジョージアとの国境の近くにあるのがハフパット修道院。アルメニア様式とビザンチン様式が融合した10~13世紀の建築物として世界遺産と登録されています。
ノラトゥス
アルメニアの石工芸文化ハチュカル(十字架石)。セヴァン湖湖畔の村ノラトゥスの墓地に12〜13世紀のハチュカルが大量に林立して圧巻です
セリム峠のキャラバンサライ跡
セヴァン湖からアレニへの峠にある14世紀に建てられたキャラバンサライ昔からこの道は隊商の道として使われていたのでした。
③アレニ、ゴリス周辺(エレヴァンの南方面)
アララト山(5165m)
エレヴァンの南約50㎞。町からも眺めることができます。現在トルコ領に位置するアララト山(実は隣に小アララト山もある)ですが、アルメニア人は自分たちの「心のふるさと」として大切にしています。富士山のように美しいコニーデを形成しており、隣に小アララト山(3925m)があるのも絵になります。
アララト山、北から見るか南から見るか
ホルヴィラップ修道院
ホルヴィラップとは「深い井⼾」の意味。エレヴァンの南40㎞、トルコ国境に近く、アララト山のふもとに位置する。4世紀、時の支配者パルティアのトゥルダト3世が、聖人グレゴリウスを井⼾に幽閉したことで知られるが、それ以上にアララト山の展望ポイントとして人気があります。
アレニ
エレヴァンから約110㎞。アルメニアのぶどうの産地ヴァヨツ・ゾル地方の町。ワインの名産地。ワイナリーもありますが、最近この近くの洞窟で6000年前のワイン工房の遺跡が発掘されたことでさらに有名になりました。これでアルメニアのワイン発祥地説に1つ有力な証拠ができました。
ノラヴァンク修道院
アレニから約8㎞。険しい岩山の奥に鎮座する修道院。有名な彫刻家モミックが造ったと言われています。オリジナルは13世紀築。背景の岩山に溶け込んだ淡い色合いとスリムでスタイリッシュな建物とちょっと怖くてロマンティックな階段が人気です。
カラフンジ
エレヴァンから約200㎞。イラン国境にもほど近いアルメニア最南部シュニック地方にある「アルメニアのストーンヘンジ」。世界最古の天文観測所と唱える人もいます。不規則に並ぶ200個以上の石うちの80個ほどにはきれいな丸い穴が開けられて絵が描かれた岩もあります。石の配置が白鳥座と同じだという説もありますが、・・・未だ詳しいことはわかっていないそうで、とても興味深いところです。
タテヴ僧院
シュニック地方の中心地ゴリスから約20㎞。かつては山から深い谷に一度下って上り返して訪れる険しい断崖に立つ寺院でした。今は、世界一⻑いロープウェイ(約5.7 ㎞)で行くことができます。創建が9 世紀。かつては600 人もの修道僧が暮らす一大宗教センターでした。標高1500m(崖の下は1000m)あります。境内にあるガヴァザンと呼ばれる石柱は地震や敵軍の到来を早く察知したとか、聖職者が悪事を働いたときも揺れるとか、アルメニア人の旧正月にはこの石柱の上にオリオン座の3星が直立するなどの伝説もあり。人気スポットになっています。
フンゾレスク渓谷
ゴリスから約15㎞。オールド・フンゾレスクと呼ばれる渓谷には、石灰岩の岩に洞窟を掘って20世紀初頭まで8000人もの人が暮らしていたと言い、アルメニアのカッパドキアと呼ばれています。
アルメニアへのアクセス
空路
現在、アルメニアの国際線空港はエレヴァンのみ。日本からの直行便はありませんが、モスクワ(アエロフロート航空)、ドーハ(カタール航空)、ドバイ(エミレーツ航空)などからフライトが乗り入れています。ただシーズンによってスケジュールが変わりますのでご注意下さい。
2020年夏はエミレーツ航空やアエロフロート航空での乗り継ぎが最も便利です。(2020年3月調べ)
エミレーツ航空利用の場合
東京・大阪 ドバイ (東京線:約10~11時間、大阪線:約9~10時間)気流の関係で行きの方が1時間ほど長いです。
ドバイ エレヴァン (約3時間)
アエロフロート航空利用の場合
東京・大阪 モスクワ (東京・大阪線:約9~10時間)
モスクワ エレヴァン (約3時間)
陸路
陸路では、ジョージアとイランからの出入国が可能です。尚、隣国のアゼルバイジャンとトルコとは領土問題などで現在国境は閉鎖されていますのでご注意下さい。
アルメニアの気候と服装
アルメニアは国土の90%が1,000m以上に位置する内陸国。高地性大陸性気候で四季はありますが、昼夜の寒暖差が大きく乾燥しているのが特徴です。国土の真ん中あたりに位置するエレヴァンの緯度は日本では盛岡あたり。高度によって気温が変わります。
ベストシーズンは5月下旬~10月上旬。夏でも朝晩は涼しいので、風邪などひかないようにご注意ください。5月はドルマ祭、6月は羊毛刈り祭、7月は桑の実祭、8月ははちみつ祭、9月は独立記念日、10月はワイン祭りと、シーズンは毎月お祭りがあります。
6月~9月中旬の服装
首都エレヴァンやアレニは比較的高度が低いため夏の日中は東京より暑いくらいですが、夜は20℃を下回り1枚羽織るものがほしいくらい涼しいです。高度が1,200mを越すと日中は過ごしやすい暖かさですが、朝晩はフリースが欲しいほど冷え込みます。セヴァン湖周辺は、エレヴァンから10℃近く気温が下がりますので、十分な温かい服装をご用意下さい。
4、5月、9月下旬~10月
エレヴァンでは日中は東京と同じくらいですが、朝晩はダウンやコートが欲しいくらい冷え込みます。その他の町はそれより冷え込みます。
11月~3月
冬は、日中、朝晩問わず、東京より寒いです。最低気温が氷点下になることもあります。気候データを参考にしっかりとした防寒の用意をしてください。また、乾燥対策もお忘れなく。
