第169回 ニェルカン ~アムチ道~
寮の廊下を歩く筆者 東京、豊島区にトキワ荘というアパートがあり、1954年から60年にかけて藤子不二雄、赤塚不二夫、石森章太郎、寺田ヒロオなど売り出し中の漫画家たちが数多く住んでいた。同じ夢を抱いたもの同士が、みんなで漫 […]
寮の廊下を歩く筆者 東京、豊島区にトキワ荘というアパートがあり、1954年から60年にかけて藤子不二雄、赤塚不二夫、石森章太郎、寺田ヒロオなど売り出し中の漫画家たちが数多く住んでいた。同じ夢を抱いたもの同士が、みんなで漫 […]
雪豹がでたダラムサラの道 日が沈んだ夜の7時ころ、メンツィカン寮に戻るとルームメイトのダツェが「いま、雪豹(チベット語でスィク)が周辺に出没しているらしい。夜に出歩くのは控えたほうがいいぞ」と心配そうに教えてくれた。雪豹 […]
ハトムギ 朝早くに自宅を出発し、長野市街を抜けて国道406号線に入ると風景は険しい峡谷に激変した。この先に村があるのだろうかと不安がよぎるが、「鬼無里」と記された道路標識を見つけては安堵を繰り返す。9時過ぎにようやく鬼無 […]
学園祭で歌う筆者(左端)2003年 メンツィカン学園祭の出し物でツィク・ギャをやることになり、僕はメンバーに立候補した。ツィク(言葉)ギャ(掛ける)=言葉を掛ける、すなわち日本でいう歌垣にあたる。といってもピンと来る日本 […]
修那羅(注1)の峠を越えて向う側の村々が見えたとき、啓示をうけたがごとく不思議と心が軽くなった(第158話)。そうしてしばらく放心したまま峠の向こう側の村々を眺める。あの村々がまるで別世界のように見えたのはなぜだろう。そ […]
お礼にいただいたブッダガヤの土と菩提樹の葉 メンツィカン研修医の僕のところに、失礼ながら見るからに生活が苦しそうな患者が訪れた。やつれた服装をしている。僕は彼に「薬代はいりませんからね。お大事にしてください」と告げると「 […]
ソナム先生と筆者 メンツィカンの病院から歩いて10分、急な階段を下った閑静な森のなかに入院病棟ネ(病)ソ(治す)カン(院)はたたずんでいる(注1)。80mほど病院との高低差があることから、年配のアムチたちは回診を敬遠しが […]
文●小川 康 毎年8月に開催されるメンツィカンの薬草実習 伝統医アムチ 「自ら山に入って薬草を採取し、製薬し、心を込めて患者に処方できる薬剤師になりたい」。そう思って1999年1月、チベット医学を学ぶべくインド・ダラムサ […]
リンチェン先生の家族と。2000年撮影。 その日、家庭教師リンチェン先生(第85話)の様子があきらかに違っていた。「どうかしましたか」という僕の無粋な問いに答えは返ってこない。いつもの笑顔はなく手に数珠を持ちずっと真言を […]
ドラッグストア(イメージ) 退学を前提に、2004年6月、とりあえず休学という形でメンツィカンを飛びだして日本に帰国したものの、さて、これからどうしたものかと悩み続けていた(第60話)。医学部への学士編入、鍼灸学校への入 […]
アルラの異物除去 土曜日がやってくるたびにチベット医学生は気だるい雰囲気に襲われていた。なぜなら、メンツィカン製薬工場での労働奉仕の日だからである。仕事のほとんどは薬草の異物除去作業、もしくは高貴薬の包装作業など、製薬 […]
ダラムサラの風景 つい先日、懐かしい友人からメールが届いた。「はーい、カンチ(注 僕のこと)。いま、旅行で京都に来ているの。あなたに会いにいきたいけどお金も時間もなさそうね。東京行の切符を送ってくれたら会いにいってあげる […]