※いずれの季節も日中と夜間の気温差が激しいので、重ね着できる服をお持ち下さい。
東京の気温などと比較しながら服装をご用意下さい。大まかなイメージでは、25℃以上なら半袖でもOK。25℃を切ると長袖、20℃を切ると秋物セーターかカーディガン、15℃を切ると冬物セーターやフリース、10℃を切るとコートまたはダウン。最高気温だけでなく、最低気温も見比べ重ね着の準備をして下さい。
アルメニアの気温と降水量
最高気温(℃) 最低気温(℃) 降水量(mm)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
エレヴァン (標高:約990m) ※首都 |
1.3 | 3.9 | 10.9 | 18 | 23.6 | 28.1 | 32.4 | 31.7 | 27.6 | 19.9 | 12 | 4.4 | |
-7.3 | -5.6 | -0.2 | 5.5 | 9.9 | 13.6 | 17.1 | 17.1 | 12 | 6.2 | 1 | -3.9 | ||
21 | 23 | 29 | 40 | 54 | 31 | 17 | 13 | 15 | 29 | 26 | 21 | ||
セヴァン (標高:約1,900m) |
-0.6 | -0.1 | 3.2 | 8.9 | 13.9 | 18.6 | 22.1 | 22.5 | 19.6 | 14.4 | 7.2 | 1.6 | |
-10 | -9.5 | -6.4 | -2.1 | 2.3 | 5.8 | 8.8 | 9.3 | 5.5 | 2 | -2.5 | -7 | ||
20 | 24 | 36 | 58 | 93 | 78 | 48 | 41 | 33 | 44 | 35 | 19 | ||
ヘルモン (標高:約1,700m) |
-0.1 | 1 | 6.1 | 12.6 | 17.3 | 22.1 | 26.3 | 25.9 | 22.6 | 16 | 8.6 | 2.6 | |
-8.7 | -7.7 | -3.7 | 1.3 | 5.5 | 9 | 12.6 | 12.3 | 8.4 | 3.7 | -1 | -5.5 | ||
19 | 23 | 41 | 52 | 75 | 60 | 31 | 29 | 25 | 37 | 30 | 22 | ||
アレニ (標高:約990m) |
1.7 | 4.1 | 11.3 | 18.4 | 23.3 | 28.1 | 32.8 | 31.8 | 28 | 20.2 | 12.1 | 5 | |
-6.6 | -4.9 | 0.2 | 5.9 | 10.2 | 14 | 17.9 | 17.1 | 12.8 | 6.9 | 1.5 | -3.1 | ||
16 | 19 | 30 | 40 | 52 | 36 | 15 | 13 | 14 | 26 | 22 | 18 | ||
ゴリス (標高:約1,250m) |
1.7 | 3 | 7.7 | 14.7 | 18.8 | 23.6 | 27.2 | 27.1 | 23.2 | 16.7 | 9.7 | 4.3 | |
-6.3 | -5.3 | -1.5 | 3.9 | 8.1 | 11.7 | 15.3 | 14.4 | 10.9 | 5.8 | 0.9 | -3.4 | ||
26 | 39 | 68 | 75 | 96 | 85 | 37 | 37 | 37 | 54 | 41 | 32 | ||
タテヴ (標高:約2,300m) |
0.8 | 2.1 | 7 | 13.8 | 18.3 | 23.1 | 26.8 | 26.7 | 23 | 16.4 | 9.1 | 3.3 | |
-7.3 | -6.3 | -2.5 | 2.9 | 7.1 | 10.7 | 14.4 | 13.4 | 10 | 4.9 | 0.1 | -4.5 | ||
24 | 34 | 61 | 70 | 90 | 73 | 32 | 32 | 31 | 48 | 37 | 29 | ||
東京 (標高:約24m) ※比較用参考データ |
9 | 10 | 13 | 18 | 22 | 24 | 28 | 30 | 26 | 20 | 16 | 11 | |
1 | 2 | 5 | 10 | 14 | 18 | 22 | 24 | 20 | 14 | 9 | 4 | ||
50 | 72 | 106 | 130 | 144 | 176 | 136 | 149 | 216 | 194 | 96 | 54 |
アルメニアの基本データ
正式名称 | アルメニア Republic of Armenia |
---|---|
国旗 |
|
首 都 | エレヴァン |
人 口 | 約290万人(2017年) |
面 積 | 約29,800km2(北海道の半分弱) |
言 語 | 公用語はアルメニア語(インド・ヨーロッパ諸語に属する) |
民 族 | アルメニア系(98%)、ヤズィディ系(1%)、ロシア系(0.3%)、アッシリア系、クルド系など(2011年) |
宗 教 | 主にキリスト教(アルメニア正教)※世界で最初にキリスト教を国教とした国(301年) |
通 貨 | アルメニア・ドラム ※1アルメニア・ドラム≒0.23円(2019年5月現在) |
時 差 | 日本時間から5時間遅れ ※夏時間(サマータイム)はありません |
電 圧 | 220V 50Hz ※プラグはCタイプ(2つの丸穴) |
アルメニア 2020年夏の一押しツアー
アララト山を心のふるさととする国
終了ツアー 《参考》アルメニア・ミステリーロマン7日